スーパー耐久:今季2勝目を手にしたHIRIX「特別なことはしていません。ミスなく走りきった結果です」

2020年11月23日(月)21時35分 AUTOSPORT web

 前戦岡山のGr-1決勝中、高木真一が3番手を走行していたなか、6周目のヘアピン・コーナーで大クラッシュを喫した888号車HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3。


 11月19日にシェイクダウンを行ったばかりの新車とともに、ピレリスーパー耐久シリーズ2020第4戦『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』に挑み、山脇大輔、ショウン・トン、根本悠生のドライブで、2020年シーズン第1戦富士24時間以来となる総合優勝を手にした。


* * * * * * * * * *


 2番グリッドからスタートした888号車HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の第1スティントを担当したのはショウン・トン。


 順調にオープニングラップを終え、着々とレースは続くと思われた矢先、2周目の第4コーナーで背後についた9号車MP Racing GT-Rと接触によりスピンを喫し、順位を4番手まで下げてしまう。


「第4コーナーでイン側から9号車が当たってきてスピンしたんだ。僕らには『絶対にクルマをぶつけてはいけない』という絶対的な指令もあったし、スピンした直後は『これでレースは終わった』と思ったよ」


「エアロも壊れてバイブレーションは酷かったけど、意外とペースは良かったね。だから、なるべく冷静になって周回を重ねたんだ。すると、バイブレーションも少なくなっていったんだよ」とトンは自身のスティントを振り返る。


「今回のレースで僕らが乗れることになったのもHIRIXさんやチームがクルマを用意するという大きな決断をしてくれたおかげだから、みんなに優勝をプレゼントできてとても嬉しいよ」とチームへの感謝を語った。


 第1戦富士24時間以来の参戦となった根本悠生は第3スティントを担当し75周目から搭乗した。その時点で81号車DAISHIN GT3 GT-Rの星野一樹が2番手の888号車に対し、1分2秒という大きなギャップを築いてトップを独走する状況だった。


「ショウンの第1スティントがいいペースだったので、最終スティントでもショウンが安心して飛ばせるように、僕と山脇さんで燃料もセーブしながら走りました」と根本は語った。


 優勝争いを展開することとなった81号車DAISHIN GT3 GT-Rは、他のST-X勢よりも8周ほど早い30周目に1回目のピット作業を行ったことから、4スティントで走りきるには燃料が足りず、スプラッシュを行うのではと予想された状況だったが、根本は搭乗してから20周で星野とのギャップを49秒954まで縮めている。


「81号車がスプラッシュで来るというのはわかっていました。ですが、僕らはそれに甘えず、計画していた通りに走りました。第1戦の24時間の時もそうでしたけど、自分たちの仕事を焦らず淡々とやったことで、結果がついてきたと思います。なので、凄く良かったです」と今季スーパー耐久参戦2戦ながら2勝目を手にした根本は、プロとして仕事を淡々と確実にこなした結果が、優勝に繋がったことを喜んでいた。


 チームのエースドライバーである高木真一の不在のなか、二人の若手ドライバーはそれぞれの役割を全うし、888号車の2度目の勝利を支えたのだ。


■山脇「ここ3週間は激動の日々でしたが、報われて良かったです」


 第2スティントを担当したAドライバーの山脇大輔は、第3戦岡山から続いた激動の日々を振り返った。


「新しいクルマを買って出場するのか、しないのかというところから、ここ3週間は激動の日々だったので、優勝という結果は良かったと思います。僕は普段会社員をやりながら、メンテナンスガレージの牛嶋君と一緒にチームのマネジメントもやっています。結構両立が大変だったということもあって、凄く疲れましたが……報われて良かったです」


「今回のレースは、燃費は気にしながらもペースは良かったので、戦略通りに終わったという感じですね。それも若者二人が頑張ってくれたから、というのがすごい大きかったと思います。でも、特別なことはしていません。メカニックはミスなく作業して、ちょっと接触はありましたけど、ドライバーもミスなく走りきった結果だと思っています」


 ポイントランキングトップで迎えた第4戦もてぎで勝利を手にし、ランキング2位の31号車との差を23ポイントまで広げた888号車HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3。デビューイヤーとなる2020年シーズンのタイトル獲得の可能性をまた一歩近づけることとなった。


「順位も大事ですが、基本はミスなく走りきるというのが大事だと思っています。そのなかで順位がついてくるといいですが、残り2レースもきちんとチェッカーを受けて、1ポイントでも多く持って帰るということがチャンピオンに繋がるというふうに思っているので、あまり舞い上がらずに淡々と終わらせたいなと思います」


 タイトル獲得に向けて、あくまで“ミスなく走りきるというのが大事”と山脇は語った。それこそ、このチームがスーパー耐久という耐久レースシリーズで強さを発揮している理由なのかもしれない。

昨年に続くもてぎ2連勝を掴んだショウン・トン(HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3)
ショウン・トンと喜びを分かち合う根本悠生(HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3)
HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/ショウン・トン/根本悠生)
左リヤに修復跡が見えるHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3
HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/ショウン・トン/根本悠生)

AUTOSPORT web

「スーパー」をもっと詳しく

「スーパー」のニュース

「スーパー」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