【J3リーグ2023】残り1枠!昇格圏争いの行方

2023年11月16日(木)12時30分 FOOTBALL TRIBE

末木裕也(左)藤本憲明(中)菊井悠介(右)写真:Getty Images

2023明治安田生命J3リーグは第35節までの日程が終了。残り3試合となりいよいよ大詰めを迎えている。J2からの降格組(FC琉球、いわてグルージャ盛岡)が苦戦する中、愛媛FCが早くも優勝と昇格を決めた。また、昨年不本意な結果で終えたクラブや新たにJ3へ上がってきた新興勢力が躍進を見せるなど、新たな時代の到来を予感させるシーズンとなっている。


そんな中、ここからさらに熱を帯びるのが残り1枠を争うJ2への昇格争い。ラスト3試合で最大9ポイント積み上げられることを踏まえれば、勝ち点の上では未だ約半数のクラブが可能性を残す大混戦となっている。とはいえ、上位勢が3試合すべてを落とすことは考えにくく、多く見積もっても勝ち点で2試合分6ポイント差のFC大阪までがより現実的な2位争いのボーダーラインと言えるだろう。


FC大阪は翌2024シーズンのJ2ライセンス交付が叶わず、もし2位を勝ち取れても今季の昇格はない。しかし、J3初参戦ながらの昇格圏入りとなれば昨年のいわきFC同様の快挙であり、加えてJ2の21位大宮アルディージャへの影響も大きく注目は必至だ。


ここでは、今後の波乱もありうるJ3リーグのJ2昇格圏争いについて、現在2位以下の4クラブ(2位鹿児島ユナイテッド、3位カターレ富山、4位松本山雅、5位FC大阪)の展望を見ていく。




鹿児島ユナイテッド FW藤本憲明 写真:Getty Images

鹿児島ユナイテッド(現在2位)


残りの対戦カードと今季戦績



  • 第36節:FC今治(第2節1-1)

  • 第37節:アスルクラロ沼津(第18節0-2)

  • 第38節:ガイナーレ鳥取(第15節0-1)


現在2位につける鹿児島ユナイテッドは、残り3戦すべて現状トップハーフとの対戦が組まれている。今季この3つの対戦カードは1分2敗と勝てておらず、昇格に向けて大きな試練となることは間違いない。また、直近の5試合で見ても、戦績は2勝1分2敗と五分。下位勢相手の取りこぼしもあり自ら難しい状況を作ってしまったと言わざるを得ない。


特に直近のFC琉球戦(0-2)では、第23節の松本山雅戦(0-2)以来となる無得点での敗戦。好調に来ていた攻撃陣についても、もう1度立て直しが必要だ。3位富山との勝ち点差は2。1試合分の勝ち点3ポイントに満たない争いの怖さは、今季のJ2リーグにおける自動昇格圏争いを見れば火を見るよりも明らか。第28節で愛媛FCを破ったときのような勝負強さを見せられるか、なんとしても連勝で昇格を決めきりたいものだ。




カターレ富山 MF末木裕也 写真:Getty Images

カターレ富山(現在3位)


残りの対戦カードと今季戦績



  • 第36節:ヴァンラーレ八戸(第15節2-1)

  • 第37節:テゲバジャーロ宮崎(第6節2-0)

  • 第38節:Y.S.C.C.横浜(第1節2-1)


開幕から夏前までは好調を維持し、一時は首位に立ち今季のJ3リーグを牽引してきたカターレ富山。悲願のJ2復帰に向けて順風満帆に見えたが、第16節の鹿児島戦で負け(0-2)、続く第17節には愛媛FC(3-4)との直接対決に打ち合いの末敗れて以降やや調子も下降。第23節の福島ユナイテッド戦(0-1)からの4連敗もあり、現状は3位と昇格圏外にいる。


