J1参入プレーオフ最終戦を前に確認しておきたい3つの側面【2022】

2022年11月7日(月)14時0分 FOOTBALL TRIBE

イヨハ理ヘンリー(左)ピーター・ウタカ(右)写真:Getty Images

2022シーズンの明治安田生命J1リーグは、11月5日に横浜F・マリノスの3年ぶりの優勝で幕を閉じた。17位清水エスパルスと18位ジュビロ磐田がJ2リーグに降格となり、J2からはアルビレックス新潟(1位)と横浜FC(2位)の昇格が決定している。


一方、最後の昇格と残留をかけたJ1参入プレーオフの最終戦が11月13日に残されている。来2023シーズンのJ1での戦いをかけて最後の大勝負を行うのは、J1リーグ16位の京都サンガとJ2リーグ4位のロアッソ熊本だ。ここではこの最終決戦を前に「確認しておきたい3つの側面」についてご紹介したい。




京都サンガ FWピーター・ウタカ 写真:Getty Images

J2出戻りを避けたい京都はどう戦うか


J1リーグ16位となり、J1参入プレーオフに挑む京都サンガ。J1最終節(11月5日)で勝利を収めることができれば無条件での残留となったが、すでにJ2への降格が決まったジュビロ磐田相手に勝利することができず(0-0)16位での着地となった。しかし12シーズンぶりとなったJ1リーグを来シーズンも戦えるチャンスがまだ残されている。一発勝負となるこの試合で、何とか最後は笑って終えたいところだ。


京都としては、ホーム(サンガスタジアム by KYOCERA)にロアッソ熊本を迎えられることが非常に大きなアドバンテージになるだろう。チョウ・キジェ監督が「アンフィールド(イングランド・リバプールのホームスタジアム)のようだ」と語るほどのスタジアムの圧力を活かして戦いたい。


京都の魅力は守備力だ。リーグ戦通して失点した38ゴールは、J1全20クラブ中、横浜F・マリノス、名古屋グランパス(どちらも35失点)に次ぐ、リーグ3位タイの記録である。チーム全体でハイプレッシャーを仕掛け、ピンチのときには麻田将吾、井上黎生人のセンターバックコンビと、守護神の上福元直人で守り切る。頼もしいディフェンスラインが熊本の勢いを抑え込むことができるかに注目だ。


しかし、壊滅的な得点力不足であることが京都の懸念点である。ピーター・ウタカ一辺倒の攻撃では中長期的な戦いを考えたときには難しいことは長らく指摘されてきたが、その明確な解を未だに見つけられていないことは否定できない。リーグ戦立ち上がりはウタカの個人力で勝ち点を積み上げてきたが、7月の北海道コンサドーレ札幌戦を最後にゴールを奪うことができず大きく苦しんだ。


現在は長身フォワードの山﨑凌吾と、機動力に定評のある豊川雄太の2枚で敵陣に侵入することに挑戦しているが、完成にはもう少し時間がかかりそうだ。反対にもし攻撃力を今よりも向上することができていたならば、J1参入プレーオフなど関係なく残留できただけでなく、もっと上位に進出していたのではないか。大きなポテンシャルを秘めたクラブが、このままJ2に降格となるのは非常にもったいない話なのである。


ロアッソ熊本 DFイヨハ理ヘンリー 写真:Getty Images

熊本、J2昇格1年目でJ1昇格となるか


J2リーグ4位でJ1参入プレーオフに進出したロアッソ熊本。1回戦では5位の大分トリニータ(2-2)、2回戦では6位のモンテディオ山形(2-2)に引き分けて、京都の待つ最終戦へ駒を進めた。2021シーズンまではJ3リーグに所属したクラブが、J2昇格初年度でJ1の切符を掴むという前人未到の偉業達成目前だ。今シーズン最も実力が拮抗したプレーオフで、J2代表としてJ1行きを決められるかに注目したい。


熊本の前線から積極的にボールを回収する姿勢は、シーズンを通して継続された。相手のビルドアップを崩してチャンスを呼び込む。組織として精錬されていないと容易くできないサッカーを表現している。大木武監督の基本的な戦術は京都と似ているため、最終決戦は白熱することは間違いない。スタートから激しさの伴う肉弾戦になることが予想される。どちらがいかにボールを回収できるかが重要になるだろう。


特筆すべきは熊本のアウェイ戦での強さだ。アウェイ戦績だけでの順位に注目すれば、10勝7分4敗と好成績を収めており、自動昇格を果たした新潟や横浜FCを上回る1位である。11月13日は、サンガスタジアムも攻略することができるだろうか。


一方で、終盤戦からプレーオフまで戦績としては決して良いと言えるものではなく、プレーオフ含めたここ5試合では1勝2分2敗。勝利が必須となる次の試合においては不安が残る。またいずれの試合も失点を許していることも不安要素として否定できない。勝利以外にJ1昇格の道はなく、不用意な失点は何としても避けたいところだ。




Jリーグ旗 写真:Getty Images

どう見てもJ1クラブに有利な大会概要


最後に大会概要について触れておきたい。J1参入プレーオフ最終戦となるJ1リーグ16位とJ2勝者の試合は、まずJ1クラブのホームスタジアムで開催されることが決まっている。また、90分で決着がつかない場合には、延長戦やPK戦を行わずJ1クラブ勝利という、どう見てもJ1クラブ有利の大会ルールになっているのだ。毎回この手の試合が行われるときには「このルールで本当にいいのか?」と議論が行われている。


正直なところ筆者も、このルールには納得しているわけではない。J1クラブは引き分け狙いで戦う可能性があるからだ。シーズンの運命が決まる極めて重要で面白い試合が、一気に興ざめする内容になりかねない。毎シーズン2クラブの昇格・降格がベースという考えが運営側にはあるのかもしれないが、こうしたプレーオフを行うのであれば、やはり公平性を持たせるために中立地開催で行い、引き分けの場合は延長戦やPK戦を行うべきではないだろうか。

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