初ル・マンの山下が健闘、LMP2ハイパーポールに進出/第88回ル・マン24時間予選レポート

2020年9月18日(金)2時29分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権2019/20シーズン第7戦、第88回ル・マン24時間レースは現地時間9月17日、17時15分から45分間の予選セッションが行なわれ、トヨタGAZOO Racingの7号車TS050ハイブリッドを駆る小林可夢偉が総合トップタイムをマークした。


 近年のル・マンでは、2日間・3セッションにわたって予選が行なわれてきたが、2020年はこれが一新。木曜夕方に設けられた45分の予選セッションで各クラス上位6台に入ったマシンが、金曜午前の“ハイパーポール”に出場できる2セッション制となった。各クラス7番手以下は予選で、上位6台はハイパーポールでグリッドが決定される。


 WECのシリーズ戦ではふたりのドライバーの平均タイムでグリッドが争われるが、ル・マンでは当該マシンのベストタイムで予選順位が決まる。参戦5台のLMP1は“自動通過”となるが、台数の多いLMP2とLMGTEアマクラスでは、上位グリッドを目指す激しい戦いが展開された。


 わずか45分間に59台(実際にはFP2までのクラッシュの影響などもあって57台)がタイムアタックを行なうため、クリアラップを取るのがこれまで以上に難しくなることが、セッション前から予想されていた。


 セッションスタート時は気温29度、路温40度というコンディション。開始5分前からピットロードにはコースインを待つ車列ができ始める。


 トヨタ7号車は可夢偉が、8号車は中嶋一貴がステアリングを握ってコースイン。このほか日本勢ではLMP2のハイクラス・レーシング33号車オレカ07・ギブソンに山下健太が、LMGTEアマクラスのMRレーシング70号車フェラーリ488GTE Evoにはケイ・コッツォリーノが乗り込み、タイムアタックをスタートさせた。


 LMP1では、アタック1周目に一貴が3分17秒336をマーク。直後にコントロールラインを通過した可夢偉が3分17秒089でこれを上回り、トップに立つ。可夢偉は翌周にピットへと向かい、マイク・コンウェイに交代した。


 一貴はもう1周走行を続けたが、結局可夢偉より1周遅らせる形でピットへと戻る。最終的にトップ2台の順位は、この最初のアタックのタイムで決した。

トップタイムをマークした小林可夢偉の7号車TS050ハイブリッド


 トヨタ2台の背後ではLMP1ノンハイブリッド勢による争いが勃発するが、最終的にブルーノ・セナのレベリオン・レーシング1号車が、4号車バイコレス、3号車レベリオンにやや差をつける形で、3番手に入っている。

予選3番手となったレベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13

バイコレス・レーシングチームのENSO CLM P1/01・ギブソン


■山下健太のハイクラス・レーシング、“首の皮一枚”で通過


 8台の争いとなったLMGTEプロクラスでは、セッション序盤から2台のアストンマーティン・バンテージAMRがトップ2を独占。


 その背後には2台のポルシェ911 RSRがつけていたが、セッション中盤にAFコルセ71号車のフェラーリ488 GTE Evoが3番手につけ、さらに僚友の51号車フェラーリが終盤にこれを上回ったことで、アストンマーティン2台、フェラーリ2台、ポルシェ2台と続くトップ6となった。


 LMGTEアマクラスでもアストンマーティンが速さを見せ、アストンマーティン・レーシング98号車、TFスポーツ90号車の順にトップ2を独占。3番手にはガルフ・レーシングの86号車ポルシェが入り、ハイパーポール進出の6台はアストン2台、ポルシェ3台、フェラーリ1台となっている。

LMGTEプロの予選、アストンマーティン勢に続く3番手に入ったAFコルセ51号車のフェラーリ488 GTE Evo

GTEプロ、GTEアマの両クラスで速さを見せつけたアストンマーティン・バンテージAMR


 見応えのある激しいハイパーポール進出争いが繰り広げられたのは、24台がエントリーするLMP2クラスだ。


 直前に行なわれたFP2終盤、山下のチームメイトであるマーク・パターソンがトラブルかコース脇にマシンを停め、FCYの原因を作っていた。マシンがピットに戻ったのは、セッション終了直前。FP2後のインターバルが15分しかない予選への出走が危ぶまれたが、チェッカーまでのわずかな時間で山下がコースインして問題なくタイムが出せることを確認し、予選へとつなげた。


 予選開始からステアリングを握った山下は、最初のアタックで3分27秒611をマーク。各車の1回目のアタックがほぼ終わった時点でもクラス4番手に留まっており、上々の滑り出しだ。山下はピットに戻り、アンデルス・フィヨルドバッハに交代する。


 この時点でLMP2のトップはジャッキー・チェンDCレーシング37号車オレカ07、ユナイテッド・オートスポーツ22号車オレカ07、Gドライブ・レーシング26号車アウルス01、そしてハイクラス・レーシングと続いていた。


 レーシングチーム・ネーデルランド29号車オレカ07のニック・デ・フリースが3番手に飛び込み、これで山下の33号車は5番手に後退。その後デ・フリースはさらにタイムを縮め、クラストップに立つ。


 セッション残り13分、ハイクラス・レーシングはハイパーポール進出を確実なものとするためか、再び山下がマシンに乗り込んだ。その直後、Gドライブ・レーシングbyアルガルベ16号車アウルス01のニック・タンディが山下の背後、6番手に浮上してくる。


 山下の再度のアタックは3分32秒台とふるわない。次の周には山下はピットへと戻り、これで33号車はセッションを終えた。JOTAの38号車オレカ07・ギブソンをドライブするアントニオ・フェリックス・ダ・コスタが6番手へと上がる。


 チェッカーが振られるなか、最後のアタックを敢行していたユナイテッド・オートスポーツ32号車オレカ07のアレックス・ブランドルが山下のタイムをわずかに上回り、山下はハイパーポール進出ギリギリ圏内となる6番手へと後退する。


 さらにタイムを上回るマシンがいるのか、いないのか。緊張感がにわかに高まったが、結局このあとタイム更新はなく、33号車はこの日初めてサルト・サーキットをドライブした山下の力走により、クラス6番手で金曜日のハイパーポール進出を決めた。

ハイパーポール進出を決めたハイクラス・レーシング33号車オレカ07・ギブソン


 木曜日のセッションはまだ終わらない。現地時間20時(日本時間18日金曜午前3時)からは、4時間にわたるナイトセッションとなるFP3が行なわれる。


 明けた金曜日は現地時間午前10時から1時間のFP4、そして11時30分からハイパーポールが行なわれ、決勝のスターティンググリッドが決する。

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