揚げ物の残り油が飛行機の燃料に!持ち込みで特典もらえる自治体も

2024年4月11日(木)11時0分 女性自身

「家庭で天ぷらなどを揚げた後の食用油が飛行機を飛ばすって、すごいこと。脱炭素につながっていくことを多くの方に知っていただき、食用油の回収にご協力いただきたい」


3月24日、羽田空港内のJAL格納庫で開催された「国産SAFの取り組み拡大に向けた発表会」で、東京都の小池百合子知事は、カーボンニュートラル達成に向けた廃食用油回収の必要性を訴えた。


「SAF(サフ)」とは、“持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)”のこと。


廃食用油や植物由来のエタノールなどを原料とするSAFは、石油から作る航空燃料に比べ、CO2排出量が80%程度削減できるという。大気中のCO2を増やさず、従来の航空燃料と同じように使えるエネルギー源であることから、いま世界中で注目されている。


「政府は、2030年までに国内の航空会社が使う燃料の1割(年170万キロリットル)をSAFにする目標を掲げています。しかし、国内で廃食用油を効率的に回収する仕組みは、まだまだ整っていないというのが実情です」(全国紙社会部記者)


全国油脂事業協同組合連合会(全油連)の資料によると、SAFの原料となる廃食用油は、国内で年間50万トン発生。そのうち事業系(飲食店、事業者など)から発生する40万トンのうち12万トンは海外に輸出され、外国企業がSAFを製造する際に使用されている。残る10万トンは家庭から発生したものだが、ほとんどが廃棄されている。


■各自治体で廃食用油回収の取り組みが


そこで、廃食用油の回収拠点の拡大と資源循環の啓発活動を行っているのが、「Fry to Fly Project」。


現在、東京都や神奈川県、京都市などの自治体、大手企業など100団体が、このプロジェクトに参加。京都市では、1997年ごろからすでに家庭で使用した天ぷら油などの廃食用油からバイオディーゼル燃料を精製し、ごみ収集車や一部の市バスの燃料として利用している。


「京都市内には約1千700カ所の回収拠点があり、市民の方々の回収意識も高いです」(事務局)


神奈川県藤沢市や川崎市などでは、一般の分別ごみとして回収拠点を設けたり、名古屋市では、市内の回収協力店舗(スーパー73店舗)で廃食用油の回収を行っている。


ユニークな取り組みを実施しているのは埼玉県入間市。家庭で使用した廃食用油をスーパーの回収ボックスへ持ち込むと、油の量に応じてアプリに脱炭素ポイントが加算。ポイントは地域商店や市が主催する特典交換会で商品等に交換できるそうだ。


東京都も、廃食用油を回収する都内の自治体に対し、回収経費を最大200万円補助する取り組みを始めるなど、SAFへの関心度は高まりつつある。


その一方で、原料となる廃食用油の取引価格は、2021年の夏ごろまでは、1キログラムあたり約50円だったのが、その後100〜150円前後を推移するなど、2?3倍に上昇。世界中で、廃食用油の争奪戦が始まっている。


「2025年までに、大阪府堺市に日本初の国産SAFの大規模生産プラントが完成し、生産が開始される予定です」(前出・社会部記者)


家庭から出た揚げ物の残り油を原料にした国産SAFで、ジェット機がバンバン飛ぶ日も近い!

女性自身

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