解雇騒動から一転残留へ レッドブルは、なにゆえペレスにこだわるのか
2024年7月31日(水)6時20分 ココカラネクスト
今季のペレスの成績を考えれば夏のドライバー交代も考えられたが…(C)Getty Images
レッドブルから解雇される恐れもあったセルジオ・ペレス(メキシコ)が今後もチームに残留することが7月29日、決まった。この日、チームの本社でクリスチャン・ホーナー代表と人事を統括するヘムルート・マルコ特別顧問がペレスの今後について協議し、選手交代はしない方針を確認した。これで同じレッドブルグループのRBに所属する角田裕毅の昇格人事は見送られた。
【関連記事】ペレスは更迭不可避か ベルギーGP後に交替の見込みも「条項発動の必要さえない」
『ESPN』など欧州メディアによると、ホーナー代表は方針を決めた後、チーム従業員に「ここ最近は臆測を呼んできたが、チェコ(ペレスの愛称)はレッドブルレーシングのドライバーのままであり、夏休み後も、優れた成績を残してきたレーシングトラックで彼のパフォーマンスを見るのを楽しみにしている」と伝えたという。
ただし、この選択肢が凶に出るのでは、と危惧する関係者は多い。前戦ベルギーGPではポイントリーダーのマックス・フェルスタッペン(オランダ)がパワーユニット交換によるグリッド降格の影響もあり4位。車重違反でメルセデスのジョージ・ラッセル(英国)の優勝取り消しがなければ、5位に沈んでいた。
チームメートをアシストする任務もあるペレスは7位と振るわず、9戦連続で表彰台に届かなかった。ドライバーズランキングも7位に低迷し、思うように機能していない。
そのためチャンピオン争いも盤石ではなくなってきた。特にコンストラクターズ(製造者)タイトル争いでレッドブルはランキング首位にいるものの、2位のマクラーレンに猛追され、その差は42点に詰まった。チーム内でもマクラーレンにコンストラクターズタイトルを奪われるのではないかとビビり始めており、ペレスの残留に疑問を抱くスタッフも多いという。
なにゆえにレッドブルはペレスにこだわるのか。同チームでは4年間在籍し、6勝をマーク。角田や後候候補といわれていたRBのダニエル・リカルド、リザーブのリアム・ローソンに交代した場合はさらに順位が下がることを恐れているという。また、ペレスが持ち込んだ母国メキシコの複数企業がチームスポンサーを降りて資金力が落ちることを嫌がったともいわれている。
このほかホーナー代表が女性従業員へのコンプライアンス違反でやり玉に挙げられた際にペレスがいちはやくホーナー代表を擁護する姿勢を示したことに恩義を感じているともいわれ、クビを切れなかったとの説もある。
ただ、ペレスは来季も残留すると発表されてはいるが、それは反故にされ、今季限りでチームを去ることになったもよう。角田にとっても後半戦に好成績を連発すれば、来季に向けてトップチームに招集される可能性は十分。がむしゃらにアピールしていくしかない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]