オーセンティック、オールドスクールにスリッポン…ヴァンズはレトロクラシックな傑作ローテクスニーカーの宝庫!

2024年4月26日(金)8時0分 JBpress

今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登

 今回はまずMJについて話す。通例でいえば枕話を通じてスニーカーとの関連性を語るのだが、そう聞いてまず思い浮かぶのが、ナイキが誇るジャンプマンマークのアレ。だが今回は違う。マイケルはマイケルでも、ジャクソンのほうだ。

“キング・オブ・ポップ”とも称される世界的スターが、1980年に発表したアルバムの名が『OFF THE WALL』。直訳すれば“壁から離れる”となるが、転じて“型破り”という意味を持つ慣用句で、1966年頃に成立したスラングに由来するとか。先述のアルバムの歌詞対訳解説書では“気楽に生きる”と訳されており、これは同作が、彼にとって実質のソロ1作目であることを示唆しているとも考えられる。

 ではそれとスニーカーがどう関係するのか? ここでやっと今回のテーマに。ヒールラベルに自ら“型破り”と刻んだアメリカ西海岸生まれのブランドとくれば、ヴァンズ以外にない。

 サーフ〜スケートボード・カルチャーが花開いた1970年代、時代という大きな波を乗りこなし一躍人気ブランドに成長した同社。ここでは半世紀以上にも及ぶ歴史の中で生み出してきた傑作モデルを紐解いていく。…なんて小難しく考える必要はない。ラフに履いて“気楽に”楽しむ、それで良い、ヴァンズはそれが良い。

1. VANS「PREMIUM AUTHENTIC 44」


ブランド創立時から愛され続ける、永久不滅のクラシック

 サーフィンでいえばパドリング、スケートボードでいえばプッシュからすべては始まる。ヴァンズのアーカイヴモデルの中では、1966年のブランド創立時から存在する「オーセンティック」がこれに該当する。丈夫なキャンバス素材のアッパーとバルカナイズド製法で接着されるワッフルソールによって、摩耗にも耐える抜群のタフネスとデッキを確実につかむ力強いグリップを実現したことで、スケーターから拍手をもって迎え入れられた同作。

 今回用意したのはオリジンカットの型番“44”をその名に冠する、アーカイブデザインを再現したモデルだ。やや厚みのあるソールなど当時のディテールを再現しつつも、現代的スペックにアップデートされている。シンプルでどこか肩の力が抜けたようなリラックスムードが、夏、そして海にもよく似合う。

2. VANS「OLD SKOOL WAVE WASHED BLACK」


サイドストライプをアッパーに初採用したアイコニックな一足

 先述の「オーセンティック」から11年遅れでファミリーに名を連ねた「オールドスクール」。生まれは1977年。往年のファンの間では「ジャズ」という通り名で知られるローカットのスケートシューズだ。何よりの特徴がアッパーサイドにあしらわれた波型のライン、通称“ジャズストライプ”。創業者のポール・ヴァン・ドーレンが描いた落書きから誕生したとされるこのデザインを初めて搭載したモデルでもある。

 褪色したアッパーに擦れて汚れたソール、使用感のあるシューレースと、一見するとヴィンテージのごとき佇まいだが紛れもなく今季の新作である。「新品のスケシューほど気恥ずかしいものはない」と考えるオールドファンをも納得させる出色の一足で、入手後すぐにこなれた足元を演出することが可能だ。

3. VANS「PREMIUM SK8-HI 38」


デビュー45周年を迎えた、スケートシューズの代名詞的モデル

 3足目のデビューは1978年。前年発売の「オールドスクール」がスケーターらから絶大な支持を集めるも、ローカットゆえ足首の保護という点では不十分。そこで誕生したのが「スケートハイ」だ。多少の相違点こそあるが、概ね「オールドスクール」のハイカット版と捉えて差し支えない。

 ライディング時に負傷しやすいアンクル部分を高く設計し、3層のパッドを装備して足首を保護。同様にトリックをした際に擦れやすいトゥ部分は、スウェード素材とステッチワークで耐久性を強化。まさにスケーターのための一足と呼ぶにふさわしい。このモデルのヒットによって、ヴァンズはスケートシューズの代名詞という絶対的地位を得るに至った。“プレミアム”の名を冠する現行モデルでは、30%のバイオベース素材によるインソールを搭載し、快適な履き心地が楽しめる。

4. VANS「PREMIUM SLIP-ON 98」


脱ぎ履きも楽々、リラックス&コンフォータブルな履き心地

 スケーターたちにとってシューズは、デイリーユースのアイテムである。ゆえにハイカットは脱ぎ履きが面倒だと敬遠する横着者も少なくない。そんな声に応えてか、1982年に本モデルが産声を上げることとなった。履き口部分の両サイドに装着されたエラスティックバンドにより、着用の際は足をすべり込ませるだけと着脱もイージー。フィット感も上々の元祖コンフォートシューズ、それが「スリッポン」。

 通常モデルは定番として現在も安価で手に入るが、こちらは往年の意匠とシルエットを再現しつつも上等な素材を採用することで、洗練された履き心地を提案するプレミアムラインからのエントリー。ラフなように見えて、意外に繊細。気安いようで、じつはハイクラスの佇まい。人間であれば間違いなく異性が心惹かれる憎いヤツ。

5. VANS「KNU SKOOL」


クラシカルなシルエットを再解釈してファットに仕上げた’90sモデル

 近年、様々な方面において再評価の機運が高まる’90sカルチャー。その中でも世界的に注目を集めているのが、当時のストリートファッション。このビッグウェーブに乗って、各ブランドが往年の名作を続々と復刻させている。この「ニュースクール」もまさにその一例。

 名前からも察することができるように「オールドスクール」から題を取り、構成するデザイン要素をさらに誇張。耐久性の高いスウェード素材のアッパーを、足を包み込むような肉厚なシュータンとライニング、極太で立体的なサイドストライプでアレンジすることで“OFF THE WALL=型破り”の名を背負うに恥じない仕上がりに。当然ながら履き心地も抜群。太めのボトムスと相性が良いだけでなく、これからの季節であればショーツと合わせるのもまた楽しい。

筆者:TOMMY

JBpress

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