最低2,000万円の高額な学費、それでも医学部受験者が増える理由とは?

2018年4月4日(水)9時15分 リセマム

「医学部合格完全読本」(田尻 友久 著/かんき出版)

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「大学全入時代」と呼ばれる状況で、「医学部」の人気が上昇し続ける理由とはなんだろうか。医歯専門予備校の学院長が、その背景にあるものを分析・解説する。

学費低減の流れ、受験形式多様化も受験者増の理由

 私立大学医学部の学費はご承知のとおり高額です。6年間の学費は最低でも2,000万円程度かかります。経営者クラスならともかく、普通のサラリーマン家庭ではとても無理だろうと考えられてきました。

 しかし、2008年に順天堂大学医学部が学費を値下げして以降、私立大学医学部の学費値下げ競争が始まりました。

 13年度入試以降、東邦大学医学部は6年間の学費を600万円下げ、昭和大学医学部は450万円下げました。

 総額は2,000万円前後と、依然として高額ではありますが、以前に比べれば、多少は入りやすくなったと言えます。

 また、学費などが貸与される「地域枠」の増加も見逃せません。詳しくは第2章で説明しますが、この地域枠により、これまで経済的な面で私立医学部の受験を考えなかった受験生も検討しやすくなりました。

 この学費低減の流れも、医学部全体を考えたときの受験者増の要因と言えます。

 もちろん東日本大震災や医師不足のニュースに触れ、「医師として社会貢献をしたい」という意識の高まりも、志望先を医学部にする強い動機となり、志願者増加の要因の一つでしょう。

 さらに一つの医学部でも、推薦入試、AO入試、地域枠、一般枠などの併願が可能なケースが多く、1校当たりの受験機会も増えました。

歯科医師の子弟も医学部を目指すようになった

 歯科医の家庭の子どもたちというグループの存在も、医学部受験者の増加を押し上げています。

 2014年12月末で、歯科医師数は全国で10万人を突破しています。歯科医は2015年には必要数より1万1,000人が過剰と言われており、歯科医院の数はすでにコンビニの1.6倍です。

 これを受けて政府も歯科医師数の抑制に乗り出しており、歯学部定員の医学部への振り替え、国家試験合格基準の引き上げなどが進んでいます。

 歯科医師国家試験の合格率は2006年では80.8%でしたが、2016年の合格率は63.6%にまで落ちて、3年連続で63%台の合格率となりました。

 こうした事情から、以前なら「歯科医の子どもだから歯科医を目指す」のが当たり前でしたが、歯科医である親が医学部受験をすすめるケースが増えています。

(※本記事内の情報は2016年6月時のものです)

医学部合格完全読本(田尻 友久 著/かんき出版)より「医学部入試の最新情報」

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