甘えん坊な彼に引いてしまう...結婚を考えると不安になります
2025年5月19日(月)6時0分 大手小町(読売新聞)
「彼氏の『女っぽさ』がどうしても気になって結婚を躊躇(ちゅうちょ)してます。」と題する28歳の女性からの投稿が、ユーザー投稿サイト「発言小町」に寄せられました。仕事の取引先として知り合った32歳の男性と交際しているトピ主さんですが、付き合い始めてから彼の“甘えん坊な面”がどんどん見えてきて、戸惑っています。一緒に過ごした後、別れ際に涙を見せることもあり、「正直ちょっと引いてしまう自分がいます」「結婚を考えるとどうしても不安になります」と心境を明かしています。

交際前の彼は、仕事ができる普通の男性という印象で、特に気になるところはなかったそう。しかし、交際後は、外でも家でも甘えるような態度を取るように。電車では必ずトピ主さんの肩に頭を載せてきて、トピ主さんが彼の家から帰るときには毎回泣くほど寂しがるといいます。ただ、トピ主さんに甘えること以外の面では、「話も合いますし、すごく優しい人」なのだそうです。
今回のお悩みを考える上で、まず念頭に置いておきたいのは、人は過去の交際の影響を受けがちであるということです。過去の交際経験から、「異性と付き合うときはこうするものだ」「こういうときに異性はこう感じるものだ」といったデータが蓄積されていて、新しい恋人がそのデータと異なる言動をすると、戸惑いや違和感を覚えがちです。特に交際当初には、「以前の彼(彼女)はこうだったのに……」と思うことが頻出します。
投稿によれば、トピ主さんは「今まで、どちらかというと女性慣れしていて男らしいタイプの人と付き合ってきた」そうですね。今の彼の甘えた態度に戸惑いを覚えてしまうのは、生理的な好悪に加え、「男性はこうするもの」という過去のデータと大きく違うからかもしれません。
そして彼の方も、過去に一度だけ、プラトニックな交際経験があるとのこと。データの量に差はあれ、お互いに「男の人はこうするものだろう」「女の人はこうしたら喜んでくれるだろう」といった思い込みの蓄積があるのではないかと推測します。
それらを新しいデータに塗り替えるためには、お互いに「こういうとき、私はこう思うよ」「他の人とは違うかもしれないけど、私はこう感じるタイプだよ」といった自分のデータを、時間をかけて相手に提供し続けていくよりほかにありません。
2人は現在、彼の転職によって、月に1回ほど会う“プチ遠距離”のような状態だそうですね。そのために、まだそうしたデータのやり取りをする機会が少ないのかなと想像します。
そして、彼は「名残惜しそうに別れるのが、恋人として当たり前」「月1回しか会えないのだし、人前でもくっついていたいはず」などと思い込んでいるのかもしれません。トピ主さんがそう思っていないことを伝えるには、直接的な攻撃にならないよう、他のカップルなどを見ながら伝えるのがおすすめです。「ああいうのが好きな人もいるけど、私はあっさり派なんだよね」「湿っぽい雰囲気がわりと苦手で」といった自分の感覚を、彼に繰り返し伝えてみましょう。それによって彼が「トピ主さんはそういう人なのだな。こうした方がうれしいのだな」などと理解すると、彼の態度は少しずつ変わってくるかもしれません。
また、「前の交際ではこうだったのに、今は……」という類いの話は、どちらかと言うとネガティブな意見として語られやすい特徴があります。何かしらの不一致やすれ違いがあって別れたはずなのに、別れると美しく見えるのが過去の恋人というもの。この点を理解して、多面的な見方を意識してみてください。
たとえば、「元彼は男らしかったな。でもその反面、デリカシーはなかったよなぁ」といったように。元彼には申し訳ない話ですが、少し引いて角度を変えながら事実を見つめてみると、「男らしいタイプと何人も交際してうまくいかなかったから、今回は今までとは違うタイプを無意識に選んだのかも?」といったような違う解釈が生まれてくるかもしれません。
人の性格は、見方によって常に表裏一体です。決断力がある人が「強引」と言われたり、優しくて感受性の豊かな人が「気弱で女々しい」と言われたりと、見る人やそのときのシチュエーションによって評価は変わります。
それに、恋愛感情が最高潮に高まっているときは、いつもの自分とは違うキャラクターになってしまう人が少なくありません。トピ主さんは、彼の甘えん坊な態度を「『ちょっとウザいな』と思ってしまい、自己嫌悪に陥る」とのことですが、経験値の差もあり、もしかしたら今は、彼の方が浮き足立っているのかもしれません。カップルの気持ちやそのバランスは時と共に変化していくことが多いので、「この状態が永遠ではないだろう」と思って少し様子見をしてみるのは一案です。
最後に、結婚の不安について。あくまで可能性の話ですが、彼の“男らしくない”性格が、結婚生活においてプラスに働くことはあると思います。例えば、トピ主さんが病気のときに親身に世話をしてくれたり、仕事や男同士の付き合いよりも家事や育児を優先してくれたり、等々です。
しかし、「話も合うし、優しいけれど、甘えん坊な彼氏では結婚が不安だ」と思うのであれば、トピ主さんは結婚や家庭運営において、優しさよりも頼りがいのようなものを求めているのかもしれません。そうであれば、彼はベストな相手ではないということになります。
自分が結婚相手に何を求めているか、そして、性格的にどういう相手だと結婚生活をうまくやっていけそうか、ということについて、改めてじっくり考え直してみてはいかがでしょうか。
新しい会社に転職して、前の会社との違いに戸惑うとき、多くの人は新しい会社のカルチャーや仕事のやり方になじんでいく努力をしますよね。自分は一体どんな職場環境を求めているのだろうかと、改めて考え直すこともあるでしょう。そして、しばらくして「どうしてもこの環境にはなじめない、自分には合わない」と確信したら、他の会社を探し始めるのが一般的な流れだと思います。
トピ主さんも、今はそうした手探りの期間だと捉えてみてはいかがでしょうか。「1年たっても彼の態度が同じで、私も抵抗を感じるなら別れよう」などと、自分なりの期限を決めておくと、少し気持ちに余裕を持って彼に向き合えるのではないかと思いました。応援しています。(フリーライター 外山ゆひら)