現行は87モデル! ねえオデッセイさん、昔も今もパターの種類が多すぎて選べないんですけど…【メーカー直撃!禁句なし】

2024年5月28日(火)12時0分 ALBA Net

今年発売されてパター売り上げ1位を記録し続けている『Ai-ONE トライビーム』

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クラブや契約プロについて、もっと突っ込んだ話を聞きたいんです! そんな疑問をストレートにぶつける企画。タブーだと言われても、しつこく食い下がって教えてもらえるまで帰りません。今回はプロ・アマを問わず、数多くのゴルファーが手にする『オデッセイ』のパター。ヘッドのカタチやデザインもいろいろなら、ネック形状やインサートの種類もたくさんあって、パター選びの迷子になりそう。なんでこんなにいっぱいあるんですか?


『オデッセイ』のパターは、『ホワイト・ホット』や『Ai-ONE』や『Ai-ONE トライビーム』といった“シリーズ”があり、それぞれに異なるヘッド形状やネック形状の“モデル”が多彩に揃う。しかもハイペースで、新作がローンチされたり追加バージョンが出される。現行品(プロパー品)を数えると「13シリーズ、87モデル」(※2024年5月13日時点)だった。種類が多すぎると感じる人もいるだろう。

商品開発を担当する、キャロウェイゴルフの茂貫太郎氏(プロダクトマネジメント シニアマネージャー)はこう話す。「パターの見た目、打感・打音、振り感などの好みは分かれるし、ボール位置や打ち方、使うボールも人によって違います。“構えやすさ”だけで考えても、ヘッド形状もあればアライメントもある。そういう多様なニーズに対応するには、シリーズやモデルはどうしても多くなっていきます。すべての人が満足して使える“この1本”を提供するには、もっといろんなパターがあって良いと思います。パットの精度やカップインの確率を高めるために、オデッセイは研究・開発を重ねているし、より良いモノをゴルファーの皆さんに提供し続けていく。それがメーカーとしてあるべき姿ではないでしょうか」。

現行品の13シリーズをひっくるめて見れば、流行りの大型ネオマレット一つとっても、ヘッドの形状やアライメント、ネック形状、インサートなどが豊富に揃っている。ブレード型もマレット型も同様だ。

その半面では“数”が多いほど複雑になり、ベストな1本を見つけるのが難しくなるジレンマに陥る。「『オデッセイ』では、パットの2大要素となる方向性と距離感が合うパターを選ぶために、5つのチェックポイントを定めています。以前から『オデッセイマスター』と呼ばれる販売店にいるスタッフが、お客様の皆さんにパターの選び方をご説明しています。パターフィッティングサービスの『オデッセイ パットラボ』(キャロウェイ/トラヴィスマシュー青山店・キャロウェイ心斎橋店)も開設しています」。根底には「ゴルファーが100人いたら、100通りのパターがあるべき。だから、種類はまだまだ少ない」というオデッセイのポリシーがあったのだ。

パターの種類が豊富に用意されていることは、ツアーで戦うプロにも恩恵がある。ツアー会場で練習グリーンの周りにオデッセイのパターを並べていると“新しいパター”、“入るパター”を求めて、常日ごろから多くのプロが興味を示すという。プロといえども、いや、シビれる状況で結果を出すことが求められるプロだからこそ、パットで悩んでいたり何かしらの模索をしていることが多いようだ。

「一つの例ですが、石川遼プロや上田桃子プロは基本となる“エース”がありますが、新型のヘッドが出たときに、いきなり実戦で投入したことがありました。こちらが予測していなかったヘッドを使うこともあるということです。自分にとって“基準”となるパターがあり、ストロークを修正したいときやグリーンの速さなどに応じて、違うヘッドを手にしたり、同じヘッドでも“スペック違い”や“インサート違い”にして調整する人もいます。選手によってさまざまなパターンがありますね」

だからこそオデッセイのパターは、豊富なバリエーションの中から自分がしっくりくる1本が見つけやすいと、多くのプロから評価されている。限られた選択肢からやむなく手にした1本と、あらゆるオプションから選り抜いた1本。そこには明確な違いがある。

パターはプロが使っているモノをそのままアマチュアが使える。だからこそ、その時代の“強いプロ”、“入るプロ”が手にするパターに、ゴルファーは惹きつけられる。『オデッセイ』の人気は、プロの活躍を抜きにして語れないのだ。

2000年に『ホワイト・ホット』パターがリリースされると、賞金王争いを演じた谷口徹がマレット型の『#5』を使って人気に火がついた。01年には『ホワイト・ホット 2ボール』が、ツアーに先行投入。もともとは目標へスクエアに構えやすくするためのアライメントであり、“プロモデル”を意識した作りではなかった。ところが、01年から5年連続で米女子ツアーの賞金女王に輝いたアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が使ったことで、多くのプロがバッグイン。と同時に、宮里藍が『2ボール』でパットを入れまくってブレークした。

その後、石川遼が愛用する“L字マレット”こと『#9』、上田桃子が使った『トライホット #3』などが注目される。12年に発売された『ホワイト・ライズ iX #1
SH』は、イ・ボミ(韓国)が使って2年連続(15・16年)で賞金女王に。生産終了となったが、16年に数量限定で“復刻”するほどの人気だった。

一方、大型ネオマレットのパターがツアーでも流行り出す。『オデッセイ』の十八番である“ツノ型”こと『#7』をメジャーな存在に押し上げたのは、パットの名手であり、米・欧ツアーでダブル賞金王(11年)に輝いたルーク・ドナルド(イングランド)。エースパターは『ホワイト・ホット XG #7』だった。そして、23年に復活優勝を果たしたリッキー・ファウラー(米国)が使用して、プロの使用者も急増した『ジェイルバード』がして脚光を浴びる。

プロが使って結果を出すだけでなく、見たことがないデザインや革新的なコンセプトを打ち出して話題をさらってきた。その代名詞として、真っ先に思い浮かぶカタチは『2ボール』とツノ型の『#7』だろう。

「『2ボール』ができた背景には、ヘッドの製造技術が向上したことがあります。中をくり抜いたりして軽くできたことで大きなヘッドが作れるようになり、大胆なアライメントを載せることができました。大きくしたヘッドに“2つのボール”をデザインして、リアルなボールと3つ並べることで、イメージしたラインへスクエアに構えやすくしたのです。パターでも慣性モーメントが大きいほうが、安定感がありミスヒットをしてもブレにくい。そういう発想で生まれたパターが、ヘッド後方のトゥ・ヒールに重量を分散した“ツノ型(#7)”です」
 
歴代でもユニークなのが、ヘッドの後方にシャフトが挿さる『バック・ストライク』や、ヘッドのトゥ側が上を向く『トゥ・アップ』だろう。どちらもコンセプトは、ストローク中にフェースの開閉をなくして、スクエアなインパクトを促すこと。ポイントは、シャフト軸の延長線上にヘッドの重心が来る設計だ。

数えきれないほどのモデル数と勝ち星を生み出した『オデッセイ』だが、快進撃の口火を切ったのは『ホワイト・ホット』インサートだった。00年にデビューして、今年で“24歳”を迎える。

「『ホワイト・ホット』インサートをアイアンに例えると、軟鉄鍛造のマッスルバックやハーフキャビティと同じ位置づけになるのではと思っています。多くの人がその打感・打音、ボールのスピードなどに慣れ親しんで、定番化されていきました。それからも、いろいろな素材や加工を施したテクノロジー系のインサートも開発しています。特に『マイクロヒンジ』系のインサートは、ボールに初めから順回転を与えてコロがりを良くしますが、それらは今どきのディスタンス系アイアンのようなイメージ。いずれにしても、すべてのインサートのベースとなり、開発のベンチマークとなったのが『ホワイト・ホット』なんです」

歴代で『ホワイト・ホット』インサートを採用したパターは9シリーズに及ぶという。それにしても、この白いインサートがたちまち大ヒットしたのはナゼか。

「打感が軟らかい糸巻きボールの時代は、金属系(一体型)のパターで打っていました。しかし、2ピースや3ピースなどフィーリングが硬いソリッドボールにシフトすると、金属系のパターでは打音が高くて弾き感が強くなるし、ツアーの高速グリーンでは飛びすぎるのが不安で打てなくなってしまう。そのとき、オデッセイには『ストロノミック』という樹脂系のインサートがありました。この素材は衝撃を吸収するのでフィーリング面は改善されましたが、今度はボールのスピードが出なくなってしまった。そこで『ボールのカバーと同じ素材にしてみたら?』(イリー・キャロウェイ氏/キャロウェイ創業者)というひと言から生まれたインサートが『ホワイト・ホット』なんです」

インサートの素材は、ツアー系ボールのカバーと同じウレタン。もともと飛ばすことを目的として作られたボールのカバーだから、反発力は十分にある。何よりも、打面のインサートとボールのカバーが同じ素材だからインパクトのエネルギーロスが抑えられるし、同じ樹脂同士が接触するのでフィーリングはよりソフトに。プロも続々と、金属系のヘッドから『ホワイト・ホット』インサートへスイッチしていった。

「プロでも“ここぞ”というパットでは、プレッシャーがかかって打ち切れなくなったりするものです。そういうときでも『ホワイト・ホット』インサートは、反発が程よくあるから助けてくれる、球がコロがってくれる、といった評価をよく聞きました。そしてもう一つ。フェース面をくり抜いて軽い素材(ウレタン)をインサートしているので“キャビティ効果”があるんです。慣性モーメントが大きくなりミスヒットに寛容なこともあって、どんどん広まったのでしょう。今も、自分のパターに『ホワイト・ホット』インサートを入れてほしい(ツアー限定サービス)という選手がいます」

23年、オデッセイはまた高い使用率を記録した。日本女子ツアーにおいては、全試合において1位を達成し、シーズン全体で56.0%という数値を叩き出している。同様に日本男子ツアーでも年間使用率1位 で、53.6%と驚異的な数値を記録している。23年にはパターの常識を超えるテクノロジーを搭載したモデルが新登場。打点ズレやミスの情報をAI(人工知能)に反映して、その情報を基にAIが設計した新たな「Ai-ONEインサート」を開発したのだ。『Ai-ONE』パターが登場してあっという間にアマチュア市場を席捲することとなった。

「スーパーコンピュータでの膨大な演算で生み出されたのは、まったく新しいインサートです。偏肉フェースを採用しており、複雑な凹凸によって、ミスヒット時でも球がコロるように設計されています。また、AIからの提案によって、ウレタン樹脂のインサートの裏面にアルミ素材を採用することで、複雑な形状が可能になりました」。定番の『ホワイト・ホット』インサートの打音・打感に近づけるために、インサート表面には細かい溝が施されており、「ホワイト・ホットと同等レベルの軟らかい打感」を可能にしている。2024年には三角ネック『トライビーム』と融合させた『Ai-ONE トライビーム』が登場し、売り上げランキング1位をキープし続けるなど『オデッセイ』時代はまだまだ続きそうな気配を見せている。

アマチュアそれぞれに合った形状や素材を考えるからこそ、さまざまな技術が誕生し、さまざまなヘッド形状も生まれるのだろう。『オデッセイ』が生み出す今後の新技術が楽しみで仕方がない。

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