油断した韓国選手を破る0.01秒の「奇跡」 逆転Vのローラースケート台湾選手の告白「僕は戦い続けていた」【アジア大会】

2023年10月5日(木)6時0分 ココカラネクスト

韓国との激闘を制して金メダルを掴んだ台湾の選手たち。その劇的なレースの舞台裏が明かされた。(C)Getty Images

 最後の最後まで諦めない姿勢が栄冠をもたらした。

 中国・杭州で開催され、連日のように熱戦が続くアジア大会。ありとあらゆる競技にスポットライトが当たるなかで、話題となっているのは、現地10月2日に実施された男子ローラースケートの3000mリレー決勝だ。

【写真】0.01秒の油断…韓国ローラースケート代表が敗れた決定的瞬間

 世界も驚くハプニングが起きたのは、レースの最終盤だった。先頭を走っていた韓国の最終走者チョン・チョルウォンが、ゴールを目前にして勝利を確信。両手を突き上げ、ガッツポーズを披露したのだが、追走していた台湾のファン・ユーリンが直前でかわしたのだ。

 両者の差は0.01秒。まさにコンマの世界だ。ファン・ユーリンがゴール手前で目いっぱいに伸ばした左足の先端が、わずかに速くゴールラインに接していたために生まれた逆転劇となった。油断をしたチョン・チョルウォンにとっては痛恨というほかにない。

 まさに身体を張ったレースで、勝利をつかみ取った。逆転での金メダル奪取に歓喜するファン・ユーリンは、韓国の日刊紙『朝鮮日報』などの取材に「コーチからいつも『落ち着いて、前だけを見て走りなさい』と言われていた。だから最終コーナーでなんとか追い抜こうと思った」と吐露。運命を変えた最終局面について、次のように振り返っている。

「韓国の選手がすでに勝利を祝っているのは分かっていました。ゴールまでは本当に数メートルしかない状況でしたけど、彼らが勝利を確信してセレモニーセレブレーションをしていた時も、僕は戦い続けていたと言いたいですね。最後は本当に何も考えずに身体を伸ばしただけでした」

 さらに「終わってからも『少し届かなかったかな』と思って、本当は残念に思っていたんです」とレース終了直後の心境を明かしたファン・ユーリンは、「電光掲示板で0.01秒だけ僕らが勝っていたという結果が出た時に奇跡だと思いました。僕らのチームは幼いころから一緒にトレーニングをしてきたので本当にうれしかった」と嬉々として語った。

 最後に「最後まで自分を信じて、諦めずに戦うことが重要」と語ったファン・ユーリン。このライバルの言葉は、チョン・チョルウォンの耳にどう響くだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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