ハーフウエットでタイヤ温度に苦労したマツダ。トラコンは「キャデラックが極めて優れている」/IMSA第6戦

2021年7月6日(火)16時12分 AUTOSPORT web

 7月2日にアメリカ・ニューヨーク州のワトキンス・グレン・インターナショナルで2時間40分の決勝レースが行なわれたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第6戦『ウェザーテック240』で、一時はトップを走行していたマツダ・モータースポーツの55号車マツダRT24-P(ハリー・ティンクネル/オリバー・ジャービス)。不安定なコンディションのなかで順位を下げ、不本意な5位フィニッシュに終わったが、DPiクラスのポイントランキングではアキュラ10号車に次ぐ2位の座を維持している。


 前週に同じコースで開催された『ワトキンス・グレン6時間レース』を制して連戦に臨んだチームだったが、第6戦の週末は1回のみのフリープラクティス前に雨に見舞われ、わずか数日前に得たセットアップをリセットし、ウエット用のマシンを準備する必要に迫られた。


 路面が乾いていくなか行なわれた予選では、ティンクネルがターン8の立ち上がりでアウト側にはらみ、コース上の広告ボードをマシンの左フロントに拾ってしまう。冷却系統保護のためチームがティンクネルに停車を命じる間にもライバル勢が続々とタイムを更新したため、予選は5番手となった。


「予選後は本当にイライラした」とティンクネル。


「コーナーの出口で広告ボードに当たってしまい、そのデブリが張り付いた状態になっていたが、チームからのクルマを止めろという指示がなかなか聞こえなかったんだ。あれがなければ、僕らは少なくとも2番手にはなっていた」


 5番グリッドから決勝スタートを担当したティンクネルは、1コーナーで他車が接触する間に、2番手へとジャンプアップ。ドライでのペースは良好で、トップを走るウェイン・テイラー・レーシング(WTR)10号車アキュラARX-05(リッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ)と僅差の首位争いを展開する。


 最初のルーティンピットでティンクネルがコクピットにとどまった55号車マツダは、テイラーからアルバカーキに交代したアキュラ10号車をパスし、トップへと浮上。その後、GTDクラスのストップ車両のためイエローが導入され、さらにレースは雨と雷のため赤旗中断を迎える状況のなか、55号車マツダはワトキンス・グレンでの連勝に向けトップを維持していた。


 レースが残り50分、セーフティカー先導のもとで再開されると、翌周のピットオープンとともに、DPiクラスのマシンは一斉にピット作業へ。ここでマツダはジャービスへと交代するが、序盤からピット・シークエンスをずらし、赤旗前のピットで給油作業を済ませていたウェーレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.Rに先行されてしまう。


 路面状況が分からぬままスリックでコースインしたジャービスは、ターン8でわずかに縁石にタッチしてしまいスピン、5番手へと後退を喫した。


 残り36分でのリスタートでジャービスは4番手へと浮上するが、直後に再度イエロー。残り28分で迎えた最後のリスタート直後は、WTRの10号車アキュラ、そしてキャデラック・チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックと激しいポジション争いを繰り広げるも、ラインを外して5番手へとポジションを下げた。


 一度はマイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラにも抜かれ6番手にドロップしたジャービスだったが、チェッカーの数分前には60号車を抜き返し、最終的には5位でフィニッシュを迎えている。


「ハリーは素晴らしいオープニングスティントをドライブしてくれたし、雨が降るまではすべてが順調だった」とジャービスは述べている。


「赤旗のあと、ハーフ・ウエット、ハーフ・ドライのコンディションのなか、スリックタイヤでコースインした」


「タイヤの温度を上げるのに苦労したので、最初のうちは非常にドライブが難しかった。コースが乾くとクルマは生き返った。60号車を抜いたあと、ファイナルラップには5号車(キャデラック)にも迫ったが抜けず、5位に終わったのは非常に残念だ」


■前半に見せた好ペースがライバルに“別の戦略”を採らせる


 チームをオペレートするマルチマチック・スペシャルビークル・オペレーションズのエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるラリー・ホルトは、次のように述べている。


「よく適応できたとはいえ、非常に難しいレースとなった。終盤、ダンプコンディションをスリックで走る局面は、すべてにおいて難しかった」


「レース前半は我々のペースだったし、ハリーがマシンのパフォーマンスを力強く引き出していたため、いくつかのチームは我々を倒すため別の戦略を試すことになった」


「もしイエロー、そしてそれに続く赤旗が数周早く導入されていたら、彼らの戦略はダメになっていただろう。31号車は、その賭けをすることによって勝ったのだ」


「ハリーのアベレージ・ペースは彼のスティントではすべてのクルマのなかで最も速く、(雨がなく)グリーンの状況が続けば我々が勝利に向かっていたのは間違いない」


「だが、赤旗のあとで全員がスリックを選択すると、キャデラックは極めて優れたトラクションコントロールを備えているが、我々のそれは少し不調で、それによってオリバーはペースカーの背後でスピンすることとなった」

レース序盤はWTR10号車と首位を争った55号車マツダRT24-P


 第7戦ライムロック・パークはGTクラスのみのレースとなるめ、次にDPiクラスが参加するIMSAのイベントは8月6〜8日、ウィスコンシン州エルクハート・レイクに位置するロード・アメリカでの第8戦となる。


「残念な結果でグレンから去ることとなったが、マシン、ドライバー、クルーのパフォーマンスには自信がある」とホルト。


「ドライバー、およびチームのランキングでも、いまだ2位にいる。エルクハート・レイクの、我々のもうひとつのお気に入りのトラックを楽しみにしている」

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