“難癖”を一蹴した井上尚弥 フルトン撃破の舞台裏で見せた「愛」にリング誌編集長も脱帽「彼を傲慢と言う奴もいた」

2023年9月5日(火)11時0分 ココカラネクスト

フルトン戦の前には彼の実力を疑う声もあった。しかし、井上はそうした逆風をいとも容易くはねのけた。(C)Getty Images

 ボクシングの本場からやってきたカリスマを、完璧に粉砕した井上尚弥(大橋)。「モンスター」の異名を授かる所以を世界に知らしめた30歳の日本人チャンプに対する評価は天井知らずで高まっている。

 7月25日に東京・有明アリーナで行われたWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦で、井上は2団体統一王者のスティーブン・フルトン(米国)と対峙。試合後に「最強と言えるんじゃないかな」と語った30歳は序盤から主導権を握ると、8回に怒涛の連打を浴びせ、TKOで勝利を飾った。

【動画】フルトンもタジタジ 井上尚弥が世界に見せつけた衝撃のKOシーンをチェック

 井上の図抜けた強さを証明するような試合運びに賛辞が相次いだ。そのなかで「こいつはパウンド・フォー・パウンド(PFP)1位に値するものだ」と絶賛したのが、創刊101年を数える世界で最も権威ある米老舗ボクシング専門誌『The Ring』の編集長を務めるダグ・フィッシャー氏だ。

 米スポーツ専門局『ESPN』で記者を務めていたスティーブ・キム氏がホストを務める米ボクシング専門ポッドキャスト番組『3 Knockdown Rule』のYouTubeチャンネルにゲスト出演したフィッシャー氏は、「私にはイノウエの勝利のほうが、少し際立って見えた」とPFPランクにおける“井上推し”の姿勢を崩さなかった。

「もしクロフォードとスペンスの試合が失敗に終わっていたとしても、それでもハッピーだった。なぜなら、試合前にイノウエに投げかけられていた軽蔑があったからだ。彼のことを傲慢だと言う奴もいた」

 ここでフィッシャー氏が言う「軽蔑」とは、井上を過小評価する識者や同業者たちの声だ。数多の猛者たちを見定めてきた同氏は、「イノウエは色々と言われていた。『実績のある対戦相手はノニト・ドネア1人だけだった』や、そのドネアが『歳を取っていた』とかいう奴もいた。パフォーマンス向上薬を使った疑いを投げかけたり、グラブ(バンテージ)の巻き方が違法だとか、ありとあらゆる論争が積み上がっていた」と試合前に吹き荒れていた“逆風”を語った。

 さらに井上はフルトン陣営から「我々はクリーンにやりたいんだ」と指摘され、バンテージの巻き方に不服を申し立てられていた。そうした“難癖”をモンスターは意に介さず、リングで己の力を証明した。フィッシャー氏はこう舌を巻く。

「彼はフルトンの陣営に試合前に“愛”を見せたんだ。いや、まったくすごかった……。テーピングを巻くところを目の前で見せ、『これで大丈夫か? この巻き方でいいか?』と確認した。そしてリングに上がり、圧勝したんだよ。本当に一流で多才なボクサーにね」

 いかなる逆風にも動じず、己の力を信じ抜いた井上。彼の異次元の強さに、さすがのフィッシャー氏も惚れ込んでいる様子だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

ココカラネクスト

「井上尚弥」をもっと詳しく

「井上尚弥」のニュース

「井上尚弥」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