「寝る直前の食事・飲酒」にこれほどのデメリットが…認知症診療医「<第3の糖尿病>といわれる<アルツハイマー型認知症>への影響も」

2024年6月26日(水)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

厚生労働省は2024年5月8日、認知症の患者数が、2060年に推計645万人に上ると公表しました。そのようななか、認知症診療医の今野裕之先生は「『寝る前3時間は食べない』という習慣を身につけるだけで、認知症予防に繋がる」と話します。そこで今回は、今野先生の著書『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』から、誰でもすぐにできる認知症予防のコツを一部ご紹介します。

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寝る前3時間に食べていると睡眠中に起こるこれだけのデメリット


寝る直前まで食べたり飲んだりしていることにより、体にどんな影響があるのでしょうか。

まず、胃では食べたものと消化に必要な胃酸が残っているため、夜中に胃酸が逆流して逆流性食道炎の原因になります。

また、食事の際に水分を摂ることで夜中にトイレに行きたくなり、何度も目が覚めるという夜間頻尿で困っている人も多いです。

寝酒の問題はさらに深刻です。アルコールは脳の働きを低下させます。

睡眠薬と似たような作用があるので一時的には眠くなりますが、実は睡眠は浅くなり、質が悪くなるため、「脳のゴミ出し」もうまく働きにくくなります。

以前は「少量のお酒を飲んでいる人のほうがむしろ認知症になりにくい」といわれていましたが、最新の研究では「少しのお酒でも認知症のリスクになる」といわれるようになってきました。

しかし、自分で実感できる症状はまだいいのかもしれません。

問題はむしろ、自分では気づきにくい「睡眠中の血糖値スパイク(血糖値の急上昇・急降下)」という現象です。

寝る前の糖質で睡眠中に血糖値が乱高下


食べたものをエネルギーにするために不可欠なのがインスリンです。

膵臓から分泌されるホルモンで、エネルギーの元になる糖(ブドウ糖)を細胞の中に送り込むという働きをしています。


『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』(著:今野裕之/世界文化社)

食事をして血糖値が上がるとインスリンが分泌され、食事の中の糖は細胞に取り込まれて血糖値が下がります。

健康な人の場合、食事をしてからおよそ30〜60分で血糖値が最も高くなり、4〜5時間すると最も低くなります。

ところが、寝る前に糖質を摂ってしまうと、寝ている間に血糖値が急激に上がり、その結果インスリンが過剰に分泌され、その後急激に血糖値が下がるという現象が起こることがあります。

この血糖値の急激な変動により自律神経が乱れ、特に低血糖になったときには脳を覚醒させるアドレナリンなどのホルモンが分泌されるため、眠りが浅くなります。

インスリン抵抗性


逆に高血糖になったときには、エネルギーにならず余った糖が中性脂肪となり体に蓄えられるので、肥満や脂肪肝などの原因になります。

さらに怖いことには、高血糖の状態が続くと、徐々にインスリンの働きが悪くなり、糖をエネルギーに変えることが難しくなります。

これが糖尿病の原因であり、インスリンが効きにくくなることを「インスリン抵抗性」と呼びます。

インスリン抵抗性は脳でも発生することがあります。こうなると、いくら食べても脳は糖をエネルギーに変えることができなくなるので、慢性的なエネルギー不足の状態に陥ります。

これが認知症の症状に悪影響を与えている可能性があります。

アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病だった


アルツハイマー型認知症は、「第3の糖尿病」といわれることがあります(*1)。

これはアルツハイマー型認知症では発症する前から、脳の特定部位においてインスリン抵抗性が見られるからなのです。

したがって、アルツハイマー型認知症を予防するためには、砂糖のような糖質を控えて血糖値をできるだけ急激に上げないようにしたり、血糖値を低く保つために空腹時間を長く確保したりすることが有効だといえるのです。

※本稿は、『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

*1 Monte, S. M. de la & Wands, J. R. Alzheimer’s Disease is Type 3 Diabetes—Evidence Reviewed. J. Diabetes Sci. Technol. 2, 1101–1113 (2008).

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