バッケルドのジョーカー“未消化”で王者ラーソン勝利。復帰ファウストも表彰台へ/Nitrocross第2-3戦

2023年8月24日(木)17時16分 AUTOSPORT web

 より「シリーズの理念を体現するカテゴリー」への脱皮を目指し、今季よりNitroRX改め『Nitrocross(ナイトロクロス)』へとリブランドした新シーズンが、6月以来にユタ州ソルトレイクシティで再開。変則的に8月18〜19日の金土開催となったイベントは、このラリークロス界の“重鎮”たるタナー・ファウスト(XITEエナジー・レーシング)の復帰や、インディカー出身コナー・デイリー(DRR JC)の継続参戦などで話題を集めるなか、初日の第2戦はケビン・エリクソン(オルスバーグMSE)を退けたシリーズ創設者兼初代王者のトラビス・パストラーナ(バーモント・スポーツカー)が今季初勝利を飾った。


 続く第3戦はドレイヤー&レインボールド・レーシング・ウィズ・JCレーステクニーク(DRR JC)のチームメイト同士の争いとなるなか、アンドレアス・バッケルドが「義務付けられているジョーカーラップを果たせなかった」という不測の事態を演じ、最終的に王者ロビン・ラーソンが優勝を飾っている。


 先の6月16〜17日に、オクラホマ州ジェイのミッドアメリカ・アウトドアで開幕を迎えた新生シリーズは、2023-24シーズンの第2戦と第3戦をダブルヘッダー開催とし、各レギュラー勢がユタ・モータースポーツ・キャンパスの特設トラックに集った。


 さらにイベント前には、開幕戦に出走したクリス・ミークに代わり、新たに北米ラリークロス“4冠”を誇る第一人者、ファウストの起用もアナウンスされた。


「今季はマクラーレンとともにエクストリームEに参戦することは分かっていたが、非常に多忙なスケジュールで、引き続きラリークロスでの契約が最適かどうかが分からなかったんだ」と、GRCグローバル・ラリークロスやXゲームズ、そしてARCアメリカズ・ラリークロスで記録的な勝利を収め続けてきたファウスト。


「今のところはむしろ、ひとつのチャンピオンシップに集中し、こうして機会があればゲストドライバーとして参戦したいと思っている。(ラリークロスは)ふたたび勢いを取り戻し始めていると思うが、それはまだ再構築の過程であり、掲げた理念と理想に到達したら、僕も間違いなくその仲間入りをするだろうね」


 引き続き最高峰クラス“グループE”には最高出力1080PS(800kW)、0-100km/h加速約1.4秒というフル電動ワンメイクEV『FC1-X』が採用され、各4グループでプラクティスヒート最速となったドライバーがトップクオリファイアーのセッションに進出。ここで敗退した残る3名は予選グループに振り分けられ、バトルヒートを経てファイナル進出を目指す、というフォーマットが採用される。

約2カ月ぶりの再開は、ラリークロス界の”重鎮”たるタナー・ファウスト(XITE Energy Racing)の復帰や、インディカー出身コナー・デイリー(DRR JC)の継続参戦などで話題を集めた
初日の予選”Top Qualifier”は、コナー・マテル(Vermont SportsCar)が獲得した
第2戦はケビン・エリクソン(Olsberg MSE)を退けたシリーズ創設者兼初代王者のトラビス・パストラーナ(Vermont SportsCar)が今季初勝利を挙げた


■トップフィニッシュも優勝ならず。ペナルティ受け降格


 それ以外のチームは、決勝日午前の予選ヒートなどを経て、全8台によるファイナルの出場権を争うが、迎えた初日から激しい展開に。前戦勝者フレイザー・マッコーネル(DRR JC)が技術違反によりヒートレースから除外されると、ファイナル進出を目指したラストチャンス予選では壁に接触してドライブシャフトを折り、ここで第2戦を終えることに。


 一方、この日は両方のプラクティスセッションを欠場したにもかかわらず、ラリークロス2戦目を迎えたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLLR)所属のデイリーは、ファイナル進出を決めて上位4人のドライバーのラップタイムに並ぶ走りを披露すると、ファイナルラップではそれを上回るタイムで自己最高の5位に喰い込むなど目覚ましい進捗ぶりを見せつける。


 しかし4周の決勝戦で主導権を握ったのはパストラーナとエリクソンのふたりで、両者とも長いジョーカーラップを早めに切り上げた後、トラック最終セクションの舗装路でバンパー・トゥ・バンパーまで迫ったエリクソンを退け、ハイバンクのターンと大きなギャップを持つジャンプスポットを有する特設トラックの設定にも関わるパストラーナが、新生シリーズ最初の勝利を手にした。


 明けた土曜の第3戦は、予選“トップクオリファイアー”を獲得したエリクソンがファイナルの大部分で主導権を握る展開に持ち込むも、王者ラーソンがオープニングラップでジョーカーに飛び込み、クリーンエアを利用して最終周での逆転を狙う戦略を採る。


 一方、その僚友を務めるバッケルドは、決勝の4周で最初にフィニッシュラインを越えたが、コース上で約2秒長いとされるジョーカーラップのルートを消化しなかったため、30秒のペナルティを受けて5位に降格するまさかの展開に。この結果、ファイナルラップでエリクソンをオーバーテイクし、ライバルのわずか0.337秒前でラインを越えた王者ラーソンが今季初勝利を飾ることに。また、このペナルティにより3位には復帰組のファウストが続くこととなった。


 続いてアリゾナ州フェニックスで開催される、おなじみワイルドホースパスでの1戦もダブルヘッダーとなり、長いブレイクを挟んだ11月10〜11日のスケジュールが組まれている。

再度のインディカー復帰も決まったコナー・デイリー(DRR JC)も、ファイナルで遜色ないスピードを披露した
第3戦で、なぜかジョーカー未消化のままフィニッシュしてしまったアンドレアス・バッケルド(DRR JC)
最終的に王者ロビン・ラーソン(中央)が優勝を飾り、復帰のタナー・ファウスト(XITE Energy Racing/右)も表彰台に上がった

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