英2部で活躍する東京五輪世代、三好・中山インタビュー【現地取材】

2023年10月5日(木)17時30分 FOOTBALL TRIBE

中山雄太(左)三好康児(右)写真:Shun Ide

イングランド2部リーグのチャンピオンシップ2023/24シーズン第10節が日本時間10月4日に行われ、MF三好康児が所属するバーミンガム・シティと、日本代表DF中山雄太が所属するハダースフィールド・タウンが対戦した。9月26日にはMF坂元達裕が所属するコベントリー・シティと中山のハダースフィールドが対戦し、チャンピオンシップ史上初となる日本人対決が実現したばかりだが、今節では2021年の東京五輪メンバーだった三好と中山が渡英後初めて直接対決を果たした。


試合はホームのバーミンガムが優勢で進み、トップ下に入った三好がチーム2点目を挙げると、さらに3点目もアシストするなど1得点1アシストと躍動。一方の中山はアンカーの位置で三好をマーク。日本人同士がマッチアップする場面が多い試合となった。結果は4-1でバーミンガムが勝利を収めた。


ここでは、イングランドで活躍する東京五輪世代、三好と中山のインタビューを中心に同試合を振り返る。




バーミンガム・シティ MF三好康児(左)写真:Getty Images

バーミンガムVSハダースフィールド:試合展開


バーミンガムは8月時点で上位に食い込むなど上々の滑り出しを見せたものの、9月上旬から低迷。直近はカップ戦を含む公式戦6試合で2分4敗を喫して順位を12位にまで下げている。一方のハダースフィールドは、9月18日の監督交代から2試合を経て2分の勝ち点2しか獲得できず。そろそろ白星が欲しいところだったが、連携面で機能せず攻撃の形を作れなかった。


試合は終始バーミンガムが主導権を握り、ハダースフィールドは後半アディショナルタイムに1点を返すも、4-1の結果に終わっている。




バーミンガム・シティ MF三好康児 写真:Shun Ide

三好「チャンスをものにするかしないか」


ー試合を振り返ってどうでしたか?


三好:リーグ戦の入りがよかった分、9月はちょっとつまづいている感じはありましたけど、10月に入って初めてホームでやれる試合だったんで、入りから全員集中してました。僕もまだ10試合くらいしかやってないんですが、チャンピオンシップは本当にどっちに転ぶか分からない試合をずっとやってきているので、あと1点のチャンスをものにするかしないかで今日みたいなゲームにできるか、逆に相手に持っていかれるかという難しさを改めて感じましたね。


ー日本人との初めての対戦。中山選手とのマッチアップはどうでしたか?


三好:(チャンピオンシップには)3人しかいないんで、普通に楽しみでした。こっちに来てから一回も会ってなかったんで。


(マッチアップは)相手が誰かというより、相手がどうやってくるかというところを全体的に見て、どこにポジションを取るかなので。サッカーは一対一でやるわけではないですし、雄太が僕の特徴を知っているというのはわかってるんで、始まる前は嫌な部分もありましたけど、でも入っちゃえば動きの中での連携だったり、試合の中でできるのも自分の特徴のひとつなのであまり気にしなかったですね。


ー6試合ぶりの勝利ですが、勝てない期間のモチベーションはどのように維持しましたか?


三好:9月には結局1勝もできなかったので、このチームにとっては今回勝てたのが一つ大きな成果ですね。少し自信を無くしかけてた部分もあると思うので、一回戻って来れたのはよかったです。 僕も怪我明けなんで(ジョン・ユースタス)監督と相談しながら、身体と相談しながらというか。サッカーの部分では自分の特徴をキャンプからチームに少しずつ分かってもらって、だんだん共有できるようになって、ボールも少しずつ出てくるようになりました。


ハダースフィールド・タウン DF中山雄太 写真:Shun Ide

中山「結果を出されてすごく悔しい」


ー試合を振り返っていかがですか?


中山:あっち(バーミンガム)も非常に良いサッカーをしてきたので難しい試合でした。向こうも良かったし、こっち(ハダースフィールド)はあまり良くなかったというのもあって、結果通りの試合だったかなと思います。


ーアンカーの位置で三好選手をマークしてましたが、これは監督の指示ですか?


中山:いやいや、特に(指示は)ないです。マッチアップ的に僕がマークにつくのはフォーメーション的なことです。


ー三好選手とのマッチアップはどうでしたか?


中山:良い選手なのは分かってますし、結果を出されたのですごく悔しいですけど、まあ彼にボールが入る形も向こうのチームとして良いシーンがあったんで、それで後手を踏まないようにとは思っていたんですが、もう、一人ではどうしようもなかったですね。


ー三好選手相手に1失点。対応は難しかったですか?


中山:三好選手にボールが入る形や相手のビルドアップの形だったり、そもそもの技術が高かったのでどうしてもそこ(三好選手へ)のラインを消したかったんですけどね。僕が(三好選手へのマークを)捨てて前に出ざるを得ないシーンがあったんですが、僕としては後ろの3バックのうちの誰かがついてきてくれたら良いなと思ってました。でも、そこも曖昧だったんで、向こうの良い形がこっちのできていない部分に上手くはまってしまったかなと思います。




バーミンガム・シティ MF三好康児 写真:Getty Images

三好「特徴を出しやすいリーグ」


直近6試合で勝ち星のなかったバーミンガム。それでも三好は獅子奮迅の活躍を見せ、徐々に指揮官の信頼を掴むと直近4試合では主にトップ下で先発出場。今節もトップ下でボールを供給しゲームを作った。ベルギーから英国にプレーの場を移した三好に、イングランドサッカーの印象について訊いてみた。


ーベルギー時代との違いはありますか?


