ル・マン24時間への水素車両導入が3度目の延期「2026年は現実的ではない」。安全性確保に時間要す

2023年11月10日(金)11時1分 AUTOSPORT web

 ル・マン24時間レースをオーガナイズするACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長は、同レースにおける水素クラスの導入を2027年まで延期すると発言した。フィヨンは今回の延期決定の要因として、安全面の理由を挙げている。


 これはこのプロジェクトにとって、3度目の延期を意味する。1度目は2021年、新型コロナウイルスのパンデミックの影響により2025年へと当初予定から1年延期。2度目は2023年に入ってから、2026年へと延期されていたもの。今年5月、スーパー耐久の富士24時間レースを訪れた際にも、フィヨンは2026年から水素動力車両がル・マンに参戦可能になる旨を発言していた。


 フィヨンが2023年11月上旬のWEC世界耐久選手権最終戦バーレーンの現場で記者団に語ったところによると、この新規格がサルト・サーキットとWECのトラックに投入されるまでには、さらにあと1年が必要だという。


「2026年は現実的ではない」とフィヨン。


「安全性の確保に時間を費やす必要があり、それは我々が予想していたよりも時間がかかる。2027年の方が、より現実的だ」


 今回の延期は、ACOが進める水素動力車両プロジェクト“ミッションH24”の3代目となる最新の水素燃料電池コンセプトカーが発表されて1カ月も経たないうちに生じたものだ。このプロジェクトについては、依然として2025年にサーキットでの走行が開始される予定となっている。


 名称未決定のこの車両についてフィヨンは、将来『ガレージ56』枠からル・マンに出場することはないと認めた。代わりに、ミシュラン・ル・マン・カップや、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズへ賞典外のエントリーとして出場するかもしれないという。

2023年10月11日に発表された、“ミッションH24”プロジェクトの3代目水素燃料電池プロトタイプ


 ACOは2018年から水素開発に取り組んでおり、その2代目の試作機である『H24』は昨年、いくつかのル・マン・カップのレースに参加した。


「『H24』のパフォーマンス目標は、GT3と同じパフォーマンスであり、それ以上ではない」と彼は語った。


「我々はマニュファクチャラーではない。それ以上(の性能)は我々のターゲットではないのだ。この車両は、安全性や燃料補給の観点から、我々が何をしなければならないのかを、よりよく知るための実験室にすぎない。我々はこのクルマから、多くのことを学ぶ」


 トヨタGAZOO Racingは、2023年のル・マンで水素エンジン車両『GR H2 Racing Concept』を公開し、このカテゴリーへの関心を示したもっとも注目度の高いメーカーとなっている。


 また、ヒョンデ、プジョー、BMWを含む複数のメーカーが、現在この新興プラットフォームに関するACOのテクニカル・ワーキング・グループ会議に参加している十数社のマニュファクチャラーに含まれているものと思われる。

水素カテゴリーへの参戦に向けたTOYOTA GAZOO Racingのプロトタイプ車両『GR H2 Racing Concept』

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