【定番名品シリーズ】オン・オフ兼用の優秀アイテム「チノパン」を買うなら?オーバーサイズからドレッシーまで

2024年5月22日(水)6時0分 JBpress

長年にわたって作られてきた定番品は、“当たり前”の良さを持っている。誰もが日常的に使えて、しかも品格あるスタイル作りの役に立つ。そして流行にとらわれず、末長く愛用できるところも魅力的。なかでも独自の哲学を込めつつ、素材や製法にもこだわりを尽くした真のマスターピースを紹介する

写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川剛 編集/名知正登


オン・オフを手軽に穿き回せる万能パンツ

ジーンズと双璧とも言えるデイリーパンツの定番であるチノパンツ。アメリカン・カジュアルを愛好する人たちからは「チノパン」などと呼ばれ親しまれる、コットンを主要素材とするパンツだ。

 そもそも「チノ」とはChino(中国)に由来しており、原点は19世紀の英国軍にあるという。ヴィクトリア時代に英国からインドに渡ったタフなコットン製の軍用綾織り生地は、やがて中国にもたらされ、世界大戦を経てアジアに駐留する米国兵士が、当時配給されたパンツを中国製生地のものと混同し「チノパンツ」なる名称が広まったとされている。

 ともあれ、カーキと総称されるサンドベージュ系のカラーを特徴とし、デザイン的にはスラックスタイプに仕立てられているものがチノパンツのスタンダード。ポイントのひとつは適度に土臭くもメンズアイテム全般にマッチする、ベージュ系というカラーリングにある。また、伝統的なスラックスデザインゆえに、タイドアップなどのカチッとした装いに違和感なくマッチするところも見逃せない。つまり、使い勝手に優れたオン・オフ兼用の極めて便利なアイテムなのである。

 オーバーサイズなどの昨今のトレンドを意識するなら、やや太めフィットを選ぶのが良いだろう。今風なルックスが楽しめるだけでなく、非常にリラックスした穿き心地が味わえる。そして大人っぽくドレッシーに装いたい場合は、ジャストもしくはやや細身を選ぶのが正解だ。カラーも淡色のカーキをセレクトすれば、上品な清潔感を手軽にアピールできるのだ。

1. SCYE BASICS


ヴィンテージにこだわり生地から独自開発

 英国クラシックをベースとしつつ、モダンな視点を取り込んだウエア作りを実践するサイ。なかでもサイベーシックスは、ルックスのみならず素材使いや内部構造まで、独自の哲学を注ぎ込んだ「新定番」と呼ベルラインだ。

 そのこだわりを十分に味わえる一本がこの定番モデルのチノ。ヴィンテージチノ・クロスの味わいを求め、カリフォルニアのサン・ホーキンバレーで栽培された、繊細な高級綿をタテ糸に使用。シルエットはフロントに取った2プリーツも相まって、貫録ある古式ゆかしい太めフィットを描き出している。ただし裾は適度に絞られており、脚さばきは軽快に行なえる。トラッドな男らしさと実用性を巧みに融合した一本だ。

2. INCOTEX


ドレッシーに装えるラテンな美脚タイプ

 イタリア発の美脚パンツブランドとして、多くのセレクトショップから支持を受けているインコテックス。デイリーなチノパンツも、テーラーリングの技法を活用したスマートな細身ストレート。高級スラックスのようにウエストバンドを後方で分割しスリットを設ける仕立てなど、ジャストフィットでも窮屈にならぬよう、随所に配慮が込められている。

 製品洗い加工が施された一本は、くつろいだ素朴な風合いも感じさせるが、穿き姿は若々しくドレッシー。ゆえにジャケットと合わせたオンスタイルもシックに決まりやすい。アメリカンな朴訥さとは一線を画す、都会的なスマートさが大きな魅力である。

3. CORDINGS


英国的な質実剛健さを頑なにキープ

 イギリスにて1839年に創業した、ツイードジャケットやコーデュロイパンツなど、カントリーウェアのブランドとして知られるコーディングス。エリック・クラプトンやロックバンド「ブラー」のギタリスト、G・コクソンなど、セレブも多数顧客とする名門だ。

当ブランドのポイントは古き良き英国流である“質実剛健”を頑なに貫いているところ。定番のチノパンツも英国の著名生地メーカー「ブリスベンモス」の生地を使用し、繰り返し穿くことで馴染む厚地コットンツイルがひとつのポイント。シルエットも現代的な細身などではなく昔ながらの力強いストレート。時代や流行に左右されず、末長く愛用できる部分も実に英国的と言える。

4. NEAT


トレンドも適度に加えた高感度チノ

 昨今トレンドのビッグシルエットにリンクし、エッジの効いたワイドパンツ等で人気を博すニート。本流のテーラー仕立てを取り入れており、旬な雰囲気と大人の品格をバランス良く両立させているところに魅力がある。

 そんな新進ブランドの定番チノは、太めのシルエットかつフロントのヒダを内向きに設けたインプリーツがポイント。高密度に織り上げたコットンチノクロスを使用しており、洗いざらしでもシャキッと穿ける一本である。裾に向かって絞られているものの、裾幅は24㎝と堂々のワイド型。穿くだけで無骨な安定感が主張できるシルエットであり、シャツ一枚の装いでもトレンド感あるルックスが打ち出せる。

※「仕様が一部異なります」

5. BILLS KHAKIS


タフでトラッドな純アメリカンメイド

 ミリタリーの放出品チノの味わいを求め、アメリカ人のビル・ブラッドリーが米国メイドにこだわり立ち上げた本格チノ・ブランド。なかでもM1モデルは第二次世界大戦時に配給されていた太めの米軍タイプであるが、このM3モデルはモダンな美観を追求したやや細身型。いわゆる1950〜60年代のアイビーリーガーたちに愛されたカレッジ・チノを巧みにリバイバルさせた1本なのだ。

 オーセンティックでタフなコットンツイル生地を使うことに加え、ポケット形状は直線型ではなくアイビーらしく斜め型。M1などに比べ、股上も浅めのため無骨というよりスタイリッシュ。ビジネス使いにも適した穿き回しやすい一本だ。

筆者:長谷川 剛

JBpress

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