「知らない街で始発電車を待ってたら、ホームレスのおじさんが『酒買ってこい』。コンビニに行って戻ってくると...」(長崎県・男性)

2023年3月1日(水)14時30分 Jタウンネット

シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Aさん(長崎県男性・年齢不明)

Aさんは、友達と一緒に青春18きっぷで九州から東京を目指したことがある。

途中の掛川で終電が終わり、彼らはそのまま始発を待つことに。そこへホームレスのおじさんが近づいてきて......。

<Aさんの体験談>

私の地元は長崎の田舎で、学生時代は1時間に1本だけ来る1両編成のディーゼル汽車にしか乗ったことがありませんでした。

そんな電車の乗り方も分からなかった私が、友人と一緒に青春18切符で東京を目指した、30年前の出来事です。

「酒買ってこい」

静岡の掛川駅までたどり着いたところでその日の電車が終わり、私たちは宿をとらずに始発を待つことにしました。

土地勘もない初めての場所。雪のちらつく時期で寒かったことを覚えています。

友人と震えていると、突然声をかけられました。

「何してる?どこから来た?」

ホームレスのおじさんでした。お世辞でも清潔とは言えず、においもありました。

私たちが「福岡から電車乗って来たんですけど、ここで終点だったので始発を待ってるんです。お金もないからここで時間潰そうと思ってます」と答えるとおじさんはしかめっ面に。何か機嫌を損ねてしまったのか、金銭を要求されるのか、テリトリー争いに巻き込まれるのか......。

ビビっている僕たちにおじさんは、しかめっ面のまま手を差し出して来ました。

「怖い」と思いながら見ると、差し出された手にあったのはクシャクシャの1000円札2枚。そしておじさんは低い声で言いました。

「酒買ってこい」

「俺みたいになるなよ」

パシらされるのかと思っていたら、続けておじさんはこう言いました。

「お前らも温かい好きなもん買ってこい」

おじさんは自分のお酒と合わせて、私たちにご飯をご馳走してくれたのです。

しかも、友達と2人で近くのコンビニまで買い物に行き、戻ってお釣りを渡そうとすると、おじさんは「明日ジュースでも買え」と......。

気のいいおじさんで、眠る暇がないくらいに沢山おしゃべりをしました。

詳しい話は忘れましたが、おじさんは英語が話せるとのこと。破れて汚れてはいましたが、着ていた服はブランドものでした。

話しているうちに電車が動き始める時間になり、私たちは準備をはじめました。

おじさんは寂しそうに見送ってくれて、その際にこんな言葉を掛けてくれました。

「お前たちの人生は長い、色々あると思うけど、俺みたいになるなよ!」

そう言っておじさんはまた財布を取り出し、3000円を手渡して「飯食え」と言うのです。

「もらえんよ、おいちゃん金なくなるやん」

私たちは断りました。おじさんは財布の有り金全部をくれようとしたからです。しかしおじさんは

「久しぶりに楽しかった、金は稼げばもらえるがお前らとの思い出は買えない、お前らに感謝や、一期一会や!一期一会!」

といって結局お金をくれました。私たちは3人で抱き合った後、おじさんに始発に乗り込むところまで見送ってもらいました。

おじさんからもらった「座右の銘」

一週間ほど東京の友人宅で過ごした後のこと。帰りに東京土産で買った酒を持っておじさんに会おうと途中下車しましたが、見つける事はできませんでした。

あれから30年。おじさんからもらった「一期一会」と言う言葉を座右の銘にしています。

今頃どうしてるかな。一緒にいた友人とは、今もおじさんの話で盛り上がります。

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