失敗しない「不動産屋の選び方」- 5つの見極めポイントをプロが解説【家探しで失敗したくない人必読】

2024年4月4日(木)9時0分 マイナビニュース

「家を買いたい」そう思った時に、あなたはまずどこから始めますか? インターネットで探し始めたり、不動産屋に相談したり、すでに購入経験のある友人・知人に聞いたり・・いろんな手段が考えられると思いますが、「不動産屋には最初から最後までまったく世話にならない」という方はほとんどいらっしゃらないのはないでしょうか。
住まい探しは「どんなマンションにしようか」だけではなく、「どこの不動産屋(不動産仲介会社)にお願いするか」も重要です。自分にあった情報をくれる「よき相談相手」を見つけられることが、よい家探しの第一歩といっても過言ではありません。そこでこの記事では、「どのような視点で不動産屋(不動産仲介会社)を選べばいいのか」ポイントをご紹介します。
※本記事は、不動産仲介会社を利用して家探しをする場合や、物件を自由に選ぶことができる中古住宅(マンションと戸建て)を購入する場合を前提としています。新築分譲マンションの場合は、そのマンションを建設するディベロッパー自身や関連会社が販売・営業を行うことが一般的です。そのため、ディベロッパー(マンションブランド)が異なる場合、その新築マンションごとに営業を担当する会社が変わることになります。
■よい不動産屋を見極める5つのポイント
もしかするとこの記事をお読みの方の中に、不動産屋にあまりいい印象をお持ちでない方もいらっしゃるかもしれません。でも、不動産屋は住まい選びのプロ。特に初めての購入であれば、家探しから意思決定、引き渡しまで、わからないことばかり。冒頭でもお伝えしたとおり、よき相談相手となれる不動産屋(営業担当者)を見つけて味方につけられれば、住宅購入は「勝ち」です。不動産屋を見分ける際の"本当に必要な見極めポイント"を5つに絞りましたので、ひとつずつ見ていきましょう。
【1】買い手の立場に寄り添って話を聞いてくれる不動産屋か
マンション購入は高額な買い物なので、細かいところまで確認し、納得した上で購入することが大事です。気になることは遠慮せず、仲介営業担当に聞きましょう。
営業担当者がその物件に関するすべての情報を持っているわけではありません。そのため、あなたが気になる情報を尋ねた場合に、「確認します」という受け答えになることも多いでしょう。その際に、自分が気にするポイントに対して向き合って情報を提供してくれるか、尋ねた情報をきちんと収集して提供してくれるかは、信頼していいかを判断する一つの判断軸になります。
たとえば物件を内覧する際、買い手側として気になる情報として下記のような項目が挙げられるでしょう。やや細かくはなりますが、こちらから聞かずともあらかじめ情報提供してくれたり、質問に誠意をもって答えてくれれば信頼できるといえるでしょう。
<買い手が見たい「物件資料」一例>
・販売図面
・重要事項調査報告書
・長期修繕計画書
・管理規約
・謄本
・分譲時パンフレット
<買い手が知りたい「物件情報」一例>
・売却理由
・引き渡し時期
・設備関係、劣化状況
・隣接住戸の家族構成
・気になる音
・買い物先となる商業施設
・学区の評判
・ ゴミ出しルール
・自転車置き場のルール
・大規模修繕
・修繕積立金の値上がり予定
・いつから売りに出しているか
・週に何件ご案内が入っているか
・ これまで何件ご案内が入ったか
・具体的な検討者(どんな方が他に検討されているか)
・物件を購入した(気に入った)理由
「買い手が知りたい物件情報」に挙げた内容のうち、居住時の実感にあたる部分は、もしまだ売主が居住中で内覧時に立ち合いがあれば直接尋ねてみてもいいでしょう。ただし、売却状況については営業担当者を通しての確認の方が無難かもしれません。
【2】メリット&デメリットや提案をきちんと話してくれる不動産屋か
不動産屋は日々多数の物件を見て取引経験を重ねてきたプロだからこそ、相対的な良し悪しや交渉上のテクニックも知っています。ぜひその知見を最大限活用しましょう。
どの物件にもデメリットはあります。そのデメリットは他の物件と比較した際に、どれだけシリアスに捉えた方がいい内容なのか。そのデメリットを鑑みたうえで、「買い」なのか。最終的に決めるのは買い手であるあなた自身ではありますが、その手前で判断材料となる意見をもらいましょう。
また、無理な値引き額や条件提示は買い逃しの原因にもなります。条件がよい物件であればあるほど、他にも買いたいと思っているライバルがいるので、「満額でも買いたい」「現金で買う」という意思表示をされると勝てません。他の物件や売主の状況から考えて交渉の余地があるのか、率直な意見や提案をしてくれる営業担当者であれば、あとで「やっぱり値引き交渉せずに買っておけばよかった・・」と後悔することを防げます。
【3】購入するべき理由をデータやロジックで語れる不動産屋か
意見や提案ができる営業担当者を頼りましょう、とお伝えしましたが、もしかすると「この物件はすぐ買うべき」と言われた際に、「ただ押し売りしているだけでは?」と疑いたくなることもあるでしょう。その場合は、そこにデータやロジックの裏付けがあるか、を一つの基準としましょう。闇雲に「買いましょう」と言っているのか、経験則から話しているのかを見分けることができます。
