羽田空港へ手ぶらも可能? 課題解消のための研究開発拠点が誕生

2024年2月28日(水)16時25分 マイナビニュース

日本空港ビルデングが2月28日、「terminal.0 HANEDA(ターミナル・ゼロ・ハネダ)」をHANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)内に開業した。
「人のこころを動かすために、空港が出来ることのすべて。」をテーマに、空港課題の解決やより快適な羽田空港の未来の具現化にむけて「保安検査場」「空間デザイン」「ラウンジ」「先端技術」「未来空港関連」等の項目ごとにさまざまな研究・検証に取り組むという同施設を内覧したので紹介したい。
○羽田空港を便利に
異業種連携で取り組む研究開発拠点となる本施設。建物2階「テストフィールド」、3階「ワーキングフロア」で構成され、2月時点で32社1団体1大学が参画している。
日本空港ビルデング事業開発部に所属する池田篤氏は、開発のために3つの機能を備えると説明する。
「参画企業同士がコミュニティを通して交流を深め『横串を通して』いろいろな研究課題に取り組むコワーキング、より効果的で確度の高い実証実験を実施できる『羽田空港に近い環境』を整備したテストフィールド。さらに空港への導入が目的の研究開発ですが、その研究内容も1つの成果だと私たちは捉え、アニュアルレポート(年次報告)の作成や共同プレスリリースなどのプレゼンテーションの3つの機能を持たせています。特に他のコワーキングスペースにはない、空港を模したテストフィールドが一番の特徴です」(池田氏)
着手するプロジェクトは「保安検査改善」「空間デザイン・アート活用」「先端技術DX」「未来航空・宇宙」「働き方検討」の5分野で、チームを組成し開発に取り組むと言う。
○羽田空港を再現
一番の特徴という「空港施設を再現したモックアップスペース」だが、飛行機に搭乗する過程を再現し、荷物を預けるバゲージドロップ、出発時間を表示する館内サイン、保安検査、ボーディングブリッジからラウンジまで用意されている。
実証実験の一例として紹介されたのが手荷物に関するもの。現状は手荷物を空港の外で預けることはできないが、それが可能になるなら仕事や観光など時間をより有効活用できるだろう。そこに取り組んでいるそうだ。
「空港の外で手荷物をチェックインして預ける。そうした世界観を目指し、ターミナル・ゼロ・ハネダでも検証していきたいと思っています。そこで、空港に置いてあるものよりもよりコンパクトで機動的で配置できる機械を使い検証します。設置場所は宿泊ホテルのロビー、東京や品川など主要な駅で、利用者が手ぶらで空港まで行けるイメージです」(広報担当者)
それ以外にも「スーツケースの衣類などを機械で圧縮してスペースを作り、土産物を収めることで購入意欲を向上させる」「常に混雑し行列ができ、無機質でストレスを溜めてしまう保安検査のスペースを、香やアートなど五感を満たすものでストレス低減させる」などの取り組みも披露された。
○交流を深める
設備や環境以外のソフトの面、つまり人の交流はどのように起こさせるのか。池田氏は次のように説明する。
「ここを『単なるオフィスの働く場所』にはしたくないので、交流イベントを月に1回実施します。また交流イベント自体は一般的なコワーキングスペースでも開催されていますが、私たちは各参画企業の本社からの課題の声を出してもらい、それをみんなで聞くということを定期的に実施したい。そこから気付きや発見につなげ、また各社さんの保有するノウハウや知見をソリューション開発に活かしていく。そんな構想をしています」(池田氏)
またそもそも課題を見つけることも大切なので、同社のスタッフが常駐し彼らがトリガーとして機能するようにするようだ。
交流イベントの開催、課題の見つけ方など含め、既に同様の取り組みを実施している他社の協力を得ながら、運用していくと池田氏は言う。
参画したい場合は「空港でどのようなことをしたいのか」と研究内容を提出し、その内容と面談を経ての判断となるそうだ。
過去に類のない取り組みが空港発で誕生するかもしれないので期待したい。

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