ポンプフューリーetc. エポックメイキングなリーボックの名作スニーカー5選
2024年1月27日(土)8時0分 JBpress
今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。
写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登
“何処の馬の骨”なんて言葉が、素性のはっきりしない者を嘲る際に使われることは皆様ご存じの通り。では、有名スポーツシューズブランドの名前に使われながらも、馬かどうかさえ怪しい動物をご存知か。その名はリーボック。「ではその正体は?」と調べると実はこれ、鹿にもよく似たガゼルのアフリカでの呼び名。以上、知らぬ存ぜぬであっても馬鹿にはされないが、せっかくなら覚えておきたい豆知識。
というわけで今回は、これまでにアディダスから始まり、ナイキ、コンバース、プーマと誰もが知るスポーツシューズブランドの名作を取り挙げてきた当シリーズの慣例に倣い、“リーボックの名作”をテーマとする。
元・陸上競技の選手でもあった創業者のJ.W.フォスターが、イギリスで1900年に“より速く走るために”と作り始めたシューズは、その革新性からまずランニングの世界で認められ、その後、テニスやバスケットボール、フィットネスなどのジャンルへと大きく広がっていった。ここでご覧いただくのは、1990年代半ばに巻き起こった第一次ハイテクスニーカー・ブームを代表する名機「インスタ ポンプフューリー」を筆頭に、今やブランドの骨子となっているアイコン的モデルたちだ。
1. Reebok「INSTAPUMP FURY 95」
第一次ハイテクスニーカー・ブームを象徴する傑作
シューレース自体を廃し、アッパー内部に納められていたブラッダー(空気室)に空気を注入することで、フィット感を調節するインスタポンプテクノロジーを搭載し、屈曲性を高めた前後分割型のスプリットソールを採用。“世の中に存在しないデザインを生み出す”という野心的なコンセプトを具現化し、1994年3月にデビューを飾ったその斬新なランニングシューズは「インスタ ポンプフューリー」と名付けられた。
40代オーバーであれば、英国版『cut』でアイスランド出身の歌姫・ビョークが着用してカバーを飾ったという逸話を知る人も多いだろう。こちらはその当時のディテールを忠実に再現し、品の良いモダンベージュを基調に塗り替えられたシーズナルカラー。オリジナルの魅力を損なわず、大人の一足に。
2. Reebok「WORKOUT PLUS」
ワークアウトからスケートにまで対応する抜群の汎用性
世界中がフィットネスブーム真っ只中の1984年に注力したのは、あらゆるワークアウトに対応するクロストレーニング用モデル「ワークアウト」だった。足を柔らかく包み込むガーメントレザーのアッパーに、安定したフィット感と高いサポート性を約束するサイドのH型ストラップを配備。クッション性に優れたEVAミッドソールと、耐久性とグリップ性を高めるラバーアウトソールも相まって、望外のパフォーマンス性能を提供する。
今回用意したのは、耐久性を向上したことでスケートボード愛好家からも人気の後継機「ワークアウトプラス」。しかもオリジン発売当時の意匠と素材感を忠実に再現し、クラシカルな雰囲気を纏った“アーカイブパック”からのリリースということもあって注目度は高い。
3. Reebok「CLUB C 85 REVENGE VINTAGE」
ルックス・機能性…すべてがチャンピオン級の名選手
リーボックの歩みについて触れるならば、1980年代に空前のブームを迎えたテニスとの蜜月関係を語らずにはいられない。中でもよく知られているのが、1985年にテニスシューズとして誕生した「クラブC 85」だろう。そしてそのアッパーサイドにブランドを象徴するベクターロゴの意匠を加えると「クラブ C 85 リベンジ」となる。
モデル名に冠された“C”はChampionの頭文字で、発売当初の名称「クラブチャンピオン」に由来。ガムラバーソールの優れたグリップ性能とシンプルなデザインによる汎用性の高さを武器に、コートの外へと飛び出し、デイリーユースでも親しまれる定番だ。純白の高級天然皮革アッパーが漂わすクリーンなムードとクラシカルな表情で、大人の装いに軽快な印象をもたらすグッドプレーヤー。
4. Reebok「EX-O-FIT HI」
フィットネスの名機をリファイン&アップデート
1980年代に世界中で巻き起こったフィットネスブームが、リーボックに大きな影響を与えたことは先述の通りで、1982年にリリースされ、足馴染みの良さとミニマルでスポーティーな表情が時代にマッチして大ヒットを記録した「フリースタイル」は、まさにその恩恵を受けた代名詞的存在。この名機にリファインとアップデートを加えて本モデルは誕生した。
柔らかなフルグレインレザーがストラップを配したミッドカットのフォルムを、よりしなやかに演出。フォームソックライナーによる快適なサポートも心強く嬉しい限り。その上、衝撃を吸収するEVAミッドソールと耐摩耗性と反発力を備えたラバーアウトソールが街履きで効果を発揮。オールブラックで汎用性も高く、男女問わずビズカジュアルの足元に推す声が多い。
5. Reebok「Classic Leather」
ガーメントレザーを贅沢に使ったランシューの王道
定番や名作を意味する“クラシック”とリーボックのお家芸であるガーメント“レザー”。この2つのワードを組み合わせて名付けられたランニングシューズ「クラシックレザー」のデビューは1983年。やや細めに設計されたラスト(足形)をやさしく包み込む上質なフィッティングと、路面のコンディションを問わず高いグリップ性能を発揮するソールにより、快適な着用感と履き込むほどに足に馴染んでいく過程を存分に楽しむことができる。
またそれだけでなく、潔くホワイト一色で仕上げられたクリーンでタイムレスなルックスは、あらゆるファッションにおいて高い親和性を発揮。40年以上のキャリアを経た現在でも多くのフォロワーを擁し、どこまでもシンプルでありながら、その様相はまさに名作と呼ぶにふさわしい。
筆者:TOMMY