「泥水の入ったボウルを澄んだ状態にするには?」この問いで導き出せるのは…あなたも常に「考えすぎ」ていませんか

2024年2月16日(金)12時30分 婦人公論.jp


「考えるのを完全にやめるのは不可能ですが、考える時間を減らすことはできます」(写真提供◎photoAC)

内閣府が発表した、令和4年度の国民生活に関する世論調査によると、日常生活で悩みや不安を「感じている」と回答した人の割合が78%でした。内容としては、「老後の生活設計」や「自分の健康」、「今後の収入や資産の見通し」などが多く、快適な暮らしができるようになった一方、精神的な不安を抱えている人も多くいます。世界33ヵ国語で翻訳された『考えすぎない練習』によると、悩みや不安の根本原因は「考えすぎ」にあるとのこと。私たちは、普段どの程度考えすぎてしまっているのでしょうか——。

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「いま、ここ」に心を置く


考えるのを完全にやめるのは不可能ですが、考える時間を減らすことはできます。そうやって日を追うごとに考える時間を少なくしていけば、やがて一日の大半を思考にとらわれずに過ごし、ほとんどの時間を幸せに満ちた状態で生きられるようになります。

私たちが「考えるのをやめたい」と言うと、多くの人はたいてい、すべての考えをやめようとしていると勘違いします。これは私たちが目指していることではありません。

「考え」と「考えること(思考)」の違いはもうおわかりですね。私たちは、浮かんだ考えについて「考えること」は最小限に抑えて、「考え」だけが次々と浮かんではあふれてくる状態を目指しているのです。

考えるのをやめることについて、最も興味深く逆説的とも言えることがあります。

それは、考えることを最小限に抑えるにはそれを意識するだけでよく、他には何も必要ないということです。自分が考えているということ、それがすべての苦しみの根本原因であることを意識すれば、私たちはおのずとその事実を自覚します。

そして、思考にとらわれなくなり、思考を落ち着かせてやり過ごすことができるようになります。労力はほとんどいりません。純粋に「いま、ここ」に心を置くだけでいいのです。

濁った泥水をイメージして


ではここで、私のメンターの一人から教わった、この概念を説明する例え話を紹介しましょう。次の質問に答えてください。

Q. 汚く濁った泥水の入ったボウルを私があなたに渡すところを想像してください。その水を澄んだ状態にするようにお伝えしたら、あなたはどうしますか?

先に進む前に、15秒かけてどんな答えが思い浮かぶか確かめてください。

ほとんどの人は、水をろ過したり煮沸したりといった方法を口にします。泥水の入ったボウルをしばらく放っておくと、泥がひとりでに水の底に沈み始め、やがて水が自然と澄んでくることに、大半の人が気づきません。

私たちの頭の働き方もこれと同じです。

少しずつ頭の中が澄んだ状態に


「ろ過」や「煮沸」を試みて思考を乱すのではなく、そのまま放っておけば、思考はひとりでに落ち着いて、私たちの頭は思考から解放されます。水の自然な状態は澄んでおり、私たちの頭の中の自然な状態も、自分で乱さないかぎり澄んでいるのです。

人生が不透明で混乱し、ストレスに満ちていると感じ、次に何をすべきかわからない場合、それはあなたの思考が泥をかき回して頭の中を濁らせ、前を見えづらくさせているからにすぎないことがもうおわかりでしょう。

あなたはこの状態を、自分が考えすぎていることに気づくための指標として使うことができます。

自分が考えていることしか感じられず、考えることが不快な経験の根本原因であることを意識すれば、その経験をあるがままに受け止めることができます。そして、干渉しないことによって思考を落ち着かせることができ、少しずつ頭の中を澄んだ状態に戻す方法がわかるようになります。

※本稿は、『考えすぎない練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

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