WRC:シトロエンCEOが撤退理由を改めて説明。「セバスチャンなしの2020年は想像できない」

2019年11月21日(木)13時40分 AUTOSPORT web

 11月20日、2019年限りでWRC世界ラリー選手権でのワークス活動から撤退することを発表したシトロエン・レーシング。同日に発表されたリリースのなかで、チームは改めて撤退理由を説明するとともに、シトロエンC3 R5でのカスタマーチームサポートは継続すること、ブランドとしては電動化にまい進することなどを表明している。


 2003年から2012年までの間に、ペター・ソルベルグやセバスチャン・ローブとともにシリーズを8回制覇するなど、WRCで圧倒的な強さを発揮してきたシトロエン。しかし、近年は予算削減やスポンサー離脱などの影響を受け、ライバルチームより1台少ない2台体制を軸にシリーズを戦っていた。


 また、2017年の車両規則改正に伴って導入した新型WRカー、シトロエンC3 WRCについても、ライバルチームのトヨタ・ヤリスWRCやヒュンダイi20クーペWRCと比べるとパフォーマンスで劣る場面が多かった。


 ポイントランキングの面でも、2017〜18年はマニュファクチャラーズランキング最下位。2019年はランキング3位で最下位こそ脱却したものの、タイトルを獲得したヒュンダイとは96ポイントの大差をつけられている。


 そんなチームは20日(水)にリリースを発表。「2019年限りでセバスチャン・オジエがシトロエンを離れると決断したことを受け、2020年に向けて“第一線級のドライバー”を起用することが難しくなったため、WRCプログラムを終了する」ことを明らかにした。


「シトロエン・レーシングは2019年から2020年までの2年間、C3 WRCをオジエ/(ジュリアン)イングラシア組、(エサペッカ)ラッピ/(ヤンネ)フェルム組の2組に託す予定だった」


「しかし、セバスチャン・オジエというドライバーがチームを離れることになり、彼のような第一線級のドライバーが不在の状態では、ワールドタイトルを争うことはできない。そのため、WRCプログラムを終了するという決断に至った」


「なお、PSAモータースポーツチームの経験と能力に基づき、2020年のカスタマープログラムについては強化を図り、世界中にいるC3 R5ユーザーへの支援も拡大させる」


「今回のWRCプログラム終了の決断により、シトロエンはブランド戦略に則ったマーケティングに注力することができ、2020年に予定している新世代電気自動車の発売により、新世代エネルギーへの移行などの課題に対処できるようになる」


 シトロエンのリンダ・ジャクソンCEOも「セバスチャン・オジエが2019年シーズン終了直後にシトロエン・レーシングを離れると決断したことを受けて、WRCプログラムの終了が決まった」と説明している。


「私たちとしても、この状況は望んではいませんでしたが、セバスチャンなしに2020年シーズンを戦うことは想像できませんでした。これまで高い情熱と献身的な働きをしてくたシトロエン・レーシングには心から感謝しています」


「シトロエンのDNAはラリーというモータースポーツと密接にリンクしています。また通算102勝、8度のマニュファクチャラーズタイトル獲得を成し遂げ、WRCの歴史上もっとも多くの成功を収めたブランドとなったことを誇りに思います」


 チームのシリーズ撤退を受けて2020年のシートを失ったエサペッカ・ラッピは自身のTwitterで「このニュースは僕だけでなく、ラリー界全体にとっても悪い知らせになった。来年以降のシート探しは始めている。あまり時間は残されていないけど、僕は強力なチームに支えられているよ」とコメントした。


 一方、シトロエンからWRC撤退を招いた張本人と名指しされる格好となったオジエは、日本時間21日(木)13時時点でも沈黙を貫いている。


 オジエはシトロエンと2020年までの契約を結んだ際「これが最後の契約になる」として2020年限りで現役を退く意向を示していたが、今回のシトロエン離脱に伴い、引退が1年早まるのか、あるいは2019年のドライバーズチャンピオンであるオット・タナクを失うトヨタを筆頭とするライバルチームへ移籍するのか、その去就に注目が集まる。


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