真摯なモノ作りと侘び寂びを心得たスニーカーで世界を魅了、日本ブランド5選

2024年1月19日(金)8時0分 JBpress

今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登

 年も明け、新たにスタートした令和6年の干支は辰。辰(龍)といえば、“近代日本の夜明け”とも呼ばれる明治維新の立役者の1人、坂本龍馬の足元にブーツが履かれていたのは誰もが知るところ。そこから後の昭和の世まで、酒、車、ファッションと舶来物が、やたらとありがたがられてきた島国ニッポン。

 それが今や、アニメ、ラーメン、大谷翔平と枚挙に暇がないほど日本生まれのあれこれが、世界中から熱烈にラブコールを受ける新時代。そこで再び存在感を強めているのがジャパンブランドたちである。

 2019年、突如降って沸いた新型コロナウィルス騒動によって、1854年の日米和親条約締結から約165年ぶりの鎖国状態となった我が国。そこで内需が拡大し、海の向こうでは電化製品や車を中心に長らく最先端・高品質の代名詞となっていた日本のモノづくりが再注目されるようになったことに起因する。この動きはスニーカーにおいても同様だ。

 これまで絶対王者として君臨してきたナイキを筆頭とした海外スポーツブランドではなく、日本生まれのブランドを推す声が増加している。そこで今回は、古代より大陸において力のシンボルとされてきた五爪の龍になぞらえて、“世界に誇れるジャパンブランド”をテーマに、厳選された5足を紹介する。

1. foot the coacher「ONE PIECE SNEAKERS」


洗練されたミニマルなルックスに、快適性も兼ね備える

 ジョージコックス、トリッカーズといった英国の著名シューズブランドでキャリアを積んだ、デザイナー竹ヶ原敏之介が手掛ける同ブランドは、卓越したデザイン性と熟練の技術力が結実した、品質の高さに定評あり。この「ワンピース スニーカーズ」はその魅力を凝縮した1足と言える。

 キメ細かなステアハイドレザーを用いたミニマルで洗練された表情のアッパーに、しなやかで返りの良いグリッパーソールを搭載することで耐摩耗性とグリップ力をも両立したアウトソール、さらに低反発クッションを採用して履き心地を向上させたインソールが合体。靴作りにおいて“時代との調和を図りながらデザインをすること”を標榜するデザイナーの美学を反映し、ビジュアルと快適性を兼ね備えた傑作が生まれた。

2. ASICS「GEL-LYTE III OG」


斬新な機能美に、日本ならではの侘び寂びをマッシュアップ

 1977年に創業したアシックス。日本を代表する総合スポーツメーカーとして世界的に人気を博す同ブランドの代表作は数あれども、海外ファンも多い「ゲルライト3」は押さえておくべきところ。1990年にランニングシューズとして誕生した同作は、シュータンを縦に大きく2分割させることで足への負荷を軽減し、抜群のフィッティングを実現するスプリットタン、独自のクッショニング技術“ゲル”を搭載したミッドソールを特徴とする。

 ここで紹介するのは、その優れた機能美を継承しつつ、大人の装いにも対応するシーズナルカラーだ。上質なレザーアッパーとミッドソールに擦れのようなエイジング加工を施すことで、日本固有の美意識である“侘び寂び”を感じさせる風合いを醸し出している。

3. MOONSTAR「LOW BASKET」


メイド イン 久留米を貫き続ける、名作クラシカルバッシュ

 福岡県久留米市に本社・工場を構え、145年以上の歴史を持つムーンスター。その名を聞いて、学生時代に体育館用、通学用として履いていた記憶がプレイバックされる読者諸氏も多いことだろう。ここでは、そんなジャパンクラシックから、定番中の定番として履き続けられている名作「ロー バスケット」を取り挙げる。

 6ホール&ローカットのキャンバスアッパーという簡素な外貌からは想像がつかないが、ヴァルカナイズ製法で作られたソールが生み出す柔らかな履き心地は特筆に値する。またシューレースにコットンの細平紐を採用することで、ヴィンテージのごとき趣きを楽しむことも叶う。これらから導き出される汎用性の高さが最大の魅力。着こなしを問わず活躍してくれるに違いない。

4. Mizuno「WAVE MUJIN TL GTX」


幻のデザインと最新ソールが結合したハイブリッド機種

 野球やテニスに慣れ親しんだ人だけでなく、スニーカーヘッズと呼ばれる層にも一気にその名が浸透したミズノ。同ブランドから選出されたのが、世界的シューズデザイナーとして知られるトゥアン・リーが、過去に描いたデザイン画を基に作成したアッパーに、最新のパフォーマンストレイルランニングシューズのソールを合わせた、このハイブリッドモデルである。

 第一の要所は、ソールに搭載されたウエーブプレートとグリップ力に優れたミシュラン製ラバーソールの組み合わせにより実現した、優れた安定感と耐久性。もちろん、ゴアテックス素材を採用したアッパーが誇る防水性と透湿性も言うに及ばず。様々な環境や路面に対応する汎用性の高さを求める声は多く、その名のごとく尽きることなし。

5. REPRODUCTION OF FOUND「GERMAN MILITARY TRAINER 4700S」


定番ミリタリープロダクツをスケート仕様にモディファイド

 メンズカジュアルファッションに欠かせない構成要素の1つ“ミリタリー”。これをシューズで体現するのが、2016年創業のリプロダクション オブ ファウンド。実際に軍用トレーニングシューズを生産してきた各国の工場で、ハンドメイドで生産される看板モチーフが、1970年代に西ドイツ軍が開発した屋内演習用シューズ、通称「ジャーマントレーナー」だ。

 これに柔らかさとグリップ力を兼備したヴァルカナイズドソールを搭載し、スケートボード仕様にモディファイドして本作は誕生。アッパーには、経年変化による風合いの変化が楽しめる上質なイタリアンスエードレザーを使用し、シュータンと履き口に配された肉厚のパッドが着用時のホールド感を向上。ボリューミーなシルエットが新鮮な印象を与える。

筆者:TOMMY

JBpress

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