苦しみ出した息子は「血のついたハンバーグ」を吐き出し…原因はパーティ料理にも使われる「飾り」だった

2021年8月14日(土)19時30分 マイナビ子育て

身近なものが子供の安全を脅かすことがあります。しかし、前もって知っておくだけで防げる事故もあります。今回は「飾りのピック」で起こった事故事例をお伝えします。お弁当だけでなく、この時期はパーティのオードブルなどに使われていることもある「ピック」で、楽しい時間が危険な瞬間に変わることもあるのです。

公園で起きた「装飾用ピック」の事故

※写真はイメージです

ある水曜日の午前中。Aちゃん(1歳7ヶ月・男児)は母親と3歳年上の姉と公園へ行きました。お弁当を広げ、食べている最中に事故が起きました。

突然苦しみ出したAちゃん…吐き出したハンバーグには血が

Aちゃんの隣にいたものの、母親の意識が4歳の姉に向いていたその時でした。Aちゃんが突然、苦しみ出したのです。

母親は直接食べる様子を見ていませんでしたが、Aちゃんはハンバーグを食べた直後に苦しそうに声を詰まらせています(食べる前のハンバーグには飾りのためのピックが挿され、先端はハンバーグに隠れていた)。

母親はすぐに背部叩打をします。すると、点々と血液がついたハンバーグのかけらが出てきました。しかし、その後もAちゃんの機嫌の悪さは続き、飲み込む時に痛そうにしていたため、救急搬送されました。

Aちゃんの「のどの奥」にピックがあった

医療機関に到着した後、耳鼻咽喉科で咽頭内視鏡を使って見てみると、のどの奥に異物が確認されました。そこには、お弁当に使われていたピックがあり、キャラクターの飾り部分が食道内に挟まって動かない状態になっていたのです。

※写真はイメージです

爪楊枝の誤飲、50%以上の人が気づいていない

今回Aちゃんがハンバーグと一緒に飲み込んでしまったピックは、3cm程度の長さと横幅(キャラクターの装飾部分)も2cmあまりだったため、口が小さな幼児でも簡単に飲み込めてしまう大きさでした。

乳幼児向けの料理にはピックは使わない

弁当用ピックとは形状が異なりますが、爪楊枝の誤飲をまとめた海外の調査では、50%の人が誤飲に気づかないものの、食道や腸に穴が空いたケースや、場合によっては命に関わるケースもありました[*2]。

親である私たちができることとして、まず赤ちゃんや幼児が食べるお弁当にはピックを使わないことが一番安全と言えます。また、小学生以上の子供のお弁当に使う際も、「お弁当にピックを使っているから、飲み込まないように気をつけてね」と注意を促すようにしましょう。

加えて、クリスマスや年末年始、人が集まる場ではオードブルなどのパーティ料理が用意されることもあるでしょう。「大人も一緒に食事をしてるから大丈夫」と思ってしまうかもしれませんが、四六時中子どもをじっと見ていられるわけではなく、人が多いことで却って「誰かが見ているだろう」と目を離しがちになることもあります。装飾用のピックを使わないのはもちろん、子どもが口に入れて誤飲・誤嚥の恐れがあるものの扱いには十分に注意しましょう。ナッツ類も誤嚥の危険が高く要注意な食品です。

お弁当やパーティの時間、大好きなキャラクターを見て喜んでほしいという親心は十分理解できますが、何よりも子供が安心して食べられることが最優先ですね。

(文・構成:マイナビ子育て編集部/監修:矢富 正徳 先生)

この記事は、日本小児科学会の「Injury Alert(傷害速報)」を元に作成しています。

この記事の監修ドクター 矢富 正徳 先生 東京医科大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本耳鼻咽喉科学会認定指導医、日本睡眠学会認定睡眠専門医、日本めまい平衡医学会認定めまい相談医、難病指定医、身体障害者福祉法第15条指定医

参考文献[*1]日本小児科学会 Injury Alert(傷害速報)「No.092 弁当用ピック誤飲による下咽頭異物」[*2] 日本小児科学会雑誌 第124巻 第8号 1328-30

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