ETRC:第6戦ゾルダー、1コーナーで大外刈決めた女性ドライバーのハルムがシーズン2勝目

2018年9月25日(火)17時12分 AUTOSPORT web

 ヨーロッパ全域のトラッキーから熱烈な支持を集めるFIA欧州選手権、ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの第6戦が9月15〜16日にベルギーのゾルダーで開催され、週末4戦で4人の勝者が誕生。土曜レース2ではシリーズ紅一点の実力者、シュティフィ・ハルム(チーム・シュワーベントラック/IVECO)が豪快なオーバーテイクを決め、今季2勝目を飾っている。


 土曜レース1に向けた予選スーパーポールセッションで最速タイムを刻んだのは、スペイン出身のアントニオ・アルバセテ(トラックスポーツ・ルッツ・ベルナウ/MAN)で、選手権リーダーのヨッヘン・ハーン(ヨッヘン・ハーン・レーシング/IVECO)を抑えて1分57秒332を記録し今季3度目のポールポジションを獲得。


 そのまま12周のレース1でも首位スタートの優位を活かして快適なリードを保つと、オープニングラップでハーンをかわした現王者のアダム・ラッコ(バギラ・インターナショナル・レーシング・システムズ/フレートライナー)が激しい2番手争いを繰り広げるレース展開にも助けられ、余裕のポール・トゥ・ウイン。アルバセテがニュルブルクリンク、スロバキアリンクに続いて今季3勝目を飾ってみせた。


 続いてトップ8のリバースグリッドとなるレース2では、アンドレ・クルシム(Don’t Touch Racing/IVECO)がポールシッターとなり、セカンドロウにはレース1で7位に入ったシュティフィ・ハルムが並ぶグリッドに。


 タイトでテクニカルなゾルダーのレイアウトでは「スタートがすべて」だと、グリーンシグナルの一瞬に勝負をかけていたハルムは、1コーナーのアウトからクルシムのIVECOに並びかけると、狭いスペースをモノともせず豪快なオーバーテイクを成功させ首位浮上に成功。スタンドに詰め賭けたファンからも大歓声が上がるアクションをみせる。


 ドイツ人同士の首位争いを制したハルムは、表彰台には登りながらもここ数カ月、勝ちのなかった展開を払拭するかのような快走をみせ、みるみるリードを拡大していく。


 一方、集団の後方では6番手スタートだった”帝王”ハーンが、オープニングラップですでに4番手にまで浮上すると、レース序盤から3番手を堅守していたレネ・ラインアート(ラインアート・レーシング/MAN)がワイドになったのを見逃さず、7周目の最終シケインで表彰台圏内に浮上してくる。

前戦でもポールタイムを刻みながら、タイム抹消裁定を受けていたアントニオ・アルバセテがR1を制覇
R2で今季2勝目を飾ったシュティフィ・ハルム。「スタートがすべてだった」
王者アダム・ラッコらとバトルを展開したノルベルト・キスは8位に終わった
シケインでのワイドラインや最終ラップでのバトルなど、厳しい展開となったレネ・ラインアート


 前を行く2番手クルシムは、ハーンからの猛攻をしのぎなんとかトラックをコース上に留める絶妙なマネジメントをみせていたものの、2018年から参戦する新規チームDon’t Touch RacingのIVECOを最終ラップで攻略したハーンが、選手権争いをさらに優位にする2位を獲得。これでハルム、ハーン、クルシムがポディウムに並び、IVECOが表彰台を独占するリザルトとなった。


「最初のコーナーで(オーバーテイクの)チャンスを得るには最高のスタートが必要だと分かっていた。それを上手く決められたと思うわ。そこからはなんとかギャップを開こうとプッシュしたけど、私たちは同じIVECOをドライブしているし、難しい展開になると感じていたの」と、勇敢なオーバーテイクで今季2勝目を飾ったハルム。


「今日は最高の1日になったのは間違いないし、何も失うことがないように意識を集中してドライビングすることだけに専念したの。個人的にも本当にうれしいし、チームとIVECOにとっても良い結果が手にできたわ」


 同じくファイナルラップの後方では、アルバセテがハードなドライビングでラインアートをかわし4番手に滑り込み、かわされたラインアートは強引なパッシングに怒りを露わにするジェスチャーを見せる一幕も。


 またディフェンディングチャンピオンとしてハーンを追うラッコは、6番手からの発進でレース序盤はノルベルト・キス(チーム・タンクプール24/メルセデス・ベンツ・トラックス)やサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ/MAN)らとバトルを展開。


 ポジションを入れ替えながらの激しい攻防を繰り広げていたが、次第にボンネットキャブ型のフレートライナーが不調を来し、残り2周のところで無念のピットイン。そのままメカニカルトラブルのためリタイアとなってしまった。


 明けた日曜のレース3では選手権リーダーのハーンが勢いをみせ、午前の予選でポールを獲得すると、アルバセテ、ラッコを従えて今季8勝目をマーク。続くレース4はリバースポールからスタートしたホセ・ロドリゲス(ロボコノート/MAN)が今季初優勝でキャリア通算2勝目を挙げ、2位にハルム、3位にハーンの表彰台となった。


 これで選手権獲得ポイントを280点まで伸ばしたハーンは、ランキング2位のラッコに対し66ポイントまでリードを拡大。続く9月29〜30日開催の第7戦フランス、ル・マンを含めてシーズンは残り2戦、8レース。この段階で「とてもリラックスしている」と語るほど、自身5度目のETRC戴冠に向け盤石のリードを築く結果となった。

日曜は選手権リーダーのヨッヘン・ハーンがR3のポールシッターとなりレースをコントロール
R3で表彰台を確保した王者アダム・ラッコだが、昨季の勢いは陰りを見せる
今季8勝目を挙げたヨッヘン・ハーンは、自身5度目のチャンピオン獲得に向け視界良好のリードを確保
R4はリバースポールから首位を堅持したホセ・ロドリゲスが今季初勝利を飾った


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