60代から始める「ソロ旅」の極意。宿の手配は?どんな目的で行く?凝り固まった常識や習慣を捨て、不便や失敗も含めて面白がるのが旅を楽しむ秘訣

2024年4月22日(月)12時30分 婦人公論.jp


(イラスト=大塚砂織)

雑誌やCMの撮影のほか、推し活目的で年に何度も旅に出るというスタイリストの地曳いく子さん。失敗と成功を繰り返した経験をまとめた旅本も刊行するほどです。大人世代がひとり旅を楽しむために最低限必要な準備と心構えを聞きました(構成:島田ゆかり イラスト:大塚砂織)

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旅は非日常を体験するチャンス


『婦人公論』世代は、「ソロ旅なんて不安」「ひとりは楽しくない」と敬遠している人も少なくないかもしれません。けれど本当にひとりは不安?楽しくない? いえいえ、誰に気兼ねすることもなく、自分の思うままに過ごせるなんて最高だと思いませんか? 

私は、「旅は非日常を体験するチャンス」だと考えています。日頃の鬱積したストレスを浄化できるのも、旅の醍醐味。ひとりなら、本当に自分がしたいことだけをすればいいのです。

「旅に出て何かを得よう」と気負わずに、「いらないもの(凝り固まった常識や習慣)を捨ててくる」くらいの気持ちで出かけてみましょう。

目的地の決め方


ソロ旅を勧めると、「ひとりでどこへ行けばいいんでしょうか」と聞かれることがあります。そんな方々のために昨年、旅の本を出版しました。ようやく自分のために時間が使える年代になったのですから、自分の「好き」を掘り下げ、旅の目的にしてみてはいかがでしょう。

私はあるバンドの大ファンで、若い頃から追っかけをしていたので、世界中のツアーにひとりで遠征していました。ライブ以外の予定は入れない自由な旅です。空き時間にふらっと街に出ては、素敵なレストランを見つけたり、掘り出しものに出合ったり。自由気ままなソロ旅の魅力にハマってしまいました。


(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

このように、旅の目的は推し活でもいいし、美術館巡りでもいい。お芝居の地方公演を観に行くのも楽しいですよね。温泉宿に籠もって何もしない時間を過ごすのも最高。「あの話題のレストランに行きたい!」というのも立派な理由、目的になります。

遠くへ行くのが不安なら、日帰りバスツアーを利用するほか、近隣県へのお出かけでもOK。私は東京都内に住んでいますが、鎌倉が好きでよく出かけます。

ある人は、「好きな映画を観るために、隣県にある巨大スクリーンの映画館に行く」と言っていました。これも立派なソロ旅。あるいは、美容を旅の目的にして、ホテルでエステ三昧というのも贅沢でうらやましい限り。旅の目的なんて、自分の心が喜べば何でもいいのです。

ただし、旅に完璧を求めてはいけません。旅を楽しむ極意は、不便や失敗も含めて面白がること。想定内のことしか受け入れられないなら、家にいるのが一番ですからね。

非日常な場所に身を置くと、がんじがらめになっていた自分の思考や、変えられなかった習慣などをポイッと手放して日常をリセットできるようになります。そして日々の当たり前に感謝できるのも、旅ならではの魅力です。

交通機関と宿の手配


目的地が決まったら、旅の手配をしましょう。最低限決めておきたいのが、家から目的地までの交通手段と宿泊先。私は飛行機+ホテルをセットで予約できる「JALパック」をよく利用するのですが、それ以外にも各航空会社やJR、旅行会社などがさまざまな「ひとり旅」「ひとり参加のツアー」という商品を出しています。

ソロ旅初心者は、添乗員同行のツアーなどが安心かもしれませんね。旅慣れた人は、飛行機や新幹線、お目当ての宿をそれぞれ予約すればいいでしょう。

宿を選ぶ基準は、目的地の近くかどうか。観劇目的なら劇場の近く、美術館巡りならそのエリアにアクセスしやすい場所を選ぶようにすると、効率よく動けて疲れ知らずです。ただし、格安宿は立地が悪かったり夜になると暗かったり、何かしらの不安材料がある可能性もあります。ケチらず安心な宿選びがベストです。

先日、私が大阪にソロ旅をした際に泊まった宿は、通常1泊2万円超えの部屋が、さまざまな割引が重なりなんと3000円ほどに。これは出発直前までホテルの比較サイトをチェックしていて見つけたものです。

慣れてくると、こんなふうにお得なものを見つけられるようになってくるはずです。この時は、宿泊代が安くなった分、ホテルでちょっとリッチな朝ごはんを楽しみました。

国内旅におすすめの旅サイト


●JALパック(JALダイナミックパッケージ)
タイムセールなど、かなりお得なパッケージも
●JR東日本大人の休日倶楽部(会員限定)
50歳からの旅情報が充実
●ANAトラベラーズダイナミックパッケージ
航空券や宿泊を自由に組み合わせて目的に合った旅をプランニング
●JTB 自由気ままにひとり旅
ひとり旅のポイントをわかりやすく紹介
●JR東海ツアーズずらし旅
旅の時間や場所を定番からずらしてお得に!
●クラブツーリズム
おひとり参加限定のツアーひとりで気兼ねなく参加できるツアー満載

とはいえ、こんなラッキーがいつもあるわけではありません。以前、早めに予約していた部屋をキャンセルし忘れてしまい、二重払いをしたことがあります。

私はいつもホテルの比較サイトを見回り、「これいいかも!」という部屋をいくつか同時に予約しておくのです。キャンセル料がかからないタイミングで1つに絞るのですが、この時はキャンセルし忘れて2ヵ所分の宿泊費を支払うはめに。

ほかにも、泊まる日を間違えて二重払いしたこともありました。みなさんも、自分で手配したものは、しつこいくらいに「確認」することをお忘れなく。

さて、交通手段と宿を確保したら、あとは無計画で気ままな旅を満喫してもいいですが、有名レストランでの食事や展覧会などが目的なら、事前に予約しておくと安心です。

大事なことは、予定を詰め込みすぎないこと。知らない場所でうっかり道を間違えたり、体力が低下して急げなかったりと、若い頃のようには行動できないものと心得て。

たとえ正確に行動していても、交通機関が予定通りには動かないということもあります。1つでも歯車がかみ合わないとドミノ倒しのように予定が狂ってしまうようなプランは避けて、ゆったりした計画を立てるようにしましょう。

<後編につづく>

婦人公論.jp

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