テレビ局員は五輪開催に賛成か反対か? やりたいのかやりたくないのか…本音をきいた

2021年5月24日(月)7時0分 tocana



 もはや国内のみならず世界中で賛否両論を巻き起こしている東京五輪の開催。選手の視点で考えれば開催しかないが、そのほかの要素を加味すれば中止を強く訴えたくない心情も理解できる。だからこそ難しい話だが、日本のマスメディアは世論を伝えるばかりで自身のスタンスを明らかにしない。テレビ局は放送する立場だからこそ開催一択なのかと思いきや、実際はテレビ局にも様々な意見があるらしい。


「テレビ局は五輪放送があるので中止に絶対反対で開催することしか考えていないと言われることがあります。しかし、実際はそうでもありません。正直、NHKは不明ですが、民放各局は五輪が開催されたとしても中止になったとしても五輪の収支は大赤字になることが既に決定しています」(テレビ局関係者)


 大赤字になることが決定とは驚きだが、どういうことなのか。


「すでに報じられていますが東京五輪の前後の大会も含めてグロスで日本はおよそ700億円の放映権料を払っています。このうちおよそ200億円を民放が払っています。さらにカメラや中継車、ケーブルや音声機材など様々なものを五輪対応で最新設備に更新し、局によってはスタジオのシステムを入れ替えたところもあります。日本国内への放送という責任もありますが、開催国として全世界に配信する国際映像のためにも設備投資したところなんです」(同)


 大規模な設備投資はわかるが五輪中継が無事にできれば問題無さそうだが。


「そこが問題なんです。放映権料が年々高騰しているので、今や五輪中継だけを真面目にやってもペイできないんです。テレビ局は中継に合わせて様々な事前特番を組んだり、局舎周辺でイベントをしたり、コンサートを開催したりと、様々な形で五輪のあぶく銭を拾い集めて、なんとか黒字にしていたんです。しかし、今回は中継以外は何もできないため、このままでは確実に赤字になるのです」(同)


 コロナに関係なく、五輪の事業外収入がなければ赤字になることが最初から決まっていたとのことだ。では、テレビ局は中止したいのだろうか。


「局の経営的に考えれば中止がありがたいでしょうね。中止になれば全額とは言わないまでも放映権料の払い戻しの可能性があります。そのため、赤字幅をおさえられます。ただ、現場のスタッフとしてはやりたいですよ」(同)


 現場がやりたい事情とは何なのか。


「アナウンサーは一生に一度あるかないかの自国開催の五輪で解説や実況ができるわけで、何年も前からルールを熟知して勉強してきました。また、国際映像の撮影に関われる技術スタッフも一生に一度あるかないかなので、自国開催の五輪を経験したことがない若手スタッフは特に『どんな形でもいいので開催してほしい』と願っていますね」(同)


 会社としてはやりたくないが現場はやりたい。それがテレビ局の本音のようだ。どちらの意見もわかるだけに難しいところだ。果たして2020東京五輪の開催はあるのだろうか。

tocana

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