【現役引退】「見るたびに泣く」ほど感動した巨人・亀井のサヨナラ3ラン!山田恵里と鉄平が「印象に残ったシーン」を回想!【独占取材/その3】

2022年10月4日(火)16時43分 ココカラネクスト

 2008年の北京五輪、そして昨年の東京五輪ソフトボールで金メダルを獲得した山田恵里。今季限りでの引退を発表した名手は、その偉大なキャリアを通して何を経験し、感じてきたのか。2009年にパ・リーグ首位打者に輝いた元プロ野球選手の鉄平氏を論客に迎え、「ソフト史上最高の打者」に様々な話を聞いた。

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ーープレッシャーへの対処法について聞かせてください。山田選手はキャプテンを務めた東京オリンピックの時に、相当苦しみました。どうやって乗り越えましたか?

山田 プレッシャーから逃れることはできないので、押しつぶされたこともありました。プレッシャーを考えると頭に何も入ってこなくなるので、とにかく良いイメージとか良い言葉を自分自身に問いかけるようにしていました。あとは、プレッシャーを自分一人で背負い込まずに、「大変です」と周りの人に言っていました。それですごく楽になれたので、私はそうして向き合いました。

鉄平 プレッシャーに関しては、山田さんが言っていたように受け入れて軽減させることはしてました。逃げられないので、笑って軽減させるとかね。ただ、僕はそんなにプレッシャーがかかった人生を歩んでないので……。オリンピックやWBCとは無縁で、日の丸を背負った戦いは日米野球ぐらいのものです。でも、体験してみたかった気持ちはありますね。大会前の練習や試合の雰囲気は、どんな感じなのかなと。オリンピックに行った選手はみんな、すごい緊張感というかプレッシャーだったと口を揃えて言うんです。自分はその経験がないし、そこまで緊張したことがないので、興味がありましたね。

ーー鉄平さんが印象に残っているソフトボールの試合は?

鉄平 2008年の優勝のシーンですね。最後のアウトを取った場面は、サードゴロでしたよね。ちょっと一塁への送球が低かったんです。そのボールをファーストの人が地べたに這いつくばるようにして懸命に補ったんですよ。プレーに気持ちが凄く出ていて、すごいなと思いました。そのシーンはテレビでよく流れてたのもありますし、その後でウイニングボールを上に投げちゃって、あのボールどこ行ったのかなとか気になりました(笑)。

ーー山田選手が印象に残っている野球の試合やシーンは?

山田 巨人の亀井(善行)さんが、前のバッターを何回か敬遠されて、最後にサヨナラホームランをライトに打った試合です。それで泣きながらベースを回ったシーンは、何回見ても毎回泣きます(笑)。やっぱり屈辱的じゃないですか、前のバッターを敬遠して自分で勝負するって。その試合で敬遠の場面が2回あったと思うんですけど、そういう状況で自分に回ってきてサヨナラホームランを打つって本当に凄いですよね。自分がその立場だとしたら、変に力んじゃうと思う。悔しい思いだったりとか、絶対打たなきゃいけないとか、変なプレッシャーを感じてしまうだろうなって思うので、それを最後にホームラン打つのはすごいなと。毎回泣きます。

鉄平 あれはすごかったですよね。2回敬遠で2回とも凡退していて、延長になってからもう一度前のバッターが敬遠されてね。ピッチャーはロッテの大嶺でしたね。亀井は同級生なので、あのシーンは僕も見て毎回泣くんです(笑)。

ーーお二人は、亀井選手のような経験はありましたか?

山田 私は東京オリンピックのカナダ戦の時に、満塁策で前の選手が敬遠されました。それで私が最後に打ったんです。

鉄平 さすが!

山田 前の打者が敬遠された時は、そうやって勝負してくるんだ、みたいな感じで思いましたね。ただ、その日から「生まれ変わった山田恵理」になっていたので、どこに投げられても打てると思っていました。全然プレッシャーは感じなかったですね。

鉄平 イチローさんの動画を見た後ですよね?

山田 そうです。

鉄平 凄いな。動画1本でそんな生まれ変われます?

山田 何かもう、「あ、大丈夫だ」って思ったんですよ。

鉄平 キッカケを掴む力がすごいな。

山田 今まであんな経験をしたことなかったので、初めてでしたね。大会序盤は「もう、私の東京オリンピックは終わった。人生終わった」みたいに思ってたんです。でも、カナダ戦の前日に2時間ぐらいしか寝られなくて、夜中に「そういえば」みたいな感じで思い浮かんだので、イチローさんの映像を見たんですよね。

ーー鉄平さんは「生まれ変わった」と思ったタイミングはありましたか?

鉄平 人生を一変させるようなものはないですよね。でも、僕が初めて3割打った時とか、そういうのに近いかもしれないですね。一軍で活躍するとか、ましてや3割打つのなんてイメージできなかった頃の自分が、イーグルスに移籍して使ってもらえるようになって3割をなんとか打てたところで、生まれ変わるじゃないですけど、信じられないような気持ちもありました。

ーー中日ではショートでしたが、外野にコンバートされて打撃のキッカケを掴んみました。

鉄平 考え方を変えたのはあったと思います。自分も内野で勝負できる気はしなかったし、外野に行きたいとも思ってました。外野にコンバートされて「よし、もう一度これで勝負するぞ」という気持ちになれました。大きなコンバートってマイナスイメージも付いてきたりしますけど、そういうのは自分の中の一切なかったです。

ーー山田選手はいかがでしょう。出場機会を得られなかった経験はなさそうですが……。例えば、実業団に入った時に壁にぶつかったりしたのでしょうか?

山田 高校の時に練習に行かせてもらったんですけど、冬の2月くらいで、まだ入団する前です。でも、そこで練習に参加した時に、自分が一番うまいと思っちゃったんですよ(笑)。だから、出られないっていう感覚はなかったですね。

鉄平 レベルが違うってやつですね。イチローさんと一緒ですよ。イチローさんも若い時に他の外野手を見て、「俺が一番うまい」と思ったらしいです。

ーーそれでは、改めて山田選手のルーティンを教えていただけますか。

山田 まず、毎日4時半に起きます。

鉄平 えっ!?早いですね。4時半に起きると何時に寝るんですか?

山田 9時とかには寝てます。

鉄平 じゃあ、10時からの面白そうなドラマとかどうするんですか?

山田 録画してます(笑)。

鉄平 まあそうですよね。変な質問をしてすいません(笑)。

山田 全部がルーティンですね。4時半に起きて体幹トレーニングしてスイングしてから練習場に行って、そこでバッティングをしてウエートして全体練習に入るという感じです。

ーーお二人にとって、ルーティンとはどんなものですか?

鉄平 その日の自分の違いを感じ取るためのものでもありますね。体調だったり、今日はちょっと腰回りにくいなとか、逆に体が動きすぎるなとか、そういう変化を感じ取るためのもの。あとは精神安定剤ですね。同じことをやって、ちゃんと準備してきたから「今日も自分は大丈夫」だと思えるようなものですかね。

山田 私もまるっきり一緒です。あとは、そのルーティンをやることで、自分が落ち着くというのもあります。

【その4】に続く(10月5日に公開)

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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