【コラム】絶対王者に陰り? 脆い守備陣とイグアインの不振がもたらすユーヴェの不安感
2017年9月19日(火)17時52分 サッカーキング
セリエA第4節を終え、早くも得点王争いがおもしろくなっている。トップは、ナポリ、インテルとともに全勝中のユヴェントスで10番を背負うFWパウロ・ディバラで、8得点と爆走中。次いで、6ゴールのラツィオFWチーロ・インモービレがインテルのFWマウロ・イカルディを抜いて2位に躍り出た。そして、イカルディとともに、ナポリのFWドリース・メルテンスもすでに5得点を記録し、昨シーズンと同じようにゴール街道まっしぐらといったところだ。そんな流れに乗りきれず、そのプレーに疑問符が付けられているのがディバラと同じユヴェントスのFWゴンサロ・イグアインだ。
ここまで、リーグ戦4試合で2ゴールというのは決して悪くはない。昨シーズンまでの華々しい出だしに比べると、いささかスタートダッシュに失敗した感はあるが、FWとして落第ではないだろう。ただ、チャンピオンズリーグ(CL)のバルセロナ戦では精彩を欠き、途中交代の際に見せた“中指立てポーズ”は逆にバルサ・サポーターの失笑を誘った。
興味深いデータが出ている。イグアインはこれまでCLで、バルセロナやバイエルンなど6つのビッグクラブ相手に得点したことがないというものだ。イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、イグアインのCL通算成績は62試合出場17得点。そのうちバルセロナ、バイエルン、マンチェスター・U、マンチェスター・C、レアル・マドリード、リヴァプールと合計14試合戦っているが、1ゴールも決めていない。シュート数は23本で12本がゴール枠内だったが、1本もネットを揺らすことはなかった。13日に0−3と完敗したバルセロナ戦後、マッシミリアーノ・アッレグリ監督は「簡単なことで間違うようなら、勝利は難しく不可能になる」とコメントしている。
17日のセリエA第4節サッスオーロ戦でも、途中交代の際、イグアインはベンチでイライラ感を爆発させた。ただ、今シーズンのイグアインを“スロー・スタート”と見るか、終わった感のある1人のFWと見なすか、まだ決定的な評価を下すには難しいところだ。
ユヴェントスは今シーズン、ディフェンス面での不安定さが指摘されている。8月のラツィオとのイタリア・スーパーカップからここまで公式戦6試合で9失点はリーグ6連覇の始まりとなる2011−12シーズンから比較すると(※)ワースト記録だ。ディフェンス面では、すぐにイタリア代表DFレオナルド・ボヌッチの抜けた穴が指摘されがちだが、GKジャンルイジ・ブッフォンはバルセロナ戦後「守備面では、まだまだ改良していかなければならないところが多い。バランスがよくないところがある。そのため、失点するリスクが多くなっている部分もある」と認めた。
イタリアでは唯一、ヨーロッパレベルで戦えるチームとして名前が挙がったユヴェントス。だが、CL初戦後の評価は下落しており、セリエAでも開幕4連勝したとはいえ、過去の勢いは感じられない。絶対王者の不安感——。それはもしかすると、守備陣の脆さだけでなく、イグアインのパフォーマンスも関連しているのかもしれない。
※データはガゼッダ・デッロ・スポルトによるもの(9月15日付)。
文=赤星敬子
ここまで、リーグ戦4試合で2ゴールというのは決して悪くはない。昨シーズンまでの華々しい出だしに比べると、いささかスタートダッシュに失敗した感はあるが、FWとして落第ではないだろう。ただ、チャンピオンズリーグ(CL)のバルセロナ戦では精彩を欠き、途中交代の際に見せた“中指立てポーズ”は逆にバルサ・サポーターの失笑を誘った。
興味深いデータが出ている。イグアインはこれまでCLで、バルセロナやバイエルンなど6つのビッグクラブ相手に得点したことがないというものだ。イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、イグアインのCL通算成績は62試合出場17得点。そのうちバルセロナ、バイエルン、マンチェスター・U、マンチェスター・C、レアル・マドリード、リヴァプールと合計14試合戦っているが、1ゴールも決めていない。シュート数は23本で12本がゴール枠内だったが、1本もネットを揺らすことはなかった。13日に0−3と完敗したバルセロナ戦後、マッシミリアーノ・アッレグリ監督は「簡単なことで間違うようなら、勝利は難しく不可能になる」とコメントしている。
17日のセリエA第4節サッスオーロ戦でも、途中交代の際、イグアインはベンチでイライラ感を爆発させた。ただ、今シーズンのイグアインを“スロー・スタート”と見るか、終わった感のある1人のFWと見なすか、まだ決定的な評価を下すには難しいところだ。
ユヴェントスは今シーズン、ディフェンス面での不安定さが指摘されている。8月のラツィオとのイタリア・スーパーカップからここまで公式戦6試合で9失点はリーグ6連覇の始まりとなる2011−12シーズンから比較すると(※)ワースト記録だ。ディフェンス面では、すぐにイタリア代表DFレオナルド・ボヌッチの抜けた穴が指摘されがちだが、GKジャンルイジ・ブッフォンはバルセロナ戦後「守備面では、まだまだ改良していかなければならないところが多い。バランスがよくないところがある。そのため、失点するリスクが多くなっている部分もある」と認めた。
イタリアでは唯一、ヨーロッパレベルで戦えるチームとして名前が挙がったユヴェントス。だが、CL初戦後の評価は下落しており、セリエAでも開幕4連勝したとはいえ、過去の勢いは感じられない。絶対王者の不安感——。それはもしかすると、守備陣の脆さだけでなく、イグアインのパフォーマンスも関連しているのかもしれない。
※データはガゼッダ・デッロ・スポルトによるもの(9月15日付)。
文=赤星敬子