スポット参戦の中山とオリベイラが話す不安と期待。「すごく難しい」現在のスーパーフォーミュラ

2018年8月17日(金)17時36分 AUTOSPORT web

 ツインリンクもてぎで8月16〜17日に開催される、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦。後半戦の幕開けとなるこの大会に、ふたりのドライバーが代役参戦として2シーズンぶりにスーパーフォーミュラに参戦する。中山雄一とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラだ。


■中山雄一「いったんすべて忘れて走れることを楽しみたい」


 2016年ぶりに、かつて在籍していたKCMGからスーパーフォーミュラに参戦する中山。レギュラードライバーである小林可夢偉がWEC世界耐久選手権に参戦するため、代役参戦として第5戦に登場した。


 金曜専有走行を前に中山に話を聞くと、スーパーフォーミュラに参戦していた3年間の悔しさが伝わってきた。


「参戦しなくなってから、スーパーフォーミュラは見るレースになってしまいました。あのころと今のレースを比較しながら、悔しさや『あのときこうだったら』という思いなどがあるなかで、今回のお話をいただいたんです。またスーパーフォーミュラで走れることについて、僕のなかでいろいろな感情があります」


 中山は2014年から2016年までKCMGからスーパーフォーミュラに参戦していた。しかし、その3シーズンは思うような結果を残せず、ランキングも低迷。2017年にはシートを失った。


「うまくいかなかった3シーズンで、ほとんどが自分の思い通りにいかないレースばかりでした。悔しい気持ちでシーズンを過ごして、スーパーフォーミュラに乗れなくなってしまいました。だから、スーパーフォーミュラに対して、僕のなかではいいイメージがありませんでした」


「でも、今回のように1回限りで走るなかでは(そういったイメージは)足かせになると思うので、すべて忘れてこの環境で走れることを楽しみたいです」


 2シーズンぶりに乗るスーパーフォーミュラに対し、不安もある。


「どんなクルマだったか、体が忘れていると思うので、どのレベルで自分が走れるのか不安はあります。外から見ていてもスーパーフォーミュラはすごく難しいんです。僕が乗っているときもそうでしたが、そのときより(難しい)。(今回のレースで)トップだった選手が次のレースに行くと最下位になったりしますからね」


 タイヤも変わった。中山が参戦していたころのスーパーフォーミュラは、ミディアムの1スペックのみ。2016年のもてぎ戦では今シーズン同様にミディアムとソフトの2スペックタイヤを経験しているが、もちろん今シーズンのタイヤで走行したことはない。


「2016年のソフトタイヤが今シーズンのミディアムになっている感覚だと思います。2016年よりもミディアムとソフトの差がはっきりと出ているようです。レースでは、予選がだめでも決勝では追い上げるチームやドライバーがあったりします。その点、どんなことが起きるかわからないから楽しみですね」


 最後に、今大会での意気込みを聞くと、「ルーキーのつもりで戦いたいです」とはにかんだ。


「具体的な目標で言うと、これまでスーパーフォーミュラでは1.5ポイントしか取っていないのでそれを更新したいんです。それから、予選でQ3に行ったことも2回しかないから、Q3に行きたいですね。Q3に行くと、Q1、Q2とはまるで違った予選が待っているんです。そのときのマシン、路面感覚を体感したいです。自分の力を最大限に発揮出来たら、楽しいだろうなと思います」


 あくまでの2016年までの思いは抑えて戦いたいと語る中山。しかし言葉の端々から当時のレースを雪辱したい気持ちが感じられた。

中山雄一(carrozzeria Team KCMG)


■ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ「ステップ・バイ・ステップで前進」


 中山と同じく、オリベイラも2シーズンぶりのスーパーフォーミュラ参戦となる。可夢偉同様にWECに参戦する、中嶋一貴の代役だ。VANTELIN TEAM TOM’S 36号車のステアリングを握る。


 オリベイラは「VANTELIN TEAM TOM’Sでスーパーフォーミュラに参戦できて、とてもうれしいよ」と今回のエントリーについて喜びを表した。しかし一方で、やはり今季から導入された2スペックタイヤが気にかかっているようだ。

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(VANTELIN TEAM TOM’S)


「最後にスーパーフォーミュラをドライブしたのは(2016年最終戦の)鈴鹿だった。それからタイヤが違っているから、この週末でタイヤについて学ぶ必要がある。ステップ・バイ・ステップで前進していきたいと思っているよ」


 オリベイラにとって2018年のミディアム、ソフトのヨコハマタイヤを経験するのは今週末が初。久々のSF14に慣れるとともに、タイヤのフィーリングもつかまなければならない。


「ソフトタイヤでもレースではロングスティントが可能だと聞いている。今日(の専有走行)ではミディアムタイヤだけを試すつもりだ。そして明日、ミディアムとソフトを比べたい。どう違うのかなどをつかむことがポイントだ」


 スーパーフォーミュラの前身であった全日本選手権フォーミュラ・ニッポンと、スーパーフォーミュラ参戦時にオリベイラはもてぎで4勝を挙げている。そんなもてぎの印象について聞くと、「このサーキットではいい思い出がある。もちろん、シーズンの途中で参戦して、トップドライバーと争うのは難しいところはあるけれどね」とオリベイラ。


「でも、チームの助けになりたいし、チームにいい情報とマシンの改善を提供したいと思っている。それから、ポイントを獲得したいね。スポット参戦で結果を出すのは難しいかもしれないけれど、可能だとも思っているよ」


 2シーズンぶりのスーパーフォーミュラ参戦で、ベテランの老獪さを見せるか。スーパーフォーミュラ第5戦は、“帰ってきた”ドライバーふたりの、それぞれの戦いにも注目したい。

オリベイラは専有走行で14番手


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