「エリート」藤浪と「底辺」千賀がメジャー挑戦 日本人メジャー成功のカギは与四球率

2022年10月16日(日)16時21分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 プロ野球の全日程が終了したチームから、続々と海外挑戦に名乗りが上がった。ソフトバンクの千賀滉大投手(29)が、今季取得した海外FA権を行使することを明言。またメジャー移籍希望を表明していた阪神の藤浪晋太郎投手(28)は、ポスティングシステムによる移籍を球団から容認されそうだ。

 夢に向かって本格的に動き出した2人の歩みは対照的。藤浪は大阪桐蔭で日本一投手となり、12年ドラフト1位で阪神入りした。高卒入団3年連続で2ケタ勝利を挙げたが、そのあとは制球難に苦しみ、不振の時期が続いた。通算57勝54敗、防御率3.41。かつて1億7000万円を稼いだ年俸は、今季4900万円だ。

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 かたや千賀は無名の蒲郡(がまごおり=愛知)高校から10年育成ドラフト4位でソフトバンク入り。2年目に支配下登録され、エースへと成長した。19年にノーヒットノーラン、20年に投手3冠を獲得するなど「育成の星」になった。通算87勝44敗、防御率2.59。270万円だった年俸は6億円に。育成出身のメジャーとなれば、史上初となる。

 壁にぶつかる高校野球エリートと、底辺からはい上がった育成の星。メジャーで通用するかどうかは、制球力が1つの指標になる。滑りやすいといわれるメジャー球に適応できるか。参考に今シーズン、メジャーで登板した日本人投手の与四球率(1試合=9イニングでいくつ四球を与えたか)を比較した。

◎日本人メジャーの22年「与四球率」

ダルビッシュ有(パドレス)
1.7四球/試合
【16勝8敗、防御率3.10】

大谷翔平(エンゼルス)
2.4四球/試合
【15勝9敗、防御率2.33】

前田健太※(ツインズ)
米通算2.6四球/試合
【故障で今季登板ないため参考】

◆沢村拓一(レッドソックス)
4.8四球/試合
【1勝1敗3H、防御率3.73】

◆有原航平(レンジャーズ)
5.0四球/試合
【1勝3敗、防御率9.45】

◆菊池雄星(ブルージェイズ)
5.2四球/試合
【6勝7敗1S、防御率5.19】

 2ケタ勝利のダルビッシュと大谷は四球が少なく、思い通りに制球できる確率が高かったことが好成績につながったといえる。反対に、制球に苦しんだ沢村、有原はシーズン途中で戦力外となり、菊池は先発ローテから外されて中継ぎに降格した。

 これまで日本人メジャーで長く活躍できた成功例も、与四球率の低い投手が多い。上原浩治1.5、田中将大1.8、岩隈久志1.9、黒田博樹2.0。例外では、野茂英雄が4.1、佐々木主浩が3.1と四球は多かったが、鋭いフォークを武器に奪三振率の高さで補った。

 プロ野球の与四球率をみると、千賀は今季3.0(日本通算3.4)、藤浪は今季7.4(日本通算4.2)。千賀は「お化けフォーク」と呼ばれる決め球があって奪三振率が高く、野茂や佐々木タイプとして期待は大きく、複数球団の争奪戦が予想されている。

 一方、藤浪は制球不安が数字にも表れているが、「荒れ球」が最大の武器。過去には、メジャー球との相性が抜群に良く、期待以上の活躍を見せた斎藤隆(ドジャースなど)の例もある。不振脱却の活路をメジャーに求める藤浪の「大化け」に期待したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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