精緻で頑丈、手仕事の温もり感じるジャパンブランドのクラフトスニーカー5選

2024年2月16日(金)8時0分 JBpress

今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。

写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登

 2月半ばの一大イベントとくれば、言わずと知れた聖バレンタインデー。意中の相手からの愛の告白と贈り物に期待を寄せ、一喜一憂した在りし日の想い出も、読者諸氏にとっては四半世紀以上前の話。それも最近では随分と様変わりしているとか。

 もちろんチョコが不動の人気1位であることには変わっていないが、贈る相手に合わせて本命チョコ、義理チョコ、友チョコと変化する名称に、世話チョコ、社交チョコなんていう昭和生まれには聞き慣れないものも。しかし、お題目は何であれ、もらえさえすればうれしく、特に“手作り”という響きがありがたいのは変わらない。これはチョコに限らず、他のモノにも言える。

 作り手のこだわりと手仕事の温もりを感じるクラフトなアイテムは愛着が湧きやすく、他の何“モノ”にも替えがたい無二の存在となり得る。スニーカーもそう。そこで今回のテーマは“クラフトスニーカー”。それも再評価の機運高まる日本のモノづくりに着目。職人の手仕事により生み出されるクオリティの高さと、我々日本人の足にフィットする仕上がりは間違いなく物欲を刺激する。そうそう、近頃は自分自身へ贈るご褒美チョコも当たり前だとか。なんて言い訳も用意したので、遠慮は無用。ぜひお手に取ってご覧あれ。

1. Hender Scheme「species」


テッキーなルックスと、足を包む快適なフィッティング

 クラフトという言葉が持つ“飾り気なく温かみのあるイメージ”を良い意味で裏切るのが、革靴や革小物などを得意とするエンダースキーマ。様々な名作モデルをヌメ革で製作したオマージュシリーズが中でも著名だが、この新作「スピーシーズ」も負けず劣らず面白い。

 脱ぎ履きしやすいモックスタイルに、撥水ベロアとソフトシュリンク、スムースという3種類のカウレザーで切り替えたアッパー、クッショニングに優れたヴィブラム社製ソールを取り合わせることで、近未来的かつテクニカルな佇まいに。もちろん履き心地の良さは語るに及ばず。履き口にダイビング用ウェットシューズにも用いられるクロロクレンゴムをあしらい、足を包み込むようなフィット感を実現。長時間の歩行でも快適さをキープする。

2. blueover「みんなのマイキー」


いつまでも共に。日本人による、日本人のための一足

 モデル名に冠された「みんなの」こそ、ブランド設立時から姿を変えず展開され続けてきた定番たる証。冒頭でも述べたように、手仕事の温もりは着用者の愛着を深めるが、スニーカーには寿命が存在する。この課題を、ソール交換可能なマッケイ製法を採用することでクリアしたのが本モデルである。

 ピッグスキンの一枚革で構成され、装飾を削ぎ落としたアッパーは、“履きこむ・馴染む・育てる”という過程を経て、着用者の足の形にフィットしていく。またラストにも長年愛されてきた理由が隠されている。前足部分をゆったりと、甲と踵はしっかりホールドする幅広甲中に設計することで、立つ・歩くという日常動作をスムーズに。いつまでも愛する1足と共に過ごすというスニーカー好き共通の願いを叶える一足だ。

3. BUILD「005 sneaker」


限りなくシンプルでありながらも、履き心地は極上

“美しい道具としての靴のあり方”を探求する靴作家・森田圭一が、“限りなくシンプルな足もと”をコンセプトに展開するレーベルがビルド。本作は、そのコンセプトを具象化したミニマムなデザインと上質な仕立てにより、スーツにも合うオーセンティックなスニーカーとして誕生した。

 アッパーには害獣として駆除されたイノシシ革を使用。起毛感を残しつつもなめらかな風合いは、ビジネスシーンにも確かによく馴染む。ライニングは通気性と耐久性に優れたピッグスキン、加えてソールは安心信頼のヴィブラム社製。内部に搭載されたヒールカップが靴擦れを防ぐのと同時に、履き心地を向上させるひと工夫も。しかもインソール下には低反発ウレタン。履いて歩くうちに自重で沈み込んでいき、さらなる足とのフィットを約束する。

4. PRAS「SHELLCAP LOW」


大人の足元を飾るに相応しく、シンプル&レトロ

 日本人的特質を活かしたモノづくりを追求し、緻密かつ繊細なデザインで通人たちを魅了するプラス。“JAPANISM PRODUCTS”を標榜する同ブランドが、2015年のレーベル立ち上げ時から継続展開してきたスタンダードモデルがこちら。

 製造を手掛けたのは久留米にあるムーンスター。職人によるバルカナイズド製法で仕上げられたローカットスタイルで、糸、撚り、タテ糸の構成にこだわり、スニーカーに適したオンスを独自に調整・開発したオリジナル生地「児島帆布」と貝殻を模したトゥーキャップのコンビネーションが、なんともレトロな面持ち。綿カスが混入した程よくムラ感のあるコットンの自然な風合いも、そのシンプルな風景を引き立てる。軽やかな装いへと切り替わっていくこれからの季節に、必ずや活躍してくれるだろう。

5. YOAK「ULYSE CA」


洗練された意匠と“レザーのカシミア”のペアリング

 最後のエントリーは、古き良き時代のテニスシューズから着想を得たというヨークの定番「ユリス」。無駄なく洗練されたパーツ構成に加え、素材にまでこだわった一足だ。通気性に優れ湿気に強いだけでなく、軽く優しい手触りから“レザーのカシミア”とも称されるディアスキンがアッパーに用いられ、こなれたムードを放つセイルカラーが高級感を演出する。

 ライニングにはピッグスキンをつま先まで贅沢に配し、足全体を包み込むフィッティングを実現。低反発メモリーフォームタイプのインソールもこれに寄与。見えない部分にまで光る工夫は、クリエイティブから生産までを日本国内で行うからこそと言えよう。

筆者:TOMMY

JBpress

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