【101歳。ひとり暮らしの心得】教室を開くため、70代で単身ロンドンに渡った姑。新しいことを始めるのに《遅すぎる》ことはないと教えられ
2025年5月3日(土)8時0分 婦人公論.jp
101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。
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<生きていることが楽しくなる秘訣>
新しいことを始めるのに《遅すぎる》ことはない
姑は若いころロンドンで身につけた英語を生かし、70代になってから、若い人たちに英語と英語圏でのマナーを教える教室を開きました。
人に教えるからには、まず自分が向上しなくてはいけない。そう発奮した姑は、「50年前学んだ私の英語力を、現在のロンドンで試したくなってきたわ」と言ってひとりで海外に出かけ、語学力のブラッシュアップをはかったのです。
(写真:stock.adobe.com)
英語の教室を開き、充実した日々を送っていたある日、姑の長女が亡くなりました。子に先立たれた親の悲しみは、察してあまりあります。
しかし10日ほどたつと、「あまり長くお休みすると申し訳ないから、来週からまたレッスンを始めようと思うの」と言うのです。
深い悲しみのなかにあった姑を支えたのは、仕事をしているという責任感と誇りだったように思います。
何歳になっても新しいことに興味を持ち、好奇心も知識欲も旺盛で、自立心に富んでいた姑。私にとって、心から尊敬できる女性の先輩です。
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