ハイパーカー初テストのセバスチャン・オジエが直面したふたつの戸惑い「多くを学び、楽しい一日だった」

2021年11月8日(月)11時52分 AUTOSPORT web

 バーレーンで行われたWEC世界耐久選手権のルーキーテストに参加した7度のWRC王者、セバスチャン・オジエは、トヨタのル・マン・ハイパーカー、『GR010ハイブリッド』の初ドライブで「多くのことを学んだ」と語っている。


 事前にTGRヨーロッパのシミュレーターを経験していたオジエは、11月7日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた計5時間におよぶ走行セッションで、84周を走破した。


 オジエは午前中のセッションで短めのスティントを3回走り、計32周を走行。1分50秒647という自己ベストタイムをマークした。午後のセッションでは4スティント・52周を走破している。午後のセッションで実施された19周が、彼の最長の1スティントとなった。




■簡単にロックしてしまうブレーキ


 ル・マン・ハイパーカーでの初日を振り返ったオジエは、彼がこれまでドライブしてきたラリーマシンとは著しく異なるクルマに適応する経験を楽しみ、とても多くのことを学んだと語っている。


「とても興味深く、楽しい一日だった」とオジエはSportscar365に対し語った。


「人生では、常に新しい経験を探し求めるものだ。ラリーと比較することは、あまりしなかった。僕は本当に楽しんだし、すでに多くのことを学んだ」


「もちろん、学ぶべきことはまだたくさんあるが、これはスタート地点だ。自分自身に『すぐに速く走らなければ』というプレッシャーはあまりかけなかった。現実的でなければならない。ハイパーカーには初めて乗ったんだからね」


「興味深いテストだった。走行の合間に、チームは方向性を探して見出してくれ、僕を大いに助けてくれた。予想していたことも、そうでないこともあった」

TGR-Eのテクニカル・ディレクター、パスカル・バセロンと談笑するオジエ


 オジエは、トヨタのチャンピオンシップカーをドライブする上での最も難しい側面として、ブレーキングとトラクションコントロールを挙げている。


「たとえばブレーキングに関しては、僕はもっと大きなダウンフォースと、ブレーキ踏力を予期していた」


「この種のクルマでの経験は多くはなかったが、DTMとF1で一度テストをしたことはあるので、ブレーキに関してはそれに近いと予想していたんだ」


「実際、このクルマのブレーキはかなり敏感で、ホイールをロックさせることはとても簡単だ。それが今日、僕が発見したことのひとつだ」


「もうひとつ、トラクションコントロールの調整にも取り組んでいる。予想よりも効きが強かった。それはドライビングを少し簡単にしてくれるが、それを用いて速く走ることは簡単ではない」


「僕が掌握しなければいけないことはたくさんあったけど、そのふたつが最も苦労したエリアだった」


 オジエの最速ラップは、アルピーヌA480・ギブソンでニコラ・ラピエールがマークしたこの日の全体トップタイムを1.950秒遅いものだったが、オジエは純粋にテスト的な走行であり、トップタイムに近づけることを目指していなかったと述べている。


 彼の最善の努力は、ミシュランのユーズドタイヤでのものだった。オジエはテストの一部でニュータイヤを与えられたが、彼をサポートしたレギュラードライバーのセバスチャン・ブエミが始めたセットアップの変更が、より速い走りができたかもしれないオジエのリズムを「乱した」ことを、オジエは認めている。


「明らかに、僕はチームの基準(タイム)から少しおくれていたが、それは驚くことではない」とオジエは言う。


「その逆だったら、彼らは心配していただろう。つまり、これは学習の一部にすぎない」


「僕は自分自身にあまりプレッシャーをかけなかった。ニュータイヤ、そしてユーズドタイヤで行った走行について、もう少し分析する必要がある。そうすれば、彼ら(レギュラードライバー)とどこが異なっているかを実際に確かめることができる。総合的に言って、まだ改善の余地がある」

ルーキーテストにはペースセッターとして8号車のレギュラードライバーであるブエミ(右)も参加した


 ルーキーテストではLMP2やLMGTEを含む全18台の車両が走行したが、オジエは他車との関係において厄介な瞬間がなかったことに安心している。


「トラフィックでは、かなり安全にいった。他のクルマに近づきすぎず、誰も邪魔しないように努めた」


「大きなミスやスピンなど、何もなかったことを嬉しく思う。それが一番だ」


「これらのクルマは、スライドさせるとタイムを著しく失う。ラリーにおいても、僕らはクリーンにドライブする傾向がある。それが最速であると、知っているからね」


「確かに、クルマをスライドさせた場面はいくつかあった。その点については、ラリーカーより楽しくはないね!」

今季レギュラーを務めた3人のドライバーのほか、オジエのネームも記された8号車トヨタGR010ハイブリッド

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