しかし、残り3戦を考えると2位鹿児島が上位勢相手であるのに対し、富山の対戦カードは中位以下のクラブが占めている。直近5戦は鹿児島と同じ2勝1分2敗で足踏みしてしまい、勝ち点差を詰めることは叶わなかったが、残す3クラブとの今季1戦目は全勝しており、前のめりに試合へ入れる要素となっている。もちろん、鹿児島が3連勝する可能性を考えれば現状での勝ち点差2はあまりに大きな数字と言えるが、今季勝てていない上位勢相手に3連勝しなけば追いつかれるという恐怖とも戦う鹿児島を思えば、富山の逆転の目は極めて大きなものにも見える。


松本山雅 MF菊井悠介 写真:Getty Images

松本山雅(現在4位)


残りの対戦カードと今季戦績



  • 第36節:Y.S.C.C.横浜(第3節3-0)

  • 第37節:カマタマーレ讃岐(第14節2-0)

  • 第38節:奈良クラブ(第1節2-0)


J2復帰を狙う松本山雅。開幕当初は6戦無敗と快調な滑り出しを見せたが、現状の上位勢を相手に勝ちきれず現在4位に甘んじている。ここまでJ3の得点ランキングでトップに立つFW小松蓮を軸とした攻撃陣は強力。アシストでもMF菊井悠介が10アシストでリーグトップに立っており、チームとしてもここまで51ゴールは首位愛媛、2位鹿児島に次いでリーグ3位タイの数字となっている。


残り3つの対戦カードにおける今季戦績は全勝。さらに言えば複数得点かつ無失点で下してきた相手となる。もちろんと言うべきか3戦ともに小松はゴールを挙げており、さらに得点を重ねるべく照準を合わせていることだろう。対戦相手だけ見れば残りのシーズン視界良好に見える松本だが、昇格圏である2位鹿児島との勝ち点差は5。3戦しか残されていない現状では黄色信号と言わざるを得ない。ほんの4シーズン前はJ1で戦っていた松本。まずは3シーズンぶりのJ2復帰を果たせるか。必須条件となる3連勝には、リーグきっての点取り屋の力が必要不可欠だ。




FC大阪 MF松浦拓弥(横浜FC所属時)写真:Getty Images

FC大阪(現在5位)


残りの対戦カードと今季戦績



  • 第36節:テゲバジャーロ宮崎(第2節1-0)

  • 第37節:FC今治(第6節3-1)

  • 第38節:愛媛FC(第4節1-2)


残念ながらライセンスの関係で、順位に関わらず今季J2昇格の道は閉ざされているFC大阪。しかし、Jリーグ初参戦で現在5位と、上位争いを話題にする上で外せないクラブとなっている。開幕直後こそ、現状の上位3クラブ相手に立て続けに敗れJリーグの過酷さを味わったFC大阪だったが、1-0で勝利した第12節の長野パルセイロ戦を皮切りに11戦無敗を記録。残り3節という最終盤に来て堂々の5位につけている。


残り3戦の相手は、FC大阪がJリーグ初勝利を挙げた相手であり現在は残留争い中のテゲバジャーロ宮崎。次いで9位のFC今治、最終戦は優勝を決めた愛媛との対戦だ。今季昇格は成せずとも、より上位で着地することはクラブとして大きな自信につながるはずだ。また、現状2位鹿児島との勝ち点差が6と厳しい一方で、もし逆転2位となればJ2を21位で終えた大宮アルディージャのJ2残留が決まる。リーグ加入初年度のFC大阪だが、同じJ3のみならずJ2クラブのファンやサポーターからもその注目度は高い。




Jリーグ旗 写真:Getty Images

逃げる鹿児島、攻め立てる富山と松本


ここまで見てきた通り、現在昇格圏にいる鹿児島だがその勝ち点差の小ささと残りの対戦カードにおける今季の戦績を見れば、もはやその差は無いに等しいと言えよう。一方、そんな鹿児島の取りこぼしを待つ富山や松本は、優勢に見える残り3戦を確実に白星で終えることが唯一かつ必須条件となる。2位着地のわずかな可能性に懸けるFC大阪も、自クラブの発展と名誉ある記録のため、間接的に他クラブの命運を背負い戦う。結果的には愛媛が独走状態で優勝し昇格を決めた2023シーズンのJ3リーグ。残り1枠となった昇格圏2位を巡る争いの決着はまだまだ分からない。

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