どれだけ知ってる? 教習所で教わらないバイクTips 第40回 初心者はもちろん、リターン組にもおすすめ! 250ccバイクの選び方【後編】

2024年3月26日(火)16時0分 マイナビニュース

コロナ禍では約30年ぶりのバイクブームが到来しました。若者を中心とした初心者だけでなく、中高年のリターンライダーも増加し、その人気はアフターコロナの今日も衰えていません。
前回は初心者やリターン組に最適な250ccクラスのコスパやジャンルについて紹介しましたが、後編の今回は同じ250ccでもエンジンや車体の違いによるフィーリングや、中古車を買う場合に注意すべきポイントを解説します。
■単気筒と2気筒、何が違う?
現在市販されている250ccクラスのエンジンは「単気筒(シングル)」と「二気筒(ツイン)」がほとんどです。エンジンのシリンダー、つまりピストンが1個か2個かの違いですが、フィーリングや特性はだいぶ異なります。
単気筒のバイクはエンジン幅が狭いため、車体も軽くスリムです。このため入門車のようにも思われますが、実はそうとも言いきれません。2気筒に比べて1回の爆発と間隔が大きいため、エンジンの鼓動や排気音のほか、リアタイヤを蹴り出すフィーリングは力強いものになります。250cc程度であれば問題ありませんが、中〜大排気量になるとマニアックなベテラン向けになるほどです。
2気筒は125ccのピストンが交互に爆発するため、シングルより振動は少なく、適度な鼓動感を持ちつつ高回転まで軽やかに回ります。「並列(パラレル)」と「V型」など、シリンダー配列や爆発間隔に違いがありますが、パワーの出方はリニアで扱いやすく、燃費や高速巡行を含めたトータル性能でバランスのとれた優等生です。一般的には並列よりV型の方がスポーティなフィーリングで、エンジン幅も狭いためハンドリングも軽快になります。
■刺激を求めるなら「4気筒」や「2ストローク」
現代の250ccは非常に優秀ですが、大排気量車からの乗り換えや、80〜90年代の過激な250ccに乗っていたリターン組の方には物足りなさを感じるかもしれません。そういった方には、ちょっと変わったエンジンもおすすめです。
例えば2020年にカワサキから発売された「ZX-25R」ですが、このモデルは4気筒エンジンを搭載しています。250ccの4気筒はパワーを追求した80年代に登場したものの、2000年代後半に消滅していたため、その復活は大きな話題となりました。最大の魅力は甲高いサウンドを奏でて18,000回転以上回るエンジンですが、それに負けないほど車体も作り込まれています。低回転域のトルクが細く、250ccとしては高価というネガの部分もありますが、内容的にはバリュー価格と言えるでしょう。
そのほか、過激なパワーを求めるなら2ストロークという選択肢もあります。国産車は販売が終了したため中古車になりますが、当時の国内ロードレースではパワフルな400cc4気筒の4ストと同じカテゴリーで戦っていたほどですから、そのポテンシャルは同じ250ccの4ストとは比べ物になりません。
2ストは試乗経験のない人には暴れ馬のイメージを持つかもしれませんが、80年代中盤以降のモデルなら比較的扱いやすいものです。オンロードモデルの価格は異常なほど高騰していますが、穴場はオフロードモデル。車重は100kg前半と超軽量で、エンジンの瞬発力もロードモデルを凌駕するポテンシャルを持っています。
■シートの高さやハンドル形状
初心者が怖いのは「立ちゴケ」ですが、シート高が低ければ足つきは非常によくなり、バランスを崩しにくくなります。多くの250ccはエントリー層をターゲットとしているため、極端に足つきの悪いモデルはごく少数ですが、だからと言ってシート高は低ければ低いほどよいというものでもありません。
バイクのシートはライダーが座るだけではなく、加速や減速、コーナリングといったライディング全般において、体重を車体に入力する役割を持っています。直線走行のクルージングを主体としたアメリカンのシートは低く、機敏な動きを必要とするスポーツタイプのシートが高いのにはこういった理由があるからです。
そのため、足つきを良くするために過剰なローダウンやシートのスポンジを削る「アンコ抜き」をすると、そのバイクの運動性が低下したり、乗り心地が悪くなることもあります。
ハンドルも高さや形状、遠さなどで走行時の疲労度が変わってきます。スポーツタイプの多くは左右別体型の「セパレート」タイプですが、「バーハンドル」タイプなら取り付け部分の角度を調整したり、社外品のバーに交換することで高さや絞り角などを変更できます。
■年式の古い中古車には要注意
250ccは中古車を買う際に車検の心配をする必要がありませんが、この「車検がない」ということがトラブルの原因になることもあります。
車検は新車登録から3年後、以後は2年ごとに受けなければなりませんが、車両の不具合や不正改造があった場合、修理をしなければ合格することはできません。これは年々厳しくなっているため、現在中古車で販売されている車検のある400ccクラス以上のバイクはしっかり整備されているものが大半です。
しかし、250ccには車検という厳格な整備の規制がないため、まれに整備不良や誤った改造で大きなトラブルを抱えたままになっている個体もあります。もちろん、プロであるバイクショップは販売する車両の点検を行いますが、エンジンやフレームをすべて分解するほどのチェックはしないので、トラブルの元凶を見逃してしまうこともあるはずです。
そのため、古いモデルを買う場合は販売店に修理が必要になった際の補償や、パーツが確保できるかなどを事前に相談した方がよいでしょう。相場より明らかに安い個体は、何らかのトラブルを抱えている可能性が高いです。
比較的安心なのは、現行か1つ前くらいのモデルで、走行距離も少ない個体です。(年式は新しいほど部品の改良がされています)全体的に小さな傷や汚れがあったとしても、何か不自然に部品が交換された痕跡のある個体よりもリスクは少ないようです。
■同じ250ccでもモデルによって乗り味はさまざま
今回、前後編に分けて紹介したように、同じ「250cc」のバイクでも、ボディの形やエンジン形式などの違いでキャラクターは大きく異なります。写真や実車を見ただけではデザインや質感しか分かりませんが、実際に乗ってみると、エンジンの音や振動、パワーの特性、ハンドリングや乗り心地など、見た目と違った印象を受けることは珍しくありません
250ccからの乗り換えを考えている場合も、400ccクラスへのステップアップ以外にも、違うジャンルの250ccを選ぶという選択肢があり、『バイクは自分に向いてなかった』と諦めかけている人でも、さまざまなモデルに乗ってみることで、バイクの楽しさを再発見できるかもしれません。
メーカーや販売店では複数のモデルに試乗できるイベントが開催され、レンタルバイクもさまざまなキャンペーンを実施しています。こういったものを利用してみてはいかがでしょうか。
津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら

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