BTCホンダのクックが“高速戦マイスター”ぶりを発揮。王者サットンは選手権独走へ/BTCC第6戦

2021年9月1日(水)13時11分 AUTOSPORT web

 8月28〜29日の週末にイギリス屈指の高速トラック、スラクストンで開催された2021年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権第6戦は、公式練習から速さを発揮したFK8型ホンダ・シビック・タイプR勢が躍進をみせた。レース1では過去4シーズンで6度開催されているこのトラックで、通算7勝目を達成したジョシュ・クック(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/BTCレーシング)が、新たな“スラクストン・マイスター”を襲名。


 続くレース2は、そのシビックを逆転したディフェンディングチャンピオンのアシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC/レーザーツール・レーシング)が制し、今季4勝目をマークして選手権リードをさらに拡大する結果に。そして事件満載だった週末最終のレース3は、アダム・モーガン(BMW330i M-Sport/カーグッズ・ウィズ・シシリー・モータースポーツ)が第3戦以来、2度目の勝利を飾っている。


 クック自身の最速で幕を明けた週末最初のフリープラクティス1回目(FP1)に続き、FP2は今季BTCC復帰を果たした3冠王者ゴードン・シェドン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/チーム・ダイナミクス)がトップタイム、さらに予選ではその僚友ダニエル・ロウボトム(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/チーム・ダイナミクス)が今季2度目のポールポジションを獲得するなど、超高速トラックとFK8シビックの相性が際立つ結果となった。


 オープニングこそポールシッターのロウボトムがホールショット決めたレース1だったが、2列目3番手にいたクックと、FRのトラクションを活かして5番手から上がってきた“古豪”ウエスト・サリー・レーシング(WSR)のトム・オリファント(BMW330i M-Sport)が、すぐさま2番手のジェイク・ヒル(フォード・フォーカスST/MBモータースポーツ・アクセラレーテッド・バイ・ブルースクエア)を飲み込むと、勢いそのままに先頭ロウボトムを攻略したBTCホンダのクックが首位に浮上する。


 BMWにも先行されたヒルだったが、こちらもすぐにポジションを奪還すると、クック、ヒル、オリファントの3台は序盤に得たポジションを守り16周のチェッカー。「一度もガスペダルから足を離せないと覚悟を決めていた」と語ったクックが、2018年から続く『スラクストン常勝』の記録を継続する今季3勝目を手にしている。


 その新マイスターを先頭に開始されたレース2は、前戦5位だった現ポイントリーダーが逆襲を見せ、序盤からサイド・バイ・サイドの勝負を演じていたフォードのヒルとロリー・ブッチャー(トヨタ・カローラGR Sport/TOYOTA GAZOO Racing UK)を手玉に取り、同一周回で2台を攻略して早くも3番手に浮上する。

こちらも第3戦以来、今季2度目の予選ポールポジションを獲得したダニエル・ロウボトム(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/Team Dynamics)
レース1は序盤でジョシュ・クック(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/BTC Racing)が主導権を握る展開に
「予選3番手から勝利を得ることは、チームと僕にとって最大の望みだった」と喜びを語ったレース1勝者クック
「予選フロントロウ獲得はちょっとした驚きだった」というジェイク・ヒル(フォード・フォーカスST/MB Motorsport accelerated by Blue Square)は、2位、4位、4位と好調な週末を過ごした


■インフィニティ駆る王者サットンが4勝目をマーク


 BMWのオリファントを追った元スバル・レヴォーグGT使いの王者は、3周目の終わりにシケイン出口でWSRのファクトリーBMWを仕留め、最大のサクセスバラストを搭載するクックのホンダに迫っていく。


 その後、なんとか10周目まで粘った首位のクックだったが、BMWと同じくシケインで先行され勝負は決着。今季3度目のレース2制覇で4勝目を挙げたサットンが「今朝から計画を練っていたし、このレース2に勝つことが最重要だった」と、選手権首位固めの勝利を挙げた。


「クッキー(クックの愛称)とのバトルは簡単ではなかったが、なんとか彼に連勝されなくて済んだね! ファステストも狙ったが、彼のディフェンスでそれも厳しかった。僕らはいつも素晴らしいバトルを演じられるし、彼は最高の対戦相手だ」と、ホンダに乗る元同僚を評した王者サットン。


 続くレース3はリバースグリッド抽選を経て、前戦8位フィニッシュのモーガンが最前列からスタートを切ると、同じくBMWを操るコリン・ターキントン(BMW330i M-Sport/WSR)と熾烈な“BMW同門対決”を繰り広げる。


 その背後では、3冠シェドンやジェイド・エドワーズ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/PHSC・ウィズ・BTCレーシング)、サム・スメルト(トヨタ・カローラGR Sport/TOYOTA GAZOO Racing UK)ら多くのマシンが絡んで、都合3度のセーフティカー出動という大荒れの展開に。


 残り3周のリスタートでコースオフし、シケインをカットするあわやの場面もありながら、走路外走行もお咎めなしとなった首位モーガンが、第3戦ブランズハッチ・インディに続きBMWでの2勝目を達成。2位ターキントンに続き、もう1台のホンダを操るセナ・プロクター(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/BTCレーシング)が3位表彰台に上がっている。


 そしてバラスト搭載ながらこのヒートでも10位に入り、ランキング2位のトム・イングラム(ヒュンダイi30ファストバック Nパフォーマンス/ギンスターズ・エクセラー8・ウィズ・トレードプライスカーズ・ドットコム)に対し30点もの大量マージンを得たサットンは、「冬のテストこそ、インフィニティの可能性を解き放つカギになった」と、今季安定してパフォーマンスを発揮するQ50の戦闘力を称賛。


 2週間後の9月18〜19日に開催される第7戦クロフトに向けても「再舗装が行われて以前ほどFRの優位性はないだろうが、進歩を維持するため懸命に働くつもりだ」と、3度目の王座に向け最高の後半戦折り返しをみせている。

「この先のシーズンにはお気に入りのサーキットがいくつか登場するし、華やかになりそうだ」とレース2勝者アシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC/Laser Tools Racing)
レース3はアダム・モーガン(BMW330i M-Sport/Car Gods with Ciceley Motorsport)対コリン・ターキントン(BMW330i M-Sport/WSR)の“BMW同門対決”に
「自宅で真剣にシム・トレーニングを重ねてきた成果」と、ターキントンの圧を跳ね返したレース3勝者モーガン
表彰台こそ逃したものの、ロリー・ブッチャー(トヨタ・カローラGR Sport/TOYOTA GAZOO Racing UK)も4位、5位、6位と上位を争った

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