三好:ベルギーよりもやっぱりフィジカルの部分が長けていると思います。うちのチームもそうですけど、フィジカルコンタクトの部分での要求があるからこそ自分のような選手がボールの引き出しや動き方で特徴を出しやすいリーグだなとも思います。


それと、ベルギーよりも個の部分のフォーカスが強いような気がしますね。自分のチームも含め、どこのチームが勝つか分からないという面があります。ベルギーでは常連のトップチームが毎年争うみたいな感じで比較的はっきりしていたので。あとグラウンドとかピッチの状態がいいですね。ベルギーの下位クラブだと、泥みたいな環境の会場もあるので、スタジアムの雰囲気というか、やっぱりサッカー発祥の国だなという感じで熱量もありますし、そういう違いは感じますね。


ーシーズン前は右サイドを希望してましたが、現在はトップ下での出場が多いですね。


三好:チャンピオンシップは大きい選手がいっぱいいるし、うちのチームも後ろからビルドアップするようなチームじゃないと思っていたので。今はそれ(トップ下)をトライしていますけど、なかなか難しいシーンもあります。今日みたいにボールを持てるシーンもありますが、ロングボールが多くなっちゃう試合では真ん中だときついこともあります。サイドでもいいし、少しずつ真ん中にフィットしてきてるかなというのはありますね。




ハダースフィールド・タウン DF中山雄太 写真:Getty Images

中山「進化して帰ってくるのが目標だった」


9月25日のコベントリー戦ではセンターバックとサイドバック、前節のイプスウィッチ・タウン戦では左ウィングバック、そして今節ではアンカーで起用されるなど持ち前のユーティリティ性を発揮している中山。本人はどのように感じているのだろう。


ーセンターバック、サイドバック、アンカーとポジションがよく変わっていますが?


中山:(ダレン・ムーア)監督から、この3つのポジションをやってほしいと言われていたので。キャプテン(MFジョナサン・ホッグ)が前節から今回まで出れなかったんで、今日はその穴埋めでした。でも、彼の穴を埋めることはできなかったし、チームの結果に繋げられなかったのがすごく残念です。


(ポジション変更は)難しいは難しいですけど、それでやらなきゃいけないのがプロなので、今日の結果はしっかりと受け止めて次に活かせたらなと思いますね。


ー直近4試合で先発していますが、コンディションはいかがですか?


中山:昨年出ていた頃よりもフィットしている感じはあります。僕的には怪我で離脱している期間を経て「チャンピオンシップ仕様に進化して帰ってくる」というのが目標だったんです。そういう意味では目標に対してアジャストできているのかなと思っています。


僕らのチームは(直近5試合)負けなしで来て今日負けた訳ですが、ここで踏ん張れるか踏ん張れないかで大きな差が出てくると思います。


日本代表 DF中山雄太 写真:Getty Images

中山が1年ぶりの代表復帰


今月行われる国際親善試合のカナダ代表戦(10月13日)とチュニジア代表戦(10月17日)に向け、日本代表の招集メンバーが10月4日に発表された。およそ1年ぶりに代表復帰となった中山は、発表前日に行われた本インタビューで次のように話していた。


ー日本代表に召集されそうとのことですが?


中山:前もお答えしましたけど、僕的にはそこに帰りたいという思いもありますし、(自分に)課している部分としては帰らなきゃいけないと思っています。次節、アウェイでしっかり勝ち点3をもぎ取ってインターナショナルブレイクに入りたいなと思います。


一方の三好は2021年10月以来、代表から遠ざかっているが焦らず一歩ずつ進んでいく覚悟だ。


ー今シーズンの目標は?


三好:プレミアリーグへの昇格ですね。今、チームとしては6位以上のプレーオフ圏内を目指しています。自分としては(チームに)入る前は優勝を狙ってましたけど、チームの歴史の中で6位以上を狙っていこうという事なので、そこに一つでも貢献できればと思っています。


あとは目の前の1試合1試合で得点かアシストか、とにかくゴールにつながるプレーを毎試合出していけるように集中してやっていければと思っています。1年間の目標というよりは、1試合ずつ集中していくという感じですね。




中山雄太(左)三好康児(右)写真:Shun Ide

三好と中山、分かれた評価


10月4日の試合後、地元紙『バーミンガム・ライブ』の採点で8点(10点満点)を得た三好。「目を見張るパフォーマンス。(シリキ)デンベレと二人のテクニシャンは即座に連携を深め、三好は非常に効果的だった」と高評価だった。それに対し、ハダースフィールドの現地紙『ヨークシャー・ライブ』で10点満点中4点と採点された中山は「怪我で欠場したキャプテン(ジョナサン・ホッグ)の役を担うには重荷だった。バーミンガムに支配され、インパクトを残せず」と厳しい評価を受けた。


バーミンガムは暫定順位をリーグ10位に上げ、目指すプレーオフ圏内の6位までは勝ち点1差と迫っている。一方のハダースフィールドは勝ち点10で19位に順位を下げた。全46節のうち第10節までを消化したチャンピオンシップはこれからが正念場。東京五輪世代である三好と中山の今後の活躍に期待したい。

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