WorldRX開幕戦は元王者2名を撃破した弟ケビンが制覇。ハンセン・ブラザーズが1-2発進

2021年7月27日(火)14時20分 AUTOSPORT web

 7月23〜24日にスペイン・バルセロナで幕を開けた2021年のWorldRX世界ラリークロス選手権は、今季も『プジョー208WRXスーパーカー』で参戦するティミー&ケビンのハンセン・ブラザーズが躍動。2019年王者の兄ティミーと、今季はアウディへの電撃スイッチを表明した3冠王者ヨハン・クリストファーソンらチャンピオン経験者ふたりを撃破し、弟ケビンが開幕勝利を飾っている。


 ドイツやベルギーを中心に、ヨーロッパで深刻な被害をもたらしている豪雨災害を受け、第2戦として7月31日〜8月1日に新規追加されていたニュルブルクリンク戦のキャンセルを決めたWorldRXは、改めてこのドイツ・ラウンドを11月27〜28日にダブルヘッダー戦としてリスケジュールすることを発表。


 8月20〜22日に開催予定のスウェーデンの“聖地”ホーリエス戦が新たなラウンド2を務め、その直前には今季後半戦の9月18〜19日に組み込まれてたラトビア・リガの1戦を「ダブルヘッダー戦に変更する」こともアナウンスされた。


 そんな状況のなかで開幕を迎えた2021年シーズンは、今季から“スーパーカー”改め『RX1』と改称されたトップカテゴリー・クラスに全16台のマシンが集結。前述の実力者3名に加え、レネ・ミュニッヒ率いるALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツからは元DTMドイツ・ツーリングカー選手権2冠王者のティモ・シャイダー(セアト・イビーザRXスーパーカー)が代表とともに引き続き参戦し、マーカス・グロンホルム率いるGRX-SET・ワールドRXチームは、エースを務める息子のニクラスとクリスティアン・サボーが『ヒュンダイi20 RXスーパーカー』を走らせる。


 また、アンコラプテッドから参戦のWRC世界ラリー選手権経験者ケビン・アブリング(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー)や、ふたたびエキサイト・レーシングのエントリー名で改良型ミニ・ クーパーSX1 RXスーパーカーを投入するイギリス出身のオリバー・ベネットなど、多彩な顔ぶれが揃った。


 クオリファイヒートが開催された初日23日の金曜は、4台×4ラップで争われたQ1から3冠王者クリストファーソンが、KYB EKS JC移籍後の新たな愛機『アウディS1 EKS RXクワトロ』をドライブし、宿敵ハンセン・ワールドRXチームを直接対決で下し逆転勝利を記録する。しかし、走行後にデータロガーが接続されていないことが判明し、まさかのタイム抹消処分に。これでライバルのティミーが総合首位で初日を終えることとなった。

今季から“スーパーカー”改め『RX1』と改称されたトップカテゴリー・クラスに全16台のマシンが集結した
今季はアウディへの電撃スイッチを表明した3冠王者ヨハン・クリストファーソンや、WRC世界ラリー選手権経験者ケビン・アブリング(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー)ら、豪華な顔ぶれが参戦する
Q1こそトラブルで落としたヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ)だが、週末はHansen World RX Team(ハンセン・ワールドRXチーム)との2強対決の構図に


■「この瞬間を長い間待ち望んでいた」と開幕ウイナーとなったケビン・ハンセン


 クルーのミスにより足元をすくわれた形となったクリストファーソンだが、翌日からのQ3以降を含め、その後の予選3ヒートすべてを首位で終え、なんとか中間成績で総合6位までカムバックすることに成功。その後もセミファイナル2でケビンに次ぐ2位に入り、からくもファイナル進出の権利を手にした。


 これでセミファイナル1勝者のティミーを筆頭に、決勝はヒュンダイをドライブするGRXのサボー、キャリア初のファイナル進出となったセアトのミュニッヒ、そしてGCKから初のフル参戦シーズンに臨むアブリングのルノーと、6台のファイナリストが出揃った。


 そのスタート直後からフロントロウのプジョー2台に次ぐ3番手に浮上して逆転の機会を窺ったクリストファーソンのアウディは、早めにジョーカーラップを消化してアンダーカットを試みるも、すぐさま反応した2番手ティミーに阻まれふたたびフタをされてしまう。


 そして6ラップ勝負の4周目には首位のケビンが意を決してジョーカーに飛び込むと、出口アウト側からクリストファーソン、ティミーの2台に大外刈りを決め首位復帰に成功。そのままポジションを守り切り、コクピットで感極まるシーズン初優勝を手にした。


「これは僕にとって本当に大きな意味があるんだ。(2019年アブダビの勝利はペナルティによる繰上げ)これが僕の正真正銘、最初のWorldRX優勝と言えるし、この瞬間を長い間待ち望んでいた。オフの努力が実り、素晴らしいマシンを手にできて最高だよ」と、喜びを語った23歳のケビン。


「ヨハン(・クリストファーソン)は今週末も大きな壁で、セミファイナルで彼を自分の後ろに留めておくことは絶対に重要だと感じていた。表彰台で左右を見て『ふたり合計で4回も世界選手権を制覇した、そのふたりに勝っている』と思うと、本当にクールだったね! こんな形でシーズンを始められるなんて、言葉にできないほど素晴らしいよ」


 この週末に併催された電動ワンメイク・クラスの『RX2e』ことFIA RX2eチャンピオンシップでは、ベルギー出身のギヨーム・デ・リデルがパーフェクトを達成し、初代勝者に輝いている。その『RX2e』と『Euro RX1』『Euro RX3』が併載されるWorldRX第2戦は、スウェーデンの“聖地”ホーリエスで8月20〜22日に争われる。

ファイナルではクリスティアン・サボー(ヒュンダイi20スーパーカー)に鼻先を抑えられた兄ティミーも、弟の勝利に「完璧な戦略が実行できた」
「僕が世界選手権をリードしたのはこれが初めてではないけれど、今年はそれを手放すつもりはないよ!」と勝者ケビン
電動ワンメイク『RX2e』ことFIA RX2e Championshipでは、ベルギー出身のギヨーム・デ・リデルがパーフェクトを達成し、初代勝者に輝いている

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