プジョーのハンセン・ブラザーズが快進撃、開幕から3戦連続の1-2フィニッシュ達成/WorldRX第3戦

2021年9月8日(水)17時38分 AUTOSPORT web

 9月3〜5日にフランス・ロエアックを舞台に争われた2021年のWorldRX世界ラリークロス選手権第3戦は、前戦に続きセミファイナルでトラブルに見舞われた3冠王者ヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)を尻目に、ティミー&ケビンのハンセン・ブラザーズ(プジョー208 WRXスーパーカー/ハンセン・ワールドRXチーム)が再び躍動。開幕のスペイン・バルセロナ、第2戦のスウェーデン・ホーリエスに続き、3戦連続の兄弟1-2を飾っている。


 開幕の予選Q1ヒート失格に始まり、前戦の地元スウェーデンでもセミファイナルで“ダブルパンクチャー”を喫して勝負の権利すら与えられなかったクリストファーソンは、この週末に2万5000人の観衆を集めたフランスで起死回生を狙っての走り出しとなった。


 その気持ちを反映するかのように、公式練習での最速からQ1を2番手とすると、土曜最後のQ2でもトップタイムを記録し、初日最速のドライバーとして夜を越すこととなった。


「ここでも限界を押し上げる必要があると思って全力で挑んでいるが、オフラインでは本当にグリップがなく、ミスをした場合にタイムを取り戻すことは非常に困難になるんだ」と初日を振り返ったクリストファーソン。


 最速を逃したQ1ヒートでは、ここ2戦不調が続いていたニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SETワールドRXチーム)とのバトルで第2戦のQ2と同じくマシンがあらぬ方向を向き、フルカウンター、フルスロットルの窮地に陥る“デジャヴ”を経験した。


「スタートが非常に重要だったが、Q1では良好なトラクションを得てターン1でリードを奪うことができた。でも思ったよりギャップが充分でなく、ターンインでリヤを当てられたんだ」と続けるクリストファーソン。


「それでマシンがほとんど180度逆向きになるような状況に陥ったが、そこからまたフルロック、フルスロットルでなんとか立て直すことができた。幸運にも2番手タイムで生き残り、Q2はとりあえずスムーズに進んでありがたかったよ」


 初日3番手にはQ1の最終コーナーで豪快なオーバーテイクを披露し、Q2でも2番手タイムを記録したWRC世界ラリー選手権経験者ケビン・アブリング(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/UNKORRUPTED)が続き、ハンセン兄弟は弟ケビンが4番手、兄のティミーが5番手で翌日からの勝負に備える状況となった。


 明けた日曜のウォームアップで、セットアップの変更に手応えを得たケビンが最速タイムをマークすると、彼らのプジョー208WRXスーパーカーは息を吹き返したかのようなスピードを見せ、Q3ではクリストファーソンに続いて2番手、3番手、Q4では兄のティミーが最速を刻んでセミファイナル進出を確定。


 するとそのセミファイナル1ではともに世界チャンピオンを経験するふたりが直接対決の構図となるも、ここでKYB EKS JCのアウディS1 RXクワトロはまさかのドライブシャフト破損で失速し、最終ラップでティミーのプジョーに続きティモ・シャイダー(セアト・イビーザRXスーパーカー/ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ)にもパスされ、失意の3位フィニッシュとなった。

予選Q1で“フルカウンター、フルスロットル”の窮地に陥ったヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)
セミファイナルのセッション終了後にはギヤボックスの損傷も判明したクリストファーソン(左)。2戦連続でファイナル進出を逃す結果に
好調ケビン・アブリング(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/UNKORRUPTED)は初日3番手の勢いそのままに、ファイナル進出も決めた


■『EuroRX1』クラスはレネ・ミュニッヒが初優勝を達成


 さらにセッション終了後にはギヤボックスの損傷も判明したクリストファーソンのマシンは、懸命な修復作業に取り掛かったものの、残念ながらファイナルに向け指定された制限時間内にグリッドに着くことが叶わず。


 代わってセミファイナル1で4位だったアブリングのルノー・メガーヌがファイナル進出を決め、ティミー、シャイダーに加えセミファイナル2からの進出を決めた弟ケビンとグロンホルム、そしてクリスティアン・サボー(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SETワールドRXチーム)の6台によるファイナルとなった。


 最前列から並んでスタートを切ったプジョーの2台がサイド・バイ・サイドでオープニングラップを制し、3番手のグロンホルムに対して盤石のリードを構築すると、アーリージョーカーの戦略を採ったアブリングやシャイダーらの追随も許さず独走状態へ。6周を通じて兄弟の地位を脅かす存在は現れず、ティミー&ケビンのオーダーで3戦連続の1-2フィニッシュを達成した。


「僕らは素晴らしいシーズンを過ごしているし、3戦連続1-2なんてまるで魔法のようだ。ヨハンが技術的な問題を抱えたのは残念だったが、それは時として誰にでも起こりうるもので、今日は僕らの日だったということだ」と、自身2連勝の喜びを語った兄のティミー。


「今日のケビンは終始スピードがあり、ずっと僕のバンパーに張り付いていた。できるだけプッシュする必要があったけど、この結果を共有できて最高だ」と兄が語れば、弟ケビンも「兄とそんなに長い間サイド・バイ・サイドを続ける気はなかったけれど、なんとかうまく走れたね! 僕らはタイヤ戦略でフレッシュなセットを残せていたから、あとは1-2を持ち帰ることに集中したよ」と、盤石のレース運びを見せた。


 そして今季初ポディウムの3位グロンホルムに続いて、4位にはファイナルで滑るクラッチを抱えながら騙し騙しの走行となったアブリングが続く結果となっている。


 一方、このラウンドで第2戦を迎えた『EuroRX1』クラスは、初日最速を記録したアンドレアス・バッケルド(シュコダ・ファビアRXスーパーカー)を撃破し、レネ・ミュニッヒ(セアト・イビーザRXスーパーカー/ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ)が初優勝を達成。4位に入ったバッケルドはチームメイトを逆転してポイントテーブルのトップに上がっている。


 引き続き約2週間後の9月18〜19日開催を予定するWorldRX第4戦は、そのEuroRX1第3戦併催に加えて、トップカテゴリーのWorldRX第5戦も数えるダブルヘッダー戦として、ラトビア・リガを舞台に争われる。

ファイナルのスタートでは最前列のプジョー2台が盤石の発進を決め、オープニングラップをサイド・バイ・サイドで周回する
「前日の不調からペースを取り戻すべく懸命に働いたチームにとって、100%の結果」と勝者ティミー(右)
『EuroRX1』クラスは、初日最速を記録したアンドレアス・バッケルド(シュコダ・ファビアRXスーパーカー)が選手権首位に浮上している

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