なお、相場感に関しては、ご自身でもある程度調べることができます。ポータルサイトなどの不動産物件サイトで同条件の物件を探してみて比較してみてください。少々手間はかかりますが、自分でリサーチしたことで安心感や納得感が得られますし、そのデータを元に、担当者と話してみてもいいでしょう。
【4】自分に合った情報提供やコミュニケーションのとり方をしてくれる不動産屋か
営業担当者にも得意なジャンルや経験が多いエリアなど、特性があります。ご自分としては、どんな情報をくれるとありがたいでしょうか? また、なるべく数字で資産価値を示してもらいたいのか、その地域に住んだ人だけが知っているようなコアな情報が欲しいのでしょうか? コミュニケーションは電話ですぐに対応してくれる方がいいのか、メールやメッセージアプリでもらえた方がいいのか・・。
たとえば特定エリアでの住み替えを検討している場合は、地元で長く続けている「地域の不動産屋」が適任かもしれません。地元ならではのリアルな学区情報や買い物事情、物件情報を持っている可能性が高いからです。また、お子さんがいる家庭で子育て環境を重視している方であったり、家族のように大事にしているペットとの住まいを探している方であれば、子育て経験のある営業担当者や、同じくペットを飼っている営業担当者であれば、より親身に住まい探しをサポートしてくれるかもしれません。
営業担当者とのやり取りは、人対人のやり取りになります。AIやbotと異なり、当然相性もあるでしょう。希望条件だけでなく、個人的な興味や趣味のような要素でもいいので、いろんなボールを投げてみて、「この担当者から買いたい!」という担当者が見つかれば、満足度の高い住宅購入が叶うはずです。
【5】他社物件も紹介してくれる・自社物件を推す理由が説明できる不動産屋か
ちょっと複雑な中古物件の取引の話をさせていただくことになってしまうのですが、最後にご紹介するのは、「他社物件も紹介してくれるか・自社物件を推す理由が説明できるか」という点です。
世に売り出されている中古物件は、仲介会社が売主から「今の住まいを売りたい」という相談を受けて売却活動を進めています。売主から物件を預かった(売却活動の依頼を受けた)仲介会社は、無事に買い手(買主)を見つけて売却が成立したら、仲介手数料が入ります。この際に、売主の仲介業者は、買主も自分で見つけて繋ぐことができたら、売主と買主の両方から仲介手数料が入ることになります。一度の取引で2倍の売上をあげることができるわけです。これを、業界では「両手仲介」と呼びます。
もしあなたが相談している不動産屋・営業担当者が、自社で売却を依頼された物件(自社物件)ばかりを提案してくるようでしたら、ちょっと要注意です。自社物件を熱心に勧められたら、「なぜその物件がおすすめなのか」、きちんと説明してもらいましょう。
もちろん、その説明を受けて納得できる内容であれば、問題ありません。売却を預かっていれば、担当者はそれだけ売主とコミュニケーションをとっているため、売却物件に関する情報をそれだけたくさん得ているはず。その分、自信を持って紹介できるということもあるでしょう。
一概に自社物件が悪いということではありませんが、希望条件を伝えているのにも関わらずそこに合致する他社物件を紹介せずに、条件を外した自社物件ばかりを提案してくるようであれば、他の不動産屋を頼った方がよいかもしれません。
■相性のよい不動産屋を探して、よりよいゴールへ
いかがでしたでしょうか。なんとなく「不動産営業」と聞くと、営業をかけられるんじゃないか・・と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ「知見をもらう」つもりで、いろいろ質問をしてみてください。その応答から、判断できることがたくさんあると思います。
また、よく「仲介手数料を値引きしているところは怪しい」という声を聞くこともありますが、一概にそうとも言い切れません。その仲介担当者や仲介会社がどのような仕組みで仲介を行っているか次第だからです。企業努力としての仕組みによってコストカットを叶え、付加価値として提供している場合もあります。そこよりも、直接営業担当者とコミュニケーションをとった中で、「この人であれば信頼できそうだ」「自分にとって有益な情報をくれる人だ」と思えたかどうかで判断をいただくのが、一番です。中古物件の購入は物件探しから引き渡しまで長い道のりになります。ぜひ良きパートナーに出会って、理想どおりの物件にお引っ越しできることを願っています!
針山 昌幸 はりやま まさゆき 株式会社Housmart 代表取締役。相場を確認しながらかしこく中古マンションが売買できるアプリ「カウル」やメディア『マンションジャーナル』、不動産仲介会社向けの営業支援システム「プロポクラウド」など、住まい選びをより自由にすべく幅広く事業を展開。著書に『中古マンション本当にかしこい買い方・選び方』(日本実業出版社)。 この著者の記事一覧はこちら

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