子どもたちが相次いで失踪する謎の森「アンジェルス国有林の3つの消失事件」=アメリカ

2024年4月7日(日)8時0分 tocana

【世界を震撼させた知られざる“大未解決事件” 完全紹介シリーズはコチラ】


 世の中には不可思議な「場所」が存在する。人が立て続けに失踪したりする土地だ——。



■消失事件その1


 そのような不可思議な場所の1つに「アンジェルス国有林(Angeles National Forest)」がある。アンジェルス国有林はカリフォルニア州ロサンゼルス近郊のサンガブリエル山脈とシエラペロナ山脈の中にある広大な荒野である。


 大都会ロサンゼルスからそう遠くないにもかかわらず、荒野と険しい山々が広がり、ダイナミックな大自然が楽しめる人気の場所だ。しかしアンジェルス国有林は、この自然の素晴らしさの裏に隠れ、本国では一連の不吉な消失事件でも良く知られているのである。


 1956年8月、11歳のブレンダ・ハウエルはノースカロライナ州から姉に会うためにこの地を訪れていた。そしてブレンダは近所の男の子ドナルド・リー・ベイカー(13歳)と友だちになり、8月6日の朝に2人はサン・ガブリエル・キャニオン付近を探索に自転車で出かけた。そして彼らは2度と戻ってこなかったのである。


 2人が帰ってこなかった時、警察と海軍合同チーム、そして何百人ものボランティアが手がかりを求め、大規模な捜索が荒野で行われた。しかし数日後に発見されたのは、ブレンダの自転車とドナルドの上着のみで、それらは彼らが最後に目撃された場所から約400メートル離れたモリスダムの近くで見つかった。


 2カ月後、ドナルドの自転車はグレンドラ小学校で発見された。ある児童がその自転車を2人が消滅した森で見つけたと言ったという。それ以上の証拠は何も見つからず、彼らはまるで空気の中に消えてしまったかのようだった。



■消失事件その2


 翌年1957年春、この地にまた別の消失事件が起こった。


 1957年3月23日、エルドン・ボーマンとゴードン・ウィックスはカリフォルニア州アルタデナの地で、8歳のトミー・ボウマンをはじめ小さな子どもたちを連れてハイキングをしていた。


 ハイキングの途中でトミーは曲がりくねった道を先に走り出し、姿が見えなくなった。曲がりくねった道が終わり、また道がまっすぐになった時、トミーはどこにもいなかった。そしてそれ以来、彼は影も形もなく消失してしまった。


 家族は警察に連絡をし、捜索隊がその地域に集まった。彼らはトミーがそれほど遠くに行けるはずはなく、容易に発見できると考えていた。しかし地上捜索隊、航空機、探索犬によって1週間以上にわたる捜索が行われたが、手がかりは全く見つからなかった。彼はまるで地球から消え去ったかのようにその後も見つかっていない。



■消失事件その3


 次に消滅した子どもは6歳のブルース・ハワード・クレメンで、彼はYMCAのキャンプに参加するため、アンジェルス国有林へやってきた。


 このキャンプは総勢80人の子どもたちが参加する大規模なものであった。1960年7月12日、ブルースは他の子どもたちに加え大人の監督者1人と一緒にハイキングを開始した。


 しかしブルースが体調不良を訴えたので、監督者はキャンプ場のごく近くまでブルースを連れて戻り、その後他の子どもたちとハイキングを続けるためにその場を離れた。


 しかしブルースはキャンプ場内に到着していなかったのだ。わずか数分後には彼がいないことが判明し、警察とボランティアが参加した大規模な捜索が行われたが、彼の手がかりは何ら見つからなかった。当時警察はブルースが森で迷い、崖や岩の裂け目などに落ちたのではと考えていた。しかし誰も確かなことは言えず、彼の遺体も見つからなかった。



■10年以上たって警察に出頭する者が現れる


 これらのケースは、全く謎のまま10年以上が経過した。しかし1970年3月6日、マック・レイ・エドワーズ(51歳)という男がロサンゼルス市警フットヒル署に現れ、落ち着いた様子で自白を始めた。


 それは1953年から1970年の間に6人の子どもを性的虐待し殺害したというもので、彼が述べた名前の中にはブレンダ・ハウエルとドナルド・ベーカーの名があった。しかし彼の指し示す場所に遺体の痕跡は無く、彼をこの2人の殺人で起訴することはできなかった。


 その後、警察の調べでエドワーズは子どもの連続虐待犯であることが判明し、起訴された殺人事件の中、ゲイリー・ロート、ドナルド・アレン・トッド、ステラ・ダレーネ・ノーランの殺人で死刑判決を受けた。


 しかし彼が犯した罪はそれだけではなく、ブレンダ・ハウエル、ドナルド・ベーカー、トミー・ボウマン、ブルース・ハワード・クレメンたちの失踪や死亡に関わっている疑いがあった。


 事実、エドワーズは裁判を受けている間に刑務所で、ロサンゼルス郡で18人の子どもたちを殺したと自慢していたらしい。しかし残念ながら、彼をこれらの事件に結びつける証拠は無かった。彼はその後、サン・クエンティン刑務所の死刑囚用独房で電気コードを使って首つり自殺をした。


 彼は自殺前にすべては「Billy the Cripple」という謎の人物が真犯人で、自分の自白を取り消す手紙を送ったが、当局はこの告白を死刑逃れのウソとして却下した。


 しかしまだ事件は終わっていない。事件から35年が経過した2007年、ロサンゼルス市警はエドワーズの案件を見直し、消失した子ども4人の事件の調査を再開する事を決定した。これは1987年に姿を消したトミー・ボウマン事件に興味を持った作家ウェストン・ドワルト氏の独自調査が、警察内での関心を高めたためだという。


 ドワルト氏は2006年にエドワーズの妻・マリアにインタビューをしたが、エドワーズは妻への手紙でトミー・ボウマンの殺害を認めていたという。エドワーズは、「もう1人を供述書に加えるつもりだった。それはトミー・ボウマンだ。しかし混乱を起こすと思ったのでやめた」とあった。


 ロサンゼルス市警の未解決事件部署のビビアン・フローレス刑事はこう言う。「我々はエドワーズが6人どころではなく、もっと大勢の子どもを殺していると見ています。エドワーズは1960年代後半に犯罪をやめたと述べていますが、私たちは信じていません」


 一方、現在80歳代のトミー・ボウマンの父親エルドンさんは語る。「1957年の3月、トミーが居なくなった日のことを私は今でも忘れていません」。


 突然、消える子どもたち。そして決して見つからない遺体。残された家族にとっては地獄の苦しみの日々であったろう。真実が明らかにされる日が来ることを願ってやまない。


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参考:「Mysterious Universe」、「Los Angeles Times」、ほか


 


※当記事は2017年の記事を再掲しています。

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