ティエリー・ヌービル今季初優勝。ヒョンデが待望の勝利をワン・ツーで決める/WRC第6戦イタリア

2023年6月4日(日)20時35分 AUTOSPORT web

 WRC世界ラリー選手権第6戦『ラリー・イタリア・サルディニア』は6月4日、競技最終日デイ4のSS16〜19が行われ、前日終盤に総合首位に立ったヒョンデ・シェル・モビスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が優勝。昨季最終戦ラリージャパン以来の勝利を飾った。


 地中海に浮かぶ“リゾートアイランド”サルディニア島を舞台に、6月1日(木)から4日間にわたって開催された2023年シーズン第6戦ラリー・イタリア・サルディニア。道幅の狭いステージを比較的早い速度域で駆け抜ける難関グラベル(未舗装路)ラリーとして知られる同イベントは、前戦ポルトガルが7戦にわたって続く“グラベルラリー連戦”の第2ラウンドだ。


 この週末、ラリーの拠点が置かれた島北東部のオルビア周辺は不安定な天候が続き、一日を通してすっきりと晴れわたることは終ぞなく、強弱の差こそあれど雨絡みのラリーとなった。その影響がもっとも顕著に表れたのは3日(土)のデイ3だ。


 競技初日、2日目ともに総合トップで終えたエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)と、トヨタGRヤリス・ラリー1を駆るセバスチャン・オジエがコンマ1秒差で迎えたこの日は、午前中は晴れ間も見えたが午後には雨模様に。一部のステージは非常に激しい降雨に見舞われた。両名が激しいトップ争いを繰り広げるなか、この雨を味方につけたヌービルはSS13で優勝争いに最接近すると、続くSS14ではオジエがコースアウトしデイリタイアとなったこともあり総合首位に浮上している。


 雨の影響はウォータースプラッシュにも表れた。コース上にできた水たまりの水かさが通常より増したことで多くのマシンが水の餌食となってしまう。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)もそのひとりで、デイ3オープニングのSS8のスプラッシュゾーンでマシンフロントを大きく壊し、その後デイリタイアに追い込まれた。


 また、同日にはオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)がスプラッシュ通過後に電気系トラブルが発生し、こちらもデイリタイア。4番手を争っていたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)もマシンにダメージを負い、遅れを取ってしまった。さらにコースアウトでのデイリタイアとなる直前には、オジエのマシンも外装にダメージを受けていた。

3位でフィニッシュしたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニア


■雨予報の最終日、勝田がSS18でステージウイン


 波乱のデイ3から一夜明け、最終日のオープングSS16は現地7時05分にスタート。ここでは再出走を果たしたタナクが一番時計を記録しヌービル、エバンスが同タイムで続いた。これにより首位ヌービルと2番手ラッピのタイム差は前日終了時の36.4秒から41.4秒に拡がる。


 ヌービルの快走はその後も続きSS17で4番手、勝田が今大会2度目のステージベストを記録したSS18では3番手タイムを記録。SS19の最終ステージを前にその差を42.5秒とした。


 午後に入って一時激しい雨が降ったために泥の道と化した“パワーステージ”では、大量の貯金を活かし余裕を持った走りで7番手タイムでフィニッシュしたヌービル。サルディニアで過去2勝を挙げているベルギー人が待望の2023年シーズン初優勝を達成した。なお、この勝利はヒョンデチームにとっても今季初めての勝利となり、それをヌービルとラッピによるワン・ツー・フィニッシュで飾っている。


 表彰台の最後のスペースは前後との差が大きく開き“ひとり旅”状態にあったカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が獲得。前戦ポルトガルでシーズン初優勝を飾った男はここでは3位表彰台とパワーステージ最速のボーナス5ポイントを獲得した。


 4位はチームメイトのエバンス。パワーステージでは右コーナーでワイドに膨らみリヤウイングを損傷するダメージを負うも、無事にフィニッシュまでクルマを運びチームにポイントをもたらした。一方、5番手で最終日に臨んだダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)はSS18開始前にメカニカルトラブルにより無念のリタイアとなった。


■フルモーが勝利目前でクラッシュ、リタイア


 この後方にはWRC2クラスの上位勢が並ぶこととなったが、最終パワーステージでドラマがあった。同クラスをリードし優勝目前にあったアドリアン・フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2)が、左のロングコーナーでアウト側にはらみコースオフ。右リヤの足回りを中心にダメージを受け、最後の最後でリタイアを余儀なくされた。
 
 この結果、先にラリーをフィニッシュしクラス2位以上を確定させていたアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)が順位を上げてクラスウイナーに。クラス2位はテーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー2)、同3位にはシュコダ・ファビアRSラリー2を駆るカエタン・カエタノビッチが入っている。

2位フィニッシュで3戦連続の表彰台獲得を達成したエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニア

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