独身40代女性、食器は1日何回洗うべき?溜めるか都度か、どちらがエコか。食洗器はやっぱり便利?

2024年5月26日(日)12時0分 婦人公論.jp


(写真はイメージ。写真提供:photoAC)

世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第23回は「絶対に洗わなければいけない闘いがある」です。

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人は1日何回、食器を洗うのか


今回は「食器は1日に1回洗えばいい」という、我流の家事のこと。

個人事業主の私は、自宅で1日作業をしていることもある。そんな日はほとんど自炊。とはいえ毎度、調理器具を出すのではなく、主食やおかずはまとめて冷凍してストック。ほぼレンチンで食事が完成するが、どうしても食器は使用するので、洗い物が登場してしまう。

使った食器についた目立つ汚れを水道水でさっと流して、シンクの隅に寄せる。そのままデスクに戻り、「さーて」と仕事を開始。冷蔵庫に飲み物を取りに行くと、食器が視界に入るときもあるけれど、見て見ぬふり。

(……洗うのが本当に面倒くさい……)


お昼ごろの我が家のリアルなシンク。ここから食器が溜まっていく(写真提供◎筆者 以下すべて)

料理をするのは好きだし、没頭できる時間はちょっとしたストレス解消になっている。ただ本当に洗う、片付けるのが苦痛だ。この作業さえなければ、料理はもっと楽しいものになる。それなのに“作る”と“洗う”が同じ導線にあるとは、なんと不均衡なのだろう……と、たまに眉間にシワを寄せる。

よって私の食器洗浄タイムは1日1回。洗って、干すスペースにぎりぎり置くことができる量まで溜めている。このほうが“洗う”という作業は一度で済むし、食器用洗剤の使用や、スポンジ劣化も防げるのだから、節約にもなるじゃないかと言うのが持論という、言い訳だ。本当は、毎回洗った方がいいとは分かっている。

以前、既婚の友人たちと話していた時のこと。

「Cちゃん、食事が終わるとすぐに食器を洗うって言っていたでしょう」
「うん」
「私もね、いつもぎりぎりまで溜めていたんだけど、その話を聞いてからすぐに洗うようにしたの。そしたらね、すごく気分が良くなった気がするんだよね。ありがとう」

友人たちの会話を「へえ」と空々しく聞いていた私。この場で「1日1回しか洗わない」とは言いづらい。言おうものなら「すぐ洗わないと、不潔だよ?」と言われるだろうし、使った食器を重ねたら露骨に嫌な顔をされるだろう。

絶対に洗わなければならない闘いに、日々、私は揺れていた。

ハードル高の食洗機


「食器を洗うのが面倒くさい? それなら食洗機を買えばいいじゃない。今は単身用サイズのもあるし、すごく便利だよ」

私の食器洗浄問題について話すと、食洗機を独身の友人が勧めてきてくれた。未婚から見ると、幸せ家庭の象徴であり、羨望の家電のひとつ。友人からのアドバイスを受けて、食洗機購入についてインターネットで調べてみると、確かに単身住まいのキッチンでも置けないサイズではない。値段もそこそこ。ただ小さな懸念点としては、我が家はアイランドキッチンでもないので、調理スペースが確実に狭くなってしまう。

「単身用の食洗機ねえ……私はあんまり使わないかな。食洗機で洗えない食器もあるし、やっぱり気になる汚れを洗って、拭いた方がいいよ。そうそう、母が食洗機をもらったからと使い出したけど、結局予洗いをしているって」

食のスペシャリストである料理家さんの意見だ。レシピ本の撮影中に雑談のふりをして、職権乱用で聞いてみたら、あまりいい反応はなかった。

(やっぱり食洗機は必要ないのかもしれない)

そう思った気持ちに追い討ちをかけたのが、マチャミこと、久本雅美のコメントだった。彼女の自宅でロケをする番組でのことだ。さすが売れっ子、広く、天井も高い高級マンションに住まいを構えている。キッチンにカメラが回ると、ビルドイン食洗機が取りけられていた。ただマチャミは食洗機を使ったことがないと言う。一人だったら手洗いで十分だと、食洗機は食器の洗いカゴになっていた。このシーンを見て、食洗機購入をやめた。

余談になるが、食器を洗うときの個人的なルーティーンがある。美容家の君島十和子さんが初期の著作で「食器を洗うときは、手の甲を中心にハンドクリームと塗布、(歯科医が使っているような)薄手のビニール手袋をして、さらに厚手のビニール手袋を重ねて、熱湯で洗う」と言うコメントを読み、以来10年以上、実行している。これが手のスチームケアになるらしく、おかげで私の手の甲のシワはある程度、予防できている。食洗機を買ったらハンドケアもできなくなるのだから、やっぱり我がキッチンには不要だ。


料理記録。作るのは好き、でも片付けるのは苦手……おわかりいただけるだろうか

食器を使わない作戦


食器を洗いたくない願望を持つ人は、他にもいた。まずはベテラン編集者の女性。管理職で、いつも清潔感があり、かつおしゃれなコーディネートを決めている彼女も洗うことが面倒たらしい。

「仕事から帰宅後、なるべく包丁を使わず、洗い物を出さないために、宇宙食のようなキットを使って生活していたことがあります」

包丁とまな板を使いたくない気持ちには同感する。

単身の友人は、お皿にラップやアルミホイルを敷いて使用していたこともあると言う。

「買ってきたものをそのまま食べるのは、何となく気が引けるし、食べづらい。それなら食器にカバーをすればいいのよ。これなら洗剤も使わない。普段から避難訓練にもなる」

やや強引だけど、説得力はある。私も揚げ物を買ってきて、オーブントースターにアルミホイルを敷いて温めたら、そのままお皿にのせる。特に映え写真を撮影するわけでもないし、皿も汚れない。これは合理的だ。

……と、ここまでいかにして食器や調理器洗浄から逃れるのか、ということを考えてきた。結論、やっぱり洗う回数は1日1回。食器を使うたびにスポンジを取り出すマメさを、私は持ち合わせていない。

昔、家事が苦手だという長瀬智也が『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系)でこんなことを言っていた。

「食器もいつも(シンクに)山積みでね。あそこで新種の虫、出てきましたからね」

古い情報なのであくまでニュアンスだけど、我が家のシンクに虫はいない。もうこれで十分だ。雑菌もきっとたった1日で繁殖をすることはないと信じている。もう気持ちが揺れることはない。

婦人公論.jp

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