草が生えまくってる... 思わず探検したくなる「不思議すぎる家」が愛媛にあった

2021年5月26日(水)8時0分 Jタウンネット

ゴチャゴチャした倉庫や、入り組んだ路地裏——。そんな場所にワクワクしてしまう人、多いのではないだろうか。

今回、まさにそんな冒険心を刺激するような家屋の写真が、ツイッターに投稿された。

ところどころ錆びつき、ちょっと歪んでいる家屋。周囲には、外側に突き出すような格好で土台のようなものがいくつも設けられている。そしてその上には、何やら青々と茂る細長い草が。

一見すると、長い間放置していたせいで荒れ放題になってしまったような雰囲気だ。しかし、人の手が入っていないにしては、草の配置がかなり整っている......。この家は一体、何なのだろうか?

廃家屋ではなかった

この写真は、東京都在住のツイッターユーザー・えぬびい(@enuenuenubi)さんが2021年5月12日に投稿したもの。Jタウンネット記者は13日、本人に取材した。

日本中の廃れたものや不思議な風景を撮影しながら旅することが好きだというえぬびいさん。今回の写真を撮影したのは、ゴールデンウィーク中のこと。場所は愛媛県大洲市にある「新谷(にいや)花菖蒲園」という花菖蒲園の一角だという。

「こちらは廃家屋ではありません。花菖蒲が有名な場所で、こちらの家を使って栽培しているのだと思います。
菖蒲が咲くのは5月末〜6月なので、ゴールデンウィークにいってもまだ花は咲いていないのですが、緑が家を覆いつくす不思議な姿を見たくて訪れました」(えぬびいさん)

家の周りに生えている細長い草は、花菖蒲だったのだ。

えぬびいさんはこの場所に訪れた際、隣家で作業していた主人にも話を聞いたという。その人によると、

「この地では開花時期(5月下旬〜6月上旬頃)に『花しょうぶまつり』が開催され、たくさんの観光客が訪れる場所なのですが、コロナの影響でそういった催しも中止されているようです」

とのこと。

花菖蒲を育てる不思議な家について、えぬびいさんは、

「アニメの中でしか見たことのないような不思議な光景にときめきを感じまくりました。
緑色に覆われる家も美しいですが、これら菖蒲が開花して鮮やかな紫色に染まった姿もさらに素敵なものに違いないので、今度はそれを見に行きたいと思いました」

と改めて感想を述べた。

一人の男が、個人的に植えた花菖蒲が...

Jタウンネット記者は14日、新谷花菖蒲園にも取材した。

取材に応じたのは、花菖蒲のウェブ販売を行うアンドロメダ(大洲市)の代表取締役でもある八島章さん。同園の花菖蒲の栽培・管理をしている八島信治良さんの長男だ。

章さんによると、そもそも新谷花菖蒲園は50年前、新谷藩の陣屋(編注:藩庁が置かれた屋敷)跡にある、麟鳳閣(りんぽうかく)という建物の池から、矢落川の遊水地に、信治良さんが20株の花菖蒲の苗を植えたのが始まり。

「今では20アールの花菖蒲園に約200種8000株という発展ぶりで、その間には品種改良を重ね、たくさんの品種も生まれました。
『大洲美人』『臥龍の昔』『冨士の霧』は大洲にちなんだ命名です。
HPにも紹介しておりますが、父(信治良さん)が個人的に当時水の流れのない手つかずの沼地(官地)に花菖蒲を植えたところ増えだし、市・県に相談したところ公園を作ることになり、そこから花菖蒲の栽培を任されました。そして、培養、増殖の末、150品種以上の花菖蒲が生まれました」

と同園の成り立ちを説明した。

えぬびいさんが投稿した、草に覆われた家については、

「こちらの家屋では花菖蒲を栽培しています。
数年前より苗が欲しいという方が増えたので、販売用のポット苗を作るようになりました。それに伴って、花菖蒲のウェブ販売を始めました。販売をするために官地での栽培はまずいものですから、個人所有の地での栽培・販売となりました。
また、花菖蒲は水をたくさん必要とする植物ですので、こうした高低差を利用した栽培とポット栽培が適していました。
ここで栽培した苗は官地にも地植えをして公園内の花を増やしております」

と章さん。家屋の周りに立体的に配置された花菖蒲のポット苗には、そういった理由があったのか。

また、同園で開かれているという「花しょうぶまつり」については、

「これだけ広くなった菖蒲園に人が集まるのは自然なことで、これを利用しての祭りです。
毎年6月の開花のため1年中の管理費が必要で、『花しょうぶまつり』として市から多少の補助金を頂いてはおりますが、基本的には父の趣味としてやっている行事です」

と説明した。

Jタウンネット

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