【帝京長岡】湘南内定DF松村が待望の復帰 離脱期間で高めたチーム力で狙うは4強の壁突破<第100回高校選手権>

2021年12月23日(木)22時13分 サッカーキング

離脱が続いた松村(右)と主将の三宅(左) [写真]=安藤隆人

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 選手権本大会を前に明るい話題が帝京長岡にもたらされた。それはDF松村晟怜(3年、湘南ベルマーレ内定)が長期離脱から復帰したことだ。

 昨年のチームでCBとして攻守において抜群の存在感を見せていた松村は183センチの高さを持ち、足元の技術は一級品。最終ラインでも落ち着いたボールキープで時間を作ったり、プレスに来た相手を軽やかにかわしてから、精度の高い左足で長短のキックを使い分ける。特に対角のキックは魅力で、1発で局面を変えてくれる。

 この多彩さからプロのスカウトの注目を集め、湘南行きを決めた松村だが、春先からケガを抱え、プリンスリーグ北信越が開幕してから間もなくして、治療に専念するためにチームを離脱することになってしまった。

 インターハイ予選にも出場できず、まさかの予選敗退。チームは大きなショックを受けたが、「晟怜がいないから弱くなったと言われてはいけないし、一生懸命復帰に向けて取り組んでいるからこそ、僕らが意識を高く持ってやらないといけない」と主将のMF三宅凌太郎(3年)が語ったように、結束力はさらに高まった。

 システムは松村がいた時と変わらず『3−3−2−2』だが、松村に代わって3バックを統率したのは、昨年は左サイドバックだった2年生の桑原航太。笠井冠晟(2年)と松本大地(3年)との連携も試合を重ねるごとに向上し、アンカーを務めた三宅も豊富な運動量で3バックと連動して、守備に安定感が生まれていった。

 絶対的な軸が不在でも、それを感じさせないように努力を重ねた仲間たちの姿を、松村もただ黙って見守っていたわけではない。離脱する直前、こう口にしていた。

「プレーできなくても、外から見て感じたことや思ったことを伝えることはできる。チームに関わるという意識が大事だと思うので、ケガを治しながらも、チームのみんなと勝利を目指せるようにやれることは全力でやりたい」

 松村の想いと松村を想う気持ちが合致したからこそ、帝京長岡はインターハイ予選以降大きく成長を遂げた。プリンスリーグ北信越を制すると、選手権予選も松村抜きで優勝。準決勝の日本文理戦は2点を先行されてからの見事な逆転勝利を掴み取った。

 12月12日に広島で開催されたプレミアリーグ参入決定戦でついに松村が復帰。桐生第一との試合は3−1のリードを奪いながらも、終盤に3失点を喫しての逆転負けでプレミア昇格を逃すというショッキングな結果となったが、彼らが1年間で積み重ねてきたものは揺るがない。

 選手権では2年連続のベスト4。今大会こそは、その壁を突き破りたいと誰もが思っている。GK佐藤安悟(2年)、DF桑原、笠井、MF佐々木奈琉(3年)、三宅、廣井蘭人(2年)、そして松村と昨年からの主軸が大きな決意と覚悟を持っているからこそ、プレミア参入戦の悪夢も力に変えて、第100回の記念すべき舞台に優勝候補として乗り込んでくる。新たな北信越の雄として、これまで石川県、富山県にも渡った優勝旗を初めて新潟の地に持ち帰ってくるために。

取材・文=安藤隆人

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