打者専念の大谷翔平は数字をより伸ばすのか 不安な過去2年のデータと追い風になる重要な要素とは

2023年12月30日(土)7時0分 ココカラネクスト

慣れ親しんだエンゼルスタジアムからドジャースタジアムへ 本拠地の変化はパフォーマンスにどう影響を及ぼすか(C)Getty Images

 エンゼルスからドジャースへ移籍した大谷翔平は、右肘手術の影響で来季は打者一本でプレーする。ドジャーブルーのユニフォームに袖を通しての投打二刀流は、再来年の2025年までお預け。打者に専念する分だけ、投手としての負担が減って打棒により期待する声もある。だが、話はそう単純ではないかもしれない。

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 大谷は2018年10月に、右肘のトミー・ジョン手術を受けた。その影響で2019年は打者一本に専念。そう、来季と全く同じ状況だったのだ。

 では、打者としての成績は。ご存知のファンも多いだろうが、決して芳しいものではなかった。メジャーデビューイヤーの2018年は104試合、367打席で22本塁打。翌2019年は106試合で425打席に立ったが、18本塁打と本数は4本減らした。打率は.285→.286とほぼ変わらなかったが、二塁打も21→20と減少。打者を評価する上で最も重視されるOPS(出塁率+長打率)は.925→.848と大きく減らした。

 その翌2020年は新型コロナウイルスの感染蔓延を受けて60試合の短縮シーズン。大谷は投手として復活したものの、2試合目で右肘に異変を訴えて早々にシーズン中の登板をシャットダウンした。実質的に、2年連続でほぼ打者一本だったシーズン。ここでは44試合で打率.190、7本塁打、OPS.657とメジャー自己ワーストの結果に終わった。

 もっとも、打者・大谷が一段も二段も上のステージへと駆け上がったのは、この雌伏の2年を経た2021年シーズン。それ以前の数字であり、打者専念で二刀流として育んできたリズムを失い、数字を落とすというのはいささか乱暴な見方ではある。

 さらに、純粋に追い風として働きそうな要素もある。それが本拠地がエンゼルスタジアムからドジャースタジアムへ変わる点だ。

 メジャーリーグでは打者有利、投手有利といった具合に球場の特色が出やすい。それらは実際に数値化もされている。公式データサイト『baseball savant』によれば、今季まで3年間の平均データで最も打者有利の「バッターズパーク」は、ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドで数値が112。この数字は100を最も平均的な球場として、本塁打や安打の出やすさがプラスされて決まる。投手有利の球場なら数字が100よりも減り、最も投手有利なマリナーズのTモバイル・パークは92である。

 エンゼルスタジアムは、最も平均的な球場にあたる100。ドジャースタジアムもほぼ大差ない99となっている。だが、これを本塁打に限ると、ドジャースタジアムは122で、131のレッズの本拠地グレートアメリカン・ボールパークに次ぐメジャー2位。エンゼルスタジアムも112で5位と本塁打が出やすい環境にはあったのだが、それを上回る「ホームランパーク」なのである。

 大谷の2度の手術の執刀医であるニール・エラトロッシュ医師は、『ロサンゼルス・タイムズ』紙の取材に「彼は打撃の際に、肘の故障部位に全くストレスがかかっていない。だから靱帯を損傷した後もホームランを重ねた。これは右投げ左打ちだから可能なことで、右投げ右打ちでは難しかっただろう」と答えている。リハビリ過程にある右肘に、打撃はダメージを与えないと保証。打撃への影響についても否定してみせた。

 常に投打二刀流としてプレーしてきた大谷にしてみれば、打者一本に専念することは必ずしもプラスではないのかもしれない。それでもホームランバッターに有利な本拠地や、何より2021年以降に積み重ねてきた実績は別物。来季、数字をより伸ばすことができるか。答え合わせは1年後だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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