【角田裕毅F1第18戦密着】予選の一件をホンダ山本MDとアルボンがフォロー。マルコに掛け合い、話し合いが実現

2021年11月8日(月)17時23分 AUTOSPORT web

 2021年F1第17戦メキシコGP日曜日の朝、ホンダのホスピタリティハウスに角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)の姿があった。ヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)との緊急ミーティングに臨むためだ。

ホンダのホスピタリティハウスで話し合う角田とマルコ


 前日の予選の最後のアタックで、結果的にレッドブル・ホンダの2台のアタックを台無しにしたとレッドブル側からの非難を受けて、設けられたミーティングだ。


 事の発端は、土曜日の予選後のクリスチャン・ホーナー代表(レッドブル・ホンダ)のひと言だった。ホーナーがイギリスのテレビ局であるスカイ・スポーツに対して角田の名前を出して非難したことで、角田が悪者扱いされてしまったことから、今回の騒動が始まった。またマルコも予選直後にドイツ人のジャーナリストに対し、角田の行為を非難していた。


 これに反応したのがアルファタウリのフランツ・トスト代表だった。


「ユウキはレッドブルのためにコースの外に出ただけ。なぜ、ペレスがコースオフしたのかわからない」


 ホンダの山本雅史マネージングディレクターも土曜日にトストと話をした後、角田とも会って、「あなたはまったく悪くない」と告げたという。


 日曜日になって、アレクサンダー・アルボンが角田の件で話があると、山本MDのもとを訪れた。アルボンは今年レッドブル・ホンダでリザーブドライバー兼テストドライバーを務めていると同時に、角田のサポート役を後半戦から行っている。

レッドブルのリザーブドライバーを務めるアルボン。角田のコーチ役も担当している


 アルボンが「あれはユウキに責任はないし、あれでユウキがあれこれ言われるのはおかしいよ」と言うと、山本MDは「私もまったく同じ意見だ」と同調した。そして、こんな提案をした。


「悪くないとはいえ、チェコ(セルジオ・ペレス/レッドブル・ホンダ)が後ろでコースアウトしたのは事実で、本人(角田)も若干気にしている。マルコに角田に会って、ひと言言ってもらって気持ちをリフレッシュさせようと思うんだけど、どう思う?」


 アルボンは「いいアイディアだと思う」と言い、山本MDと一緒にマルコを訪れ、マルコも了承。すぐに山本MDは角田にホンダのホスピタリティハウスに来るように連絡。午前9時20分すぎに山本MDとアルボンが連れてきたマルコと1対1でミーティングを行った。


 その席でマルコは「ユウキは悪くない。君のエンジニアがもう少し状況を説明すべきだった」と言い、レッドブル・ホンダの2台が最後のアタックで自己ベストを更新できなかったことは、自分の責任ではないことを確認した。


 こうして臨んだ決勝レースだったが、スタート直後の1コーナーで前方で起きた事故による混乱に巻き込まれ、角田のレースは1周目に終了した。

PU交換によるグリッド降格ペナルティで、17番手からのスタートとなった角田
2021年F1第18戦メキシコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)


 今回の一件でレッドブルとアルファタウリ、そしてホンダの絆がまたひとつ固くなったように思う。そして、角田はアルファタウリとホンダからだけでなく、レッドブルからの信頼を取り戻した。ポイントは獲れなかったが、ポイント以上の何かを角田は手にしたに違いない。

グリッドでコミュニケーションを取るレッドブルとアルファタウリのスタッフ

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