成功したE・バレンシア封じ。セネガルが緻密な攻守でエクアドル撃破【W杯試合分析】

2022年12月1日(木)12時0分 FOOTBALL TRIBE

エネル・バレンシア(左)イスマイラ・サール(右)写真:Getty Images

FIFAワールドカップ・カタール2022のグループステージ最終節が11月30日(日本時間)に行われ、グループAのエクアドル代表とセネガル代表が対戦した。


前半42分に、セネガル代表のDFアブドゥ・ディアロが自陣でのフリーキックを素早く始め、前線にロングパスを供給。このボールに反応したイスマイラ・サールがペナルティエリア内で相手DFピエロ・インカピエに倒され、PKを獲得すると、このチャンスをI・サールが自ら物にした。


後半22分に、エクアドル代表のMFモイセス・カイセドにコーナーキックから同点ゴールを奪われたものの、この3分後にDFカリドゥ・クリバリがフリーキックのこぼれ球を押し込み、勝ち越しに成功。このリードを守りきったセネガル代表が2-1で勝利し、グループA2位での決勝トーナメント進出を確定させている。


各選手の個人技や身体能力任せではない、組織的な攻守が持ち味の両チーム。勝敗を分けたポイントは何か。ここではセネガル代表の戦い方を中心に解説する。




エクアドル代表vsセネガル代表、スターティングメンバー

巧妙だったセネガル代表の攻撃


今大会で3ゴールを挙げているエクアドル代表のFWエネル・バレンシアを封じるべく、基本布陣[4-1-2-3]のセネガル代表は同選手がいる右サイド(エクアドル代表の左サイド)から攻撃を組み立てる。


右サイドバックのユスフ・サバリと、右ウイングFWイリマン・エンディアイエのコンビネーションでバレンシアに守備を強いたほか、センターバックのクリバリも適宜右サイドに流れ、ビルドアップの起点に。バレンシアを自陣に釘付けにし、攻撃面での仕事をさせないという狙いが明確だった。


エクアドル代表 FWエネル・バレンシア 写真:Getty Images

このセネガル代表の目論見が表れていたのが、前半8分の攻撃シーン。ここでもクリバリが右サイドに流れ、ビルドアップの起点を担ったことで、バレンシアを自陣に追いやっている。クリバリの敵陣へのロングパスは一度エクアドルの選手に跳ね返されたが、こぼれ球をI・エンディアイエが拾い、その後のパスワークからセンターFWのブライユ・ディアが相手GKエルナン・ガリンデスと1対1の局面を迎えた。


エクアドル代表のハイプレスを、最終ラインからのロングボールで回避し続けたことも、前半の優勢の要因に。先述のPK奪取の場面のみならず、前半3分にもディアロの自陣からの長距離パスが味方に繋がり、この直後にイドリッサ・ゲイェがペナルティエリア内で惜しいシュートを放っている。特に前半は、セネガル代表によるバレンシア封じと、相手のハイプレス回避が功を奏した。


セネガル代表 FWイスマイラ・サール 写真:Getty Images

前半にエクアドル代表のビルドアップを封じる


セネガル代表は自陣での粘り強い守備に加え、前線からの緻密な守備でエクアドル代表のビルドアップを妨害。センターFWのディアが、エクアドル代表の中盤の底カルロス・グルエソへのパスコースを塞ぎながら相手の2センターバックに睨みをきかせたほか、I・サールとI・エンディアイエの両ウイングFWからも、相手のサイドバックへのパスコースを塞ぎながらセンターバックに寄せようとする姿勢が窺えた。


エクアドル代表の2センターバックからの強引な縦パスには、I・ゲイェ、パペ・ゲイェ、パテ・シスの3セントラルMFが素早い寄せで対応。相手最終ラインからのパスを中央へ誘導し、屈強な3セントラルMFが迎撃するという作戦が、特に前半は機能していた。


後半開始前に、エクアドル代表は布陣を[4-4-2]に変更

エクアドル代表が[4-4-2]に布陣を変え、ボールの預けどころがアンカー(中盤の底)1人から2ボランチの2人に増えた後半開始以降は、セネガル代表がハイプレスを掻い潜られる場面がちらほら。自陣への撤退守備を余儀なくされたが、主将でありディフェンスリーダーのクリバリを中心にゴール前や自陣ペナルティエリアの手前を堅め、何とか逃げ切った。エクアドル代表の布陣変更に苦しめられたものの、前線からの緻密な守備で前半に主導権を握り、この時間帯に得点を奪えたことが勝利に繋がったと言って間違いないだろう。決勝トーナメントでも、持ち前の組織力を発揮できるかに注目だ。

FOOTBALL TRIBE

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