人間にとって負の感情…不安・怒り・恐怖が、実は“私を守っている”という納得な理由

2021年4月11日(日)7時50分 マイナビ子育て

自分を好きになれない小学生に向けた、心理カウンセラー・加藤隆行著『「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと』(小学館クリエイティブ)は、子どもが自身で自己肯定感を育むために役立つヒントが満載! 「子どもの頃に読みたかった!」「子どもへの接し方の参考になる!」と大人へも沢山の気づきを与えてくれる1冊です。

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今回は「第二章 自分の「気持ち」を大切にする」より一部をお届けします。

イヤな気持ちはなんで出てくるの?

気持ちは大きく2種類に分けられます。「うれしい」「大好き」などの前向きで楽しい気持ち(ポジティブな気持ち)と、「悲しい」「不安」「怒り」などの後ろ向きでイヤな気持ち(ネガティブな気持ち)です。

イヤな気持ちは、体がイヤな感じがするので、それを感じたくないと思うのは当然です。でも、このイヤな気持ちたちは、じつはあなたのことを守ろうとしてくれているのです。

先日、家の近くで鳴き声がするので見に行くと、そこには子ネコをかかえた母ネコがいました。ぼくが子ネコに触ろうとすると、母ネコは毛を逆立てて「シャーッ! フーッ!」とすごい勢いで怒り、子ネコを守ろうとします。

このように、自分の大切なものを守るためには、「怒り」という気持ちが必要です。

もし自分が友だちからイジワルされたとき、怒りという気持ちがないと、「やめて!」と強く言って自分を守ることができません。

「不安」という気持ちを感じることも多いかもしれません。不安は、胸をドキドキ、ザワザワさせることで、これから先に起こることへの準備をうながしてくれます。不安な気持ちになるからこそ、来週のテストに備えて勉強しておこうという気になれます。

イヤな気持ちは、あなたを守ってくれる「防衛隊」のようなものです。いつでもどこでも、大切なあなたを守ろうとしてくれます。

だから、イヤな気持ちが出てきたときは「ああ、わたしのことを守ろうとしてくれているんだな」と、受け入れてあげましょう。それだけで気がラクになることもあります。

「こわい」も「悲しい」も 大切な気持ち

徒競走で負けて「くやしい!」と感じたから、一生懸命練習して足が速くなった。怒られて「悲しい」気持ちになったから、同じような立場の友だちの気持ちがわかって、やさしくしてあげられた。

あなたにも、そんな経験があるかもしれません。

ところで、ぼくの友だちは、新しい学校を作るという仕事をしています。そこはかなり自由な学校で、時間割を自分で決めたり、給食用の野菜を自分たちで作ったりするそうです。

ぼくの友だちが新しい学校を作ろうと思った理由は、子どものころに通っていた学校が自分には合わなくて「イヤだなぁ」と感じていたから。その「イヤ」という気持ちが、「自分のような子でも好きになれる楽しい学校を作りたい」という力になったのです。

こんなふうに、「イヤ」の裏には「本当の好き」がかくれていることもあります。

「怒っちゃいけない」「イヤって言っちゃいけない」と親や先生に教えられてきた人もいると思います。「こわい」「悲しい」といった気持ちを感じるのは弱い人で、ダメなことだと思っている人もいるかもしれません。

イヤな気持ちを大好きだという人はいないとは思いますが、その役割を知ったら、「イヤな気持ちも、じつはそんなに悪いヤツじゃないのかもしれない」という気がしてきませんか?

みんなのおなやみ相談室

—————————Q 「いつも明るい人」になりたいのに……。—————————

A いつも明るく元気じゃなくてもだいじょうぶ。

「いつも明るいほうがいい」と考えている人もいると思います。そういられたら望ましいかもしれませんが、なかなかそうはできないものです。だれにだって不安でこわくなったり、落ちこんで悲しくなったりするときはあります。

イヤな気持ちは自分を守るためにある「防衛隊」です。だから、元気なフリをして不安や悲しさを無理やりおさえこもうとすると、防衛隊が「サインに気づいてくれない! 自分を守らなきゃ!」とさわぎ出して、その不安や悲しみの気持ちがどんどん大きくなってしまうこともあります。「いつも明るくいたい」と思っていたのに、その思いが逆効果になってしまったらつらいですよね。

イヤな気持ちは、「これも大切な気持ちなんだな」「わかったよ」と受け止めてあげることで少しずつ収まっていきます。そして心の中で小さくなってきたら、「じゃあね」と言って手放してあげましょう。

もし、友だちが本当は悲しいのに、無理して明るくふるまおうとしていたら、「無理しなくてもいいと思うよ」と言ってあげるのはどうでしょう。自分に対しても同じです。無理やり明るく元気にふるまうよりも、自分の気持ちに素直にいられるほうが、自然な感じがします。

(加藤隆行『「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと 』(小学館クリエイティブ)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)

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書籍『「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと 』について

「友だちと比べて○○ができない」「先生に怒られてばかり」「ダメな自分がイヤになる」「どうせ私なんて……」そんなふうに思う君に読んでほしい。

心理カウンセラーの加藤隆行さんが執筆し、精神科医・名越康文先生が監修した、自分を好きになれない小学生のための本です。子どもが自分自身で自己肯定感を育んでいくためのヒントが詰まっています。●失敗したときは「よくがんばったね」●“ダメなところ”は“いいところ”でもある!?●ガマンするより「助けて」と言えるほうが大事●嫌いな友だちは嫌いなままでいい!?自信をなくしている子どもに寄り添う優しい文章は、子どもの心に小さな自信が芽生えるきっかけを与えてくれます。自己肯定感の下がりやすい小学校4〜6年生におすすめ。

親として、子どもへの接し方の参考にも是非おすすめの1冊です!

加藤 隆行氏のプロフィール

1971年生まれ。愛知県名古屋市出身。ココロと友達オフィス代表 心理カウンセラー幼少より病弱だったこともあり、劣等感が強くコミュニケーションの苦手な子に育つ。福井大学大学院工学研究科修了後、SEとしてNTTに入社。インターネット黎明期よりOCNなど関連サービスの企画開発に携わる。激務の中、30歳のとき体調が激烈に悪化。3度の休職と入退院を繰り返し、しだいに自身のココロと向き合うようになる。

2015年に退職し、心理カウンセラーとして独立。「自分自身と仲直りして優雅に生きる」をコンセプトに、アドラー心理学、ゲシュタルト療法、交流分析、認知行動療法、各種ボディワーク、瞑想など組み合わせた独自プログラムを開発し、東京を中心に全国でカウンセリングやセミナーを開催。愛称は「かとちゃん」。

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