“史上2番目の若さ”、“アーセナルで4人目”…イングランド代表FWサカの圧巻ハットトリックを深掘り!

2023年6月21日(水)16時17分 サッカーキング

 今月19日に行われたEURO2024予選・第4節で、21歳のイングランド代表FWブカヨ・サカ(アーセナル)が見事なハットトリックを達成した。



 北マケドニア戦に右ウイング(WG)としてスタメン出場したサカは、38分にチームの2点目をマークすると、51分までにハットトリックを達成して7−0の大勝に貢献。59分にお役御免でピッチを後にし、試合後にはマン・オブ・ザ・マッチに選出された。

 3点ともファインゴールだったが、圧巻だったのは後半開始直後に奪った2点目だろう。トレント・アレクサンダー・アーノルド(リヴァプール)のロングパスで裏に抜け出すと、カットインからボレーシュートを叩き込んで見せた。試合後にサカも「トレントは一流の選手さ。彼はハーフタイム中にああいうパスを出すと宣言していたんだ。そしてその通りのパスが来た。歩幅を調整する必要もないほど完璧なパスだったよ」とチームメイトに感謝した。



 それでは、そんな記念すべきサカのハットトリックを数字で振り返っていこう。

[写真]=Getty Images

 まず、サカにとって今回のハットトリックは代表戦だけでなく、プロキャリアを通じても初めてだったという。7歳からアーセナルに所属するサカは、2018年11月にヨーロッパリーグ(EL)のヴォルスクラ・ポルタヴァ(ウクライナ)戦で17歳にしてトップチームデビューを果たした。そこから瞬く間にチームに欠かせない選手にまで成長。今シーズンはアーセナルで公式戦通算48試合に出場して15ゴールを奪い、マンチェスター・Cと熾烈な優勝争いを演じたチームの顔として活躍した。

 何より凄いのが「疲れ知らず」で「怪我知らず」ということだ。昨シーズンから数え、プレミアリーグでは2シーズン連続で全試合に出場。それ以前から数えると80試合連続でリーグ戦に出続けていることになる。さらに今シーズンは昨年冬に開催されたFIFAワールドカップカタール2022でも大いに活躍。ベスト8に入ったチームにおいて、4試合に出場し3ゴールと強烈なインパクトを残した。

 サカは、これまでアーセナルで公式戦通算179試合に出場し38ゴールをマーク。イングランド代表でも年代別を合わせて55試合に出場してきたが、今回が初めてのハットトリックとなった。北マケドニア戦の試合後にサカは「前回3点決めた試合なんて覚えていない。ジュニア時代を含めてもね!」と振り返っている。

 英国ではハットトリックを達成した選手が試合球を持ち帰るという風習がある。試合後にチームメイト全員からサインを貰った試合球を手渡されたサカはご満悦の表情を浮かべ、「多分、特別なケースに入れて飾ると思うけど、その前に数日間はボールを抱いていようと思う。特別な夜になったね」と喜びを口にした。



 2020年10月のウェールズ戦で通算「1253人目」としてA代表デビューを果たしたサカは、代表5戦目となる2021年6月のオーストリア戦で初ゴールをマーク。今回の北マケドニア戦は代表通算28試合目だった。そして今回のハットトリックで、代表での通算ゴール数を「11」に伸ばした。

 “アーセナル在籍期間中”のイングランド代表での得点ランクを見ると、サカは2位まで浮上したという。1位は、元イングランド代表FWイアン・ライト氏や元フランス代表FWティエリ・アンリ氏に抜かれるまでアーセナルの歴代最多ゴール記録を保持していたクリフ・バスティン氏。1930年代にイングランド代表でも活躍した同氏は、代表通算21試合の出場で「12」ゴールを記録した。

 ちなみにデータサイト『England stats』によると、“アーセナル在籍期間中”のイングランド代表の出場試合数ランキングでは、ジャック・ウィルシャー氏(34試合)、マーティン・キーオン氏(34試合)、セオ・ウォルコット(47試合)、アシュリー・コール氏(52試合)、トニー・アダムス氏(66試合)、デイヴィッド・シーマン氏(72試合)など、まだまだ上がいる。そんな錚々たるレジェンドたちを抑えて最多出場記録を持つのは、80年代にアーセナルで活躍したケニー・サンソム氏で「77試合」となっている。

 ちなみに、アーセナル在籍期間中にイングランド代表でハットトリックを達成した選手となると、サカが史上4人目だという。これまでテド・ドレイク氏(1936年)、イアン・ライト氏(1993年)、セオ・ウォルコット(2008年)が、それぞれ1回ずつハットトリックを達成している。

 所属クラブを問わず、イングランド代表におけるハットトリックの回数を見ると、歴代最多はチェルシーやトッテナムなどで活躍したジミー・グリーヴス氏で「6回」。さらにはハリー・ケイン(トッテナム)とゲーリー・リネカー氏の「5回」で続いている。こうしてみると、トッテナム勢のハットトリック数が目立つ結果となっている。ちなみに、イングランド代表の歴代ゴール数で、ケインに次ぐ2位のウェイン・ルーニー氏(53ゴール)は、代表戦で一度もハットトリックを達成できていない。そう考えるとWGのサカの21歳にしてのハットトリックは素晴らしい偉業に思えてくる。

 サカの「21歳287日」でのハットトリック達成というのは、イングランド代表において史上2番目に若い快挙だ。最年少記録を持つのは前述のウォルコット。今シーズン限りでサウサンプトンを退団する同選手は、アーセナル在籍期間中の2008年9月に行われたクロアチア戦で「19歳178日」にしてハットトリックを達成。そのため“アーセナル系”の2選手が最年少ランクのトップ2を占めることとなった!


 なお、今回の北マケドニア戦はマンチェスター・Uの本拠地『オールド・トラッフォード』で開催された。サカは昨年9月に敵地でのマンチェスター・U戦で1ゴールをマーク。そのため今シーズンのサカは、『オールド・トラッフォード』で公式戦4ゴール(アーセナルで1、イングランドで3)を決めたことになる。データ会社『Opta』によると、これはマンチェスター・U所属のイングランドFWジェイドン・サンチョが今シーズンのホームゲームで決めたゴール数と同じだという…。

 キャリア初のハットトリックという最高の形で2022−23シーズンを締め括ったサカ。来る2023−24シーズンの活躍にも大きな期待がかかる。

(記事/Footmedia)

